はじめに
寝苦しい夜が続いています。ここ数年の気温上昇は尋常じゃないと感じている人は少なくないはず。カグジョ世代の夏の夜の眠り方の常識と、今の常識はガラリと変える必要が出てきました。とはいえ、熱帯夜のベストな寝室環境作りにはお金がかかることも事実。睡眠に影響が出てしまうのも否めない。そこで今回は、熱い国の人たちの睡眠の工夫を通して、私たちが出来ることは何かあるかしら?を考えてみたいと思います。
暑い国の眠り方から学ぶ工夫
先ず初めに、昨今の日本の夏の寝室作りの常識から。
◇エアコンは点けっぱなしに。
◇室温が最高でも25℃以下になる様に設定。湿度は50~60%(室温が低い時は湿度は高めに、室温が高い時は50%で可)
◇「布団」を掛けて寝る。寝床内温度(布団と体の間の温度)が32~33℃ぐらいになる様な布団を選ぶ。⇒室温が春・冬並みなら羽毛布団でもいいという事。
◇つまり、頭寒足熱の環境を作ることがベスト。
そうなのです。タオルケット1枚で眠れたのは昭和世代の夏。当時は30℃超えることはほとんどなかった。少なからずどこかに土があり、町中がコンクリートやアスファルトで覆われていて夜間の熱が下がらないことが無かった。網戸一つで窓を開けておけば風が通る作りだった。今は窓を開けることすらできない家庭も少なくない。
だからタオルケットで良かったのだ。タオル素材が汗を吸い、空気の流れがあることで乾燥が促され、気化熱で涼をとることが出来ていたのだ。
今は、その常識は通用しなくなったのだ。
さて、暑い国の人々はどのような睡眠の工夫をしているのでしょうか?
例えば、
◇日が落ちた後は室内より屋外の方が涼しいため、屋外で寝る。
◇ハンモックなどを用いて、風通しを確保する。また、揺れることで眠気を誘う。
◇床や土の上に直接寝る。床素材や土の冷たさを利用する。
◇積極的にシエスタをとる。
◇分割睡眠という生活リズムにする。朝日の出前から本格活動し、本気で暑い昼間はあまり動かず昼寝・仮眠、気温が下がった夕方から夜に活動、深夜3時間ほど眠る。など。
実際に、私もカンボジアやベトナムアインドなど、旅先で上記のような光景は沢山目にしました。
床に直接は体痛そうでしたが現地の人は慣れてるわけで。なるほど~そっちの方が涼しいのか!とか、
人様の土地のハンモックであっても、ちょいと休むのに借りて仮眠。したり、要所々々にハンモックがあり誰でも眠れるようになっていたり。
昼休憩のブザーがなると、職員たちは一斉に机の下の床に布一枚敷いて仮眠に入る。なんなら、休憩の合図関係なく、自分の仕事が一区切りついたところで一旦仮眠する。
などなど様々な光景を目にしました。
さて、どんな工夫が出来るでしょう?
世界でも指折りの治安が良い国である日本。でも外で寝るのははばかられるわけで。その工夫は取り入れにくいと思いますが。でも、ちょっと視点を変えてみることもできます。
例えばエアコンが使えなくなった時は、キャンプに出掛けてしまうのも良いかもしれません。森や土や川がある環境はやはり都会より涼しく眠れます。
熱帯夜でエアコンなしだと、室内より外の方が温度が低かったりします。昔ながらの蚊帳などを活用したうえで、思い切って庭やベランダで扇風機を回して空気の流れを作って眠っても良いかもしれません。
ハンモックは空気の流れを確保できると言いました。自分の今使っている寝具を見直してみましょう。通気性は確保できていますか?夏の寝具は「通気性」はとても重要です。
床に直接布団やマットレスではなく、すのこをかませてみたり。敷き寝具の素材そのものを夏用と春秋冬で使い分けてみるとか。
床の冷たさを利用することから、私たちがやりやすい工夫はどんなことがあるでしょう?もちろん大理石の床の上で寝ても良いですが、布団に慣れた我々は、腰を痛めそうですし快眠は期待できないかも。そこで近年登場したクール素材を試してみる。但し、これも様々な種類があります。冷えすぎも睡眠を害しますし、体には良くないため、自分に合った冷え感レベルの商品を見つける必要があります。
そして何より、仮眠をとることに罪悪感を覚えない事。
堂々とシエスタする文化が浸透している国は沢山あります。暑い中働いても、睡眠が十分確保できないで働いても、効率が悪い。休んだ方が効率が良いからそうしている。
え?日中にオフィスは冷房聴いているので暑くないから休んでいる場合じゃない?でもよる寝苦しくて十分眠れていないのでしょ?だったら涼しくて眠りやすいオフィスで昼は仮眠とった方が良くないですか?
昼寝の工夫に力を注いでも良いかもしれません。
全部まとめて連続で〇〇時間眠らなければならない思考は捨ててもよい。分割睡眠であっても、しっかり深い睡眠の時間と、浅い睡眠の時間とが確保でき、健康に影響が出なければ何ら問題はなのです。
まとめ
先ずは、現代の日本の夏の寝室常識に合わせるのが簡単だとは思いますが、経済的な事情や物理的な事情があるならば、他にも工夫の使用はある!ということの参考にしていただけたら幸いです。個人的には、シエスタ制度の推進を、皆さんの職場で取り組んでいただけると良いのではないかと考えていますが。
それでは、今夜も良い眠りを・・・☆
プロフィール
![]() |
Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー) 代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ) 薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。 スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/ 快眠サロン水月~mizuki~ https://mizuki-kaimin.com/ 新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。 *著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社) |
この記事へのコメントはありません。