ネット時代と「文章力」

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

「文章を書くことがストレスです」「文章を書くことが苦手で……」そんな方はいませんか。これまで一部の職種でだけ求められてきた文章力が、デジタル化の影響でビジネスの基本かつ最重要スキルになりました。打ち合わせや電話のような音声コミュニケーションの機会が減り、メールやチャットといったテキストコミュニケーションが増えています。そこで今回は、ネット時代の文章力についてのお話です。

ネット時代における文章力の重要性

『21世紀の共感文章術』(文芸社)の著者、坪田知己氏は1972年に日本経済新聞社に入社し、88年まで現場の新聞記者という経歴。80年代末からは日経BP社「日経コンピュータ」副編集長を務め、2009年の退職までの数年間は日経メディアラボ所長に就任。日経電子版の「生みの親」とも言われています。

自らのキャリアを通してメディア環境の激変を見てきた坪田氏は、私たちが「メッセージの時代」に生きていて、「ネットで交換するメッセージの質」が問われるようになったこと、さらに21世紀は「感性の時代」でもあるとも述べています。

『人間らしさ』が尊重される時代」に、一番大事なことは何か。著者はコミュニケーションにおける「共感」を挙げています。文章術においても「共感を呼ぶ」ことが「成否の分岐点になる」という指摘です。
本書のタイトルにも入っている共感(エンパシー)の今日的な重要性については、誰もが実感しているところではないでしょうか。21世紀のメディアのキーワードかもしれません。
ソーシャルメディアの共有機能や「いいね!」ボタンはまさに共感を通じて交流が行われていることを示しています。デジタル収入を増加させるための動画の活用でも、「感情(エモーション)」や共感が視聴回数を増加するための鍵を握るとされています。

本書による「いい文章」の要素は
✓何が言いたいのかが簡潔・明瞭、
✓リズム感があって読みやすい、
✓筆者の気持ちが伝わること。
興味深いのは中立公正の原則がある新聞記者が書く文章が必ずしも「ベスト」というわけではない、としている点でしょう。

文章力をつけたければ、本を読め

精神科医で作家でもある樺沢紫苑先生は、脳科学的な裏付けをもとに「記憶に残す、どんどん頭がよくなる読書術」をまとめた著書『読書脳』の中で、以下のように説いています(東洋経済オンラインのサイトで紹介)。

本を読む人と読まない人の決定的な違いは、「文章力」があるかどうかに表れます。
本を読んでいれば、たくさんの「文章」と接するわけで、当然「文章」に関する知識と直感も磨かれます。

『キャリー』(永井淳訳、新潮社)、『シャイニング』(深町眞理子訳、文藝春秋)、『グリーン・マイル』(白石朗訳、小学館)などのヒット作で知られるアメリカの小説家スティーヴン・キング。彼は自らの小説作法についてまとめた『書くことについて』(田村義進訳、小学館)の中で、次のように述べています。

「作家になりたいのなら、絶対にしなければならないことが2つある。たくさん読み、たくさん書くことだ。私の知るかぎり、そのかわりになるものはないし、近道もない」

『書くことについて』は、小説家に限らず、プロの物書きになりたい人、また文章がうまくなりたい人は必読の1冊です。よりいい文章を書くためにキングが行っているありとあらゆる工夫が詳しく紹介されています。最も重要な部分は、この一文でしょう。

“文章を上達させたければ、たくさん読んで、たくさん書くしかない“

現代アメリカを代表する小説家の結論が、これなのです。

文章力が試される時代

さらに樺沢先生のコメントは次のように続きます。

「文章力」というのは、実はインターネットの時代となった現在、極めて重要になっています。会社の通達やお知らせもメールで来るし、日報や報告書もパソコンで文書にしないといけない。一昔前であれば、直接話し、直接伝えていたのが、最近では「文章」を通して「書く」「読む」ことによってコミュニケーションをする割合が飛躍的に増えています。
仕事に限らず、友達との交流、夫婦や親子の交流、連絡も「メール」「メッセージ」なしでは考えられません。つまり、自分の考えを文章で的確に表現できる人は、仕事で成功する。また、自分の思い、気持ちを文章で的確に表現できる人は、友人や恋人、家族と上手にコミュニケーションができ、友情と愛情に包まれた生活が送れるのです。

インターネットの時代では、「文章力」は絶対に不可欠な「仕事力」だといえます。
そして、「文章力」を鍛えるほとんど唯一の方法は、キングの言うように「たくさん読んで、たくさん書く」ことなのです。
本を読まない。文章も書かない。それでいて、文章力を鍛えることは不可能です。言い換えると文章力を鍛える方法とは、インプットとアウトプットを繰り返すことです。
アウトプットを前提にインプットを行い、インプットをしたらアウトプットをする。それをフィードバックして、また別のインプットをしていく。「アウトプット読書術」を実践するだけで、文章力は確実に鍛えられます。

文章力がメンタルに与える影響

文章力を高めることで、メンタル面にも良い影響を与えることができます。

✓自己表現の向上
文章力が高まると、自分の考えや感情を的確に表現できるようになります。これにより、ストレスや不安を軽減し、心の整理がしやすくなります。

✓コミュニケーションの円滑化
良い文章を書く能力は、他人とのコミュニケーションを円滑にします。誤解やトラブルを減らし、信頼関係を築きやすくなります。

✓自己肯定感の向上
文章を書くことで、自分の考えを整理し、自己理解を深めることができます。これにより、自己肯定感が高まり、メンタルヘルスが向上します。

以上、エゴレジ研究所からネット時代の文章力についてご紹介しました。文章を書くことには情報伝達の用途にとどまらず、他者とのコミュニケーションから思考の整理、感情の浄化作用まで、さまざまなメリットがあります。意識する・しないにかかわらず、文章を書くことは、その人自身に大きな自己成長をもたらします。日々の生活や仕事の中に「文章を書くこと」を取り入れていきましょう。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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