《健康》エゴレジと休み明けブルー予防

ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

まもなく改元。そして、異例の10連休です。“ブルーマンデー”という言葉もあるように、週末や連休など休暇明けの平日の朝は、「あぁ、会社に行きたくない…」と何となく憂鬱な気分になる人が多いようです。
臨床心理学者ジョッシュ・クラポウ博士によると、休暇での高揚感が落ち着きつつある時に、ある程度のストレスや混乱を体験するのは普通のことだそうです。「より速い生活のペースへ戻ること、たまってしまった仕事、義務、未処理のやるべきことは、休暇の恩恵を帳消しにしてしまうほどの不安、心配、そして悲しみの感情さえも生み出すことが多い」と指摘されています。
休み明けから前向きな気持ちで仕事と向き合えるようになるには、いったいどうすれば良いのでしょうか。精神保健福祉士の内山民子さんの話をご紹介します。

🔴仕事への不安感=ブルーを招く

内山さんによれば、そもそも休み明けに気分が落ち込んでしまう人には、性格的な特徴があるそうです。頑張り屋さんで真面目な人や、責任感が人一倍強い人などは、休暇明けに憂鬱な気分に陥ってしまう傾向があるようです。例えば、休みの日でも仕事のことが頭から離れず、休暇が終わりに近づくにつれて、『あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ……』と不安になってしまう、という女性に多いということです。

ちなみに、休み明けに憂鬱な気分に陥るかどうかは、休暇の長さは関係なく、仕事への不安感が影響していることが多いとか。

🔴休み明けブルー予防法

いわゆる『ブルーマンデー症候群』は基本的に毎週休み明けに起こり得るものですし、GWなどの長い休み明けにも起こりやすいものです。なので、うまく自分自身の気持ちをコントロールするための工夫を講じ、予防することが大切になります。そこでカギとなるのが、休暇に入る前日の行動です。

【1】休み明けのToDoリストを作成しておく
休暇の前に休み明けの仕事の予定をできるだけ明確にし、すべきことをToDoリストにまとめておきましょう。

『週明けにはまず、●●をやる!』というように、やることをはっきりさせておくだけでもOKです。そうすれば、頭の中に溜まった仕事のモヤモヤを整理できるので、休み中に仕事のことを思い出して不安になることが減り、休み明けに『あれも、これもやらないと…』という憂鬱な気分に陥りにくくなります。

【2】緊張感の高い予定を休み明けに入れない
『重要な会議でのプレゼン』のような緊張感の高い予定を休み明け早々に入れると、休み中も何だか落ち着かず、不安になりがちです。憂鬱な気持ちを招く原因にもなるので、休暇明けすぐは軽めの予定を入れておくのがベター。特に午前中は、メールチェックや資料の整理など簡単な仕事でウォーミングアップするなど、休暇前にスケジュールを調整しておきましょう。

仕事上やむを得ないケースもあるとは思いますが、自分のエンジンが少しずつかかるように調整しておくと、休み明けの朝の気分も軽くなります。

【3】デスク周りを整理整頓してから帰る
休暇前日は、仕事をさっさと切り上げて飲みに行きたくなるものです。その気持ちはよく理解できます。でも、自分のデスク周りが書類やファイルで散らかっていたり、ゴミを残して帰るのはNG。休暇前にデスク周りを整えて帰宅することで、休み明けにすべきことも自然と整理でき、頭の中もスッキリします。また、すぐに目に入る自分のデスクが整えられていると、前向きな気持ちで仕事をスタートできる効果があります。

🔴“楽しみ”に目を向ける

休み明けの憂鬱な気分を防ぐためには、“楽しみ”に目を向ける習慣をつけておくことも重要になるそうです。どんな小さなことでもいいので、休み明けの日の“楽しみ”に目を向けるようにしてほしいと思います。例えば、休み明けの朝食用に特別に用意した大好きなパンのこと、友達と行くランチのこと、休み中に買った新しい服を着たり靴をはいていくときのことなどを考えるようにするのも良いそうです。スパイスや調理道具、アート、衣類など、日常生活に使えるお土産を買ってくるのもいいアイデアです。こうしたちょっとした思考の習慣づけで、休み明けのブルーだけでなく、普段から自分の気分の浮き沈みをうまくコントロールできるようになっていくはずです。

🔴大事なのは「連休明け初日」の朝

そして連休明け初日は、普段より「30分」は早く出勤しましょう。できるなら「1時間」早くてもいいと思います。人間は無意識のうちに、近くにいる人の思考をモデリングしてしまうもの。容易に周囲にいる人の影響を受けてしまうのだそうです。これを「感化」と呼びます。もしも初日から満員電車に乗り、しかもギュウギュウ詰めになった車中に「連休明けブルー」状態の人ばかりがいたら、確実にその思考が伝染します。あなたもブルーな気分になる可能性が高まるのです。自分の責任ならともかく、まるで知らない他人の膨大な「ブルーな気分」を拾ってしまわないように心掛けます。何事も最初が肝心。楽しかった連休が終わってしまうのは残念です。しかし気持ちを切り替えるために、連休明け初日はせめて「30分」早く出勤してみてはいかがでしょうか。

休み明けの初日は、その日のうちに完了できるタスクを1つだけ選んで、エネルギーを集中しましょう。1つのことを終わらせれば達成感が得られるので、休暇前と同じルーチンをこなしているような感覚に戻れます。初日から“飛ばし過ぎない”ことも大切。「今日は最低限これをやろう」と決め、それを確実にこなしましょう。

誰にでも起きる、休み明けのブルー。いろいろな工夫をしてなんとか乗り切っていきましょう。自分にあった無理のない創意と工夫はエゴレジのアップにも繋がります。

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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

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