サステナブル・ライフスタイルと選択の基準のヒント

神楽坂女子俱楽部のみなさま、山口真奈美です。サステナビリティ・アドバイザー、日本サステナブル・ラベル協会代表理事などをしています。

神楽坂女子俱楽部には設立当初から関わっているので、ランチ会などではお目にかかったことがある方もおられるかも知れません。カグジョのみなさまに、サステナビリティの世界を身近に感じてもらえれば嬉しいです。

サステナブルをイメージする

最近SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)という言葉を耳にしたことはありませんか?SDGsは国連によって提唱された、持続可能な開発のための17の国際目標で、2030年までに達成しようという目標です。

SDGsは、我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダであり、誰一人取り残さない(No one will be left behind)と掲げています。

は、そもそもサステナブル(Sustainable;持続可能)ってどんなことなのでしょう?
何を持続し続けるの?そもそも普段あまり使わない言葉だったりしますよね。
エコとか環境保護などは少しイメージできるかと思いますが、サステナブルとなると、ちょとだけ自分と遠いことなのかなと思われるかもしれません。そこでサステナブルを少しイメージしてみましょう。

例えば、サステナブルを自分事として見てみると、今の生活や楽しいこと、美味しい食事、家族や大切な人と過ごす時間などが、今も明日も、5年後10年後、そして未来も、少し変化している部分があっても、続いている、続けていけるといいなということもあるかと思います。その、自分を取り巻く環境や関係性、居場所などがずっと続いていくためには、私たちの日々の暮らし、ライフスタイルの中で何ができるのでしょうか。

地球環境の変化

まず、その私たちの日々を支える基盤。つまり地球や自然との関係を見てみると、今地球環境や気候が危機的状態にあると、専門家は警鐘しています。私たちが子供のころ、もしくは数年前から比較してみても、記録的な異常気象や異様に暑い日が続いたり、冬に都心では雪が積もらなくなり、雪遊びを昔は出来たのに、とか変化を感じませんか?
実際に気温は年々上がり続けていますが、その要因に私たち人間の行動やビジネスなどが関係していると言われています。そして、私たち一人ひとりの力も大きく影響しています。

例えば日常で使う紙はもともと木から出来てますよね。その木はどこの国で育ったのでしょうか。そしてどんな森で時間をかけて成長し、そこに棲む多くの動植物の憩いの場や生活を育み、土壌や水、大気などの循環や生物多様性の重要な役割を担っていたかも知れません。

私たちの生活を支える様々な商品やアイテムがどんなストーリーを持っているか、どんな原産地からどこを経由して、だれがどのように作ってくれているのか、なかなか私たちが辿るのは難しいですよね。そして、忙しい日々を送っているカグジョ世代の皆様は、特に意識している暇もないかも知れません。それは誰もが同じですが、特にビジネスの上では、国際的にも持続可能性を重視する動きが加速しています。特に欧州では規制や法整備化が進んでおり、サステナビリティは必須条件となりつつあります。

衣食住から見えるストーリー

ここで、私たちの日常の衣食住からできることは何かを考えてみましょう。あなたは、朝起きてから寝るまでの間に、どんなものを食べましたか?その食材はどこの地域からきているとか、どんな育てられ方をしていたのかとか。
オーガニック(有機)のお野菜や、コーヒーなど飲み物がフェアトレードなどもありますが、オーガニックとかフェアトレードなどの言葉は聞いたことがあるでしょうか?詳細は次回コラムで説明しますが、食一つとっても実に多くの食材とそのストーリーがあります。

例えば、数十年前までサンマなど安くて沢山食べることが出来たと思います。しかし、年々漁獲量が減っていき、魚の種類によっては大幅に獲ることが出来ず、価格も高騰しています。小さな稚魚や海で健全に育っていけるだけの水産資源、つまりその魚を過剰に獲りすぎてしまうと、当然海からその魚種は減ってしまいます。このように今だけの生活やビジネスを考えていると、やがて未来にはその美味しい食事も出来なくなってしまう可能性があるのです。

食べ物だけでなく、着ている服がどうやって出来たのか?顔を洗う石鹸や日常を支える、実に多くのアイテムそれぞれに、あなたが「〇〇生まれ、△△育ち」といった自己紹介に似て、個々にストーリーがあります。
そのストーリーの中で、とても環境に悪影響を及ぼしていないか、また子供たちが学校にも行けず働かされているような児童労働や強制労働といった人権課題など、環境や社会的課題がないものを、なるべく選択するということが重要です。

選択の基準

あなたが普段、身近なアイテムを選ぶとき、買うときなど、どんな基準で選んでいますか?その「選択の基準」が重要なカギとなります。
今までの社会は消費者と呼ばれる私たち自身が欲しいと思うものを企業が提供するという形で、ビジネスが展開されています。しかし、そのビジネスの中でも、なるべく安いもの、手軽で早く手に入り、いらなくなれば捨てればいいといった、大量生産大量消費の時代は終わりました。大切な価値のあるものを、どのように企業は社会に提供するのか、それは買う側、使う私たちが「何をどう選ぶのか」の「選択の基準」にかかっています。
価格、品質、デザインなど選ぶときに大切にすることは色々ありますよね。その選択の基準、モノサシの一つに、地球環境や社会などに配慮した「サステナブル」な視点を入れてみるのはいかがでしょうか。
あなたの選択の基準にサステナブル視点が加わることで、今日の選択が未来の私たちの生活につながる可能性があります。

いつまでも美味しい食事を楽しめるために、という点でも、どんな食材を選ぼうかな、といった視点も大切になりますし、日々の暮らしを豊かにする様々なアイテムやライフスタイルの方法があります。
次回以降はサステナブル・ライフスタイルに向けて、選択の基準のヒントなどをご紹介して行きましょう。

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山口真奈美 プロフィール

一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会 代表理事
サステナビリティーアドバイザー研究所勤務などを経て2003年に独立。持続可能な原材料調達やサプライチェーンにおける環境社会的配慮に向けた基準策定・環境・CSR・生物多様性・国際認証&ラベルの研修・教育事業を行う。
外資系認証機関の日本法人代表を兼任後、日本サステナブル・ラベル協会(JSL)を設立。環境や社会に配慮した持続可能な国際認証を軸に、多岐にわたる認証も支援。企業活動やライフスタイルを「よりエシカル&サステナブルに転換すること」を目指し、コンサルティングのほか、さまざまな活動にも従事。
一般社団法人日本エシカル推進協議会副会長、オーガニック関連団体の役員、FEM代表、環境ビジネスプラス理事長などを兼任。一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会
https://jsl.life/
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