こんにちは!
笛の福原百麗(ふくはら ひゃくれい・藤本博子)です。
昨日(月曜)は端唄・小唄の若宮流一門の会に出演させていただきました。
出演といっても鳴物(なりもの・太鼓などの脇役の楽器)ですのであくまで脇役。
今回は舞台に上がらず御簾(みす・以前コラムにも書かせて頂いた舞台下手にある隠れ小部屋)での演奏でした。
場所は東京日本橋の三越劇場。百貨店の中にある劇場です。
ここは古い劇場ですが、今回のような伝統芸能や新派の舞台が多い劇場です。
それでも古典専門の劇場ではないので、国立劇場や新橋演舞場などと比べると、御簾は狭い狭い。
御簾のスペースのほとんどを劇場所有の大太鼓が占拠していて、楽器を置くスペースを確保したら2人立つのがやっと。
すぐ後ろにはミキサーなどの機器があって舞台監督(?)が操作されてる状況。
今回は鳴物が3人でしたので、1人は舞台に出る出口で邪魔にならないようにウロウロとポジションを変えながら鉦を叩いてました。
もちろん座れる余裕などなく、立ちっぱなし。
笛を吹く私のすぐ脇にはスピーカーがあって、舞台上の音が大きな音量で流されて、自分の音が聞きづらい。
果たしてこれで笛の音が客席まで届いているのか?
そう心配しましたが、気張って演奏した甲斐もあり、来てくれた友人の話では程よい音量で聴こえていたとのこと。ホッと一安心でした。
「邦楽の舞台は何でもあり」というと言い過ぎかもしれませんが、何でも起こりうる、アバウトな世界です。
洋楽ですと曲目をきっちり決めて、テンポや演奏の仕方を練習やリハーサルを重ねて作り上げるのが普通ですが、邦楽ですと全員集まっての練習やリハーサルがあればマシ、と考えておいた方がよいくらい。ぶっつけ本番も普通によくあることです。
リハーサルといってもツボ合わせといって、ポイントだけ確認して終わり、ということも有り有りの世界です。
楽譜というものもそもそもなく、予定していた曲をやらないとか、いきなり本番で知らない曲をやると言われたり、突然のアレンジが発生!・・・・
そのようなことはよくありますから、いちいち驚いてはいられません。
(もちろん全ての流派や演奏会がそうだとは限りませんが)
今回ご一緒させて頂いた落語家の林家たい平師匠も毎年会でご一緒させて頂いてますが、「笑点」で人気の噺家さんでお忙しいですから当然リハーサルはなし。
だいたい同じ端唄を唄われるんですが、最初の頃はほとんど打ち合わせもなく調子をなかなか合わせられず、何度撃沈したことか。(たい平師匠ごめんなさい)
ようやく勝手が分かってきて、今回も一言も打ち合わせなくぶっつけ本番でしたが、これまでで一番上手くいったのではないかなと勝手に思っております。
前回このコラムで花火の話を書きましたが、昨日は「大津絵(両国)」という演目もあり、「玉屋~」「鍵屋~」という掛け声が入り江戸の夏の情緒も味わって頂けました。
元NHKアナウンサーで、古典芸能の解説者としても知られる司会の葛西聖司さんが、より江戸情緒や日本文化を味わっていただけるようにと、曲のプチ解説をしてくださった
のも大きかったですね。
憧れていてもよく分からないのが古典芸能。
分からなければ劇場に行こうとも思えないでしょうし、どうやって勉強していいかも分からないのが実情かもしれませんね。
このコラムでのよもやま話で少しでも面白く思っていただければありがたいです。
藤本博子(福原百麗)
伊藤忠商事を皮切りに、転職8回、事務職から営業、大道芸人まで20の職種を経験。16年間、人材派遣・紹介会社にて営業、転職コンサルタントとして勤務後、独立。
これまでのべ1万人以上の就業・転職サポートを行い、2013年には人材大手転職サイト主催のスカウトコンテストにて1位(部門別)獲得。
現在、民間委託の求職者支援訓練指定校(セラピスト養成)にて就職支援講座(自己分析、就活実技、顧客サービス等)及びキャリアカウンセリングを担当。現在、京都造形芸術大学で芸術学を学びながら、アートを取り入れた「じぶん分解ワークショップ」を開発。訓練校やセミナー等で広く活用している。
一方、長唄囃子福原流笛方として演奏活動の他、洋楽(フルート)との比較やビジネスの視点から見た指導は非常にユニーク。
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