Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー) 代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ) 研修講師/薬剤師/睡眠改善シニアインストラクター(日本睡眠改善協議会)埼玉県出身。薬科大学卒業後、営業職に従事。医療の現場で心を病む人が増加している現状を目の当たりにし、心理カウンセラー資格を取得。その後、睡眠問題を深く掘り下げるためメンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる中で、睡眠は心と体を元気にし、目の前のあなたに笑顔をもたらす!と確信を得る。 日本にわずか10名ほどしか存在しない『睡眠改善シニア指導員資格』を取得(H29年3月現在)。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』に関するセミナーや、講演活動、『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、企業研修・安全大会講演を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/ 快眠サロン水月~mizuki~ https://mizuki-kaimin.com/新聞連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。 *著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社) |
はじめに
更年期症状は、種類も出方も人によって様々。カクジョ世代の皆様も悩んでいる方がいるかもしれません。今まではそんな事なかったのに、更年期に突入したとたん不眠に悩むようになってしまった。。。なんてこと。
更年期が原因の不眠に、漫然とお薬に頼っても効果がでない!という結果が出てきました。
年期女性の不眠とお薬の関係
「更年期」とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間を言います。
更年期に現れる様々な症状を「更年期症状」と言い、その中でも、症状が重く、日常生活に支障をきたす状態を「更年期障害」と言います。
日本産婦人科学会より引用
その中で、「不眠」の症状は精神系の症状に分類されます。
そして、他と比べて更年期女性の不眠で特徴的な原因・理由として考えられるのは、
◇ホルモンバランスの変化で起こる血管運動神経系の症状(例えば、ほてりやホットフラッシュなど)や夜間尿が夜間の睡眠を阻害するため
◇正常な睡眠や自律神経活動も異常と捉えてしまう認知障害がおこることがあるため
◇睡眠と双方向で因果関係がある、うつ(熟眠阻害)や不安(入眠阻害)など気分障害が閉経移行期に高頻度で増加するため
など、上記ように、特有の理由が存在します。
これに睡眠薬を服用しても、一時しのぎの対処療法にはなったとしても、ホルモンバランスの変化をできるだけ安定させ更年期症状を和らげるという事にはならないのです。
更に、米国のブリガム・アンド・ウイメンズ病院の研究によると、睡眠障害に悩む更年期女性を、眠剤使用群Aと非使用群Bに分けて、障害の種類・薬の種類も分類して、評価し、2年間追跡調査を行いました。
障害の分類は、通常の不眠障害の分類と同じ、①入眠障害②中途覚醒③早朝覚醒に分けて、
これを、全く問題ない~~週5日以上つらいまでの、5段階評価で自己申告としました。
調査のスタート段階では、A群B群の睡眠の質の評価に差はありませんでした。
1年後、2年後にも同様に睡眠の質を評価したところ、A群=つまりずっと睡眠薬を飲んでいた群であるにも関わらず、その評価結果に「ほとんど変化なし」で、B群=睡眠薬を飲まない群と同等の微妙な改善しか見られなかったのです!
また、どの睡眠障害のタイプでも、どの薬のタイプでも、改善が見られなかった。
という結果が出ました。
更年期による不眠に悩む女性が、漫然と薬を飲み続けても意味なし!ということが分かったのです。
また、薬の種類にもよりますが、2年も飲み続けていれば依存が形成されてしまいます。
私も医療現場にいると、飲んでも本人的に満足する睡眠が得られていないにもかかわらず、飲まないと不安・眠れないと思い込んでいる状態になっている患者さんを沢山見ています。
先ずは、生活改善や、自分自身で心を整えることに取り組む。
それでもつらい症状がある場合は、医療でなんとか軽くしていく事を考える。
その場合も、
1)不眠に対する睡眠薬の処方は、あくまでも、とりあえず今日は眠って疲れを取るなど緊急的・短期的な使用の対処療法と位置付ける。
2)睡眠薬にたよるより先ずは、更年期障害にどう対処するかを考える。
ホルモン補充療法や、漢方薬によるバランス回復と症状改善、精神症状が大きい場合は向精神薬の力を借りる(長期連用・多剤併用は避ける)
ということを念頭に置いておいてください。
まとめ
10年は長いです。でも、終わりは必ずやってくるのが更年期。
その後もまだまだ人生は続きます。思い込み不眠シニアや眠剤依存シニアにならないためにも、更年期とどう向き合うか?は大切なことかもしれません。
それでは、今夜も良い眠りを・・・☆
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