ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京など7都府県を対象に、期間を来月6日までの1か月程度の「非常事態宣言」が出されました。スーパーマーケットやコンビニで買い物をする日常が、今では勇気が必要なことになってきました。多くの人が日常を失って家に閉じこもって過ごし、社会的孤立感を誘発します。最近は「コロナ疲れ」「コロナ鬱(うつ)」といった言葉も出てきているようです。「にもかかわらず」私たちは前を向いて日常生活をおくらねばなりません。
諏訪中央病院の名誉院長である鎌田 實先生は、「にもかかわらず」が逆境、苦難をプラスに転化する言葉として最も大切にしておられるそうです。「だから」「このため」「それゆえに」という順接ではなく、「にもかかわらず」という言葉には、どんな状況になっても、逆接で人生を展開していく力があるとおっしゃっています。
🔴『にもかかわらず』笑うこと!
厚労省のリーフレットにもあるように、新型ウィルスの予防は、手洗い、睡眠・食事、運動そして笑顔です。
「ユーモアとは『にもかかわらず』笑うことである」というのは、
ドイツの有名なことわざです。悲しいにもかかわらず、ピンチにもかかわらず。本来なら笑えるような状況ではないときに、ふっと感じるおかしみ。人間は時に滑稽なことをしてしまいます。自分の滑稽さを客観的に眺めることができるかどうか。そしてそれを笑えるかどうか。「にもかかわらず」笑えることで気が楽になり、困難の中に光をもたらします。
ユーモアは場を和ませます。ユーモアの根底にあるのは心のふれあいであり、思いやりです。笑いが起き、リラックスした雰囲気が人間関係をまろやかにします。そういう意味で、ユーモアは愛なのです。ジョークは、時に相手をばかにしたり、人をけなしたりする事で笑いをとります。自分の滑稽さを笑う。そこが大きな違いです。ユーモアには品があり、ほっこりとした雰囲気を作るのです。そこがユーモアとジョークの一線を画する所以です。
笑いとユーモアの研究を長年続け、「笑いとユーモアの心理学」(ミネルヴァ書房)の著者でもある関西大学社会学部の雨宮俊彦教授は、心理学者のフロイトや進化論のダーウィンの理論をベースに、笑いの領域を4つに分類されています。
そして、「笑いでストレスが解消されるのは、笑うことが安全で楽しかった子供の遊びの世界への瞬間バケーション(インナートリップ)になるからと見ることができます」とおっしゃっています。
タイプ4に示されるユーモアは、どんな環境でも和やかな雰囲気を作り出すことができます。人生の潤滑油としてのユーモアの大切な役割をもう一度見直してみませんか。
🔴笑いでストレス解消!
ネガティブ情報の渦巻くなか、「にもかかわらず」笑いましょうというのは、ハードルが高いかもしれません。心理学の世界では、リチャード・ワイズマンのAs ifの法則というのがあって、まるで本当に幸せかのように振舞ったり、つらい時でも笑顔でいると脳も幸せなのだと錯覚して本当に楽しくなるという理論が昔からあります。
無理やり口角を上げて「ははは」と声に出して笑ってみてください。これには即効性があり、ネガティブな思考回路が一瞬ぷちっと切れます。ということは、自発的に笑いを繰り返すことでネガティブな思考回路が減ってくるわけです。笑うことに抵抗感があれば、「はっはっはっはっはっは〜」「ははははは〜」と息を出すとだけ思っていただいても大丈夫です。身体はつくり笑いも本物の笑いも区別できないため、身体的、精神的に同じだけの効果を得ることができます。ポイントは、意識しなくても出来るまでやること。習慣化するまで実践するのが大事です。
一人でも、自然と笑うことができる秘策は、携帯電話を取り出して誰かと一緒に笑っているふりをするーーというアイデアが紹介されていました。一人芝居風に楽しめます。もちろん、実際に電話やLINEで誰かと「笑える話」をすることもいいでしょう。漫才をまとめてみるのもいいでしょう。「笑い」は何度もご紹介してきたように、いいことがたくさんあります。「笑い」には、病気の予防や改善に効果があることもわかっていま
す。笑っていると、周りの人にも伝染して笑顔になるという伝染効果もあるのです。
今感じる否定的な感情を無理に押さえつける必要も、過度に巻きこまれる必要もないのです。適切に自分の感情がどうか振り返り、家族、友人と話し合って感情と状況を共有することが感情的な安定に役立ちます。統制できない状況に無力感を覚えるよりも、個人が実践できる行動に集中し、状況をコントロールしているという感覚を回復させるのも良い方法です。いずれは落ち着く日々が戻ってきますが、それまでに、体力が落ちてしまったり、生活リズムがくずれてしまったり、ストレスで体調をくずしてしまったりしないよう、今までどおりの生活ができるよう「にもかかわらず」の発想で、この難局を乗り切りましょう。こんなときこそエゴレジ力を発揮するときです。
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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