ひとりカフェの効用

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

カフェの魅力—それはただの飲食スポット以上のものではないでしょうか。心地よい空間、美味しいコーヒーやフード、さらにはカフェ文化やカフェの役割など、カフェには多くの魅力が詰まっています。お気に入りのカフェで,コーヒーやスイーツを楽しむほかに本を持って行って読書をしたり、ぼーっと外を眺めたりするだけでも、心が落ち着きます。そこで今回はひとりカフェの効用についてのお話です。

ひとり時間がもたらす癒しと回復

長沼佐代子先生(公認心理師/臨床心理士)は、桜心理カウンセリング恵比寿のブログで、ひとり時間を楽しむ大切さを以下のように解説されています。

研究によると,適度なひとり時間は以下のような効果があることがわかっています:

  • ストレスホルモンの減少
  • 創造性の向上
  • 自己認識の深まり
  • 集中力の回復
  • 感情の整理がしやすくなる

特に内向的な性格の方にとって,ひとり時間は単なるリラックスではなく,エネルギーを回復させるために必要不可欠な時間です。

精神分析学者のD.W.ウィニコットは,「ひとりでいられる能力」は人間の成長にとってとても重要な要素だと考えていました。
ウィニコットは,安心できる他者(母親や養育者)がそばにいるという「基本的な安心感」があってはじめて,ひとりでいることが心地よくなると考えました。
赤ちゃんがひとりで遊んでいても,母親がすぐそばにいるときには安心して自分の世界に没頭できます。この経験を積み重ねることで,「誰かが見守ってくれているから,ひとりでも大丈夫」という心の土台ができていくのです。そしてこの「安心感」があることで,大人になってからも「ひとりの時間」を楽しめるようになります。こうやって,ひとりの時間を安心して過ごせる心の状態が育っていることで,他者に依存しすぎることなく,自立した関係を築けるようになるのです。

「ひとりでいるのが苦手」「ひとりになると不安になる」という方もいるかもしれません。でも,少しずつひとり時間を楽しめるようになると,人との関係も自然と楽になります。
ウィニコットが言うように,「安心感」が心にあると,ひとりの時間も落ち着いて過ごせるようになります。すると,他人に過度に依存しなくなり,人間関係がもっと穏やかで自然なものになっていくのです。
たとえば,ひとり時間を楽しめるようになると…

✔ 誰かに依存しすぎなくなる
✔ 相手に「こうしてほしい」と無理に求めることが減る
✔ お互いの距離感がちょうどよくなり,自然体でいられる
✔ 一緒にいる時間をより大切にできるようになる
✔ 他者の「ひとり時間」も尊重できるようになる

自分で自分を満たせるようになると,他人に「満たしてもらおう」としなくなるので,自然と人間関係のストレスが減っていくのです。
長沼先生は、おすすめのひとり時間の過ごし方として、ひとりカフェ、ひとり映画館に加え、自然の中過ごす時間や趣味に没頭する時間など挙げておられます。

サードプレイスとしてのカフェ

アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグ(Ray Oldenburg)は、『サードプレイス』(The Great Good Place: Cafés, Coffee Shops, Bookstores, Bars, Hair Salons and Other Hangouts at the Heart of a Community,1989)で、家庭や職場とは異なる「サードプレイス(第三の場所)」の重要性を説いた人物です。
オルデンバーグは、現代社会において人々が気軽に集まり、社会的なつながりを築ける場所が必要であると主張し、この「サードプレイス」が地域コミュニティの形成や人々の幸福に大きく貢献すると論じました。
オルデンバーグは、サードプレイスが以下のような特徴を持つと説明しています。

1. 自由なアクセスと歓迎される雰囲気
誰もが気軽に訪れることができ、特定のメンバーのみが集まる閉鎖的な空間ではないことが求められます。ドレスコードや会員制などの制約がなく、自由に入れるのがサードプレイスの基本です。

2.中立的な場
サードプレイスは特定の人やグループが支配する場ではなく、全員が平等な立場でいられる場所です。家庭や職場に伴う権力関係や義務感から解放され、対等な関係が築かれることが重要です。

3.心地よい会話ができる
サードプレイスでは、日常の些細な会話が行われ、形式ばらないフランクなコミュニケーションが主となります。ここでの会話は、ストレス発散やリラックス、友人との親交を深める場としての役割を果たします。

4.低コストで楽しめる
サードプレイスは、経済的な負担が少なく、気軽に利用できる場であるべきとされます。これにより、誰でも頻繁に訪れられ、居心地の良さが保たれます。

5.レギュラーの存在
サードプレイスには常連客がいることで、その場所の雰囲気が形成され、訪れるたびに同じような安心感が得られます。常連客がいることで新参者も歓迎されやすくなり、コミュニティが自然に生まれます。

6.雰囲気の平凡さ
サードプレイスは豪華である必要はなく、むしろ居心地の良さや親しみやすさが重視されます。華美でなく、落ち着いた雰囲気であるほど、訪問者がリラックスして過ごせる空間となります。

オルデンバーグは、現代の都市化や職場中心の生活によって、家庭や職場以外の場所での人との交流が減少しつつある点に注目しました。彼は、サードプレイスが地域社会の結束を強め、孤立感を防ぎ、個人の幸福度や充足感を高める重要な役割を果たすと論じています。サードプレイスは人々が「ただ楽しむために集まる場所」であり、そこでは人間関係が深まることで、地域全体にポジティブな影響が及びます。

現代のサードプレイスには、以下のような場所が含まれます。

  • カフェやコーヒーショップ
  • パブやバー
  • 書店や図書館
  • 美容院や床屋
  • コミュニティセンター、フィットネスジム、地域の公園など

また、近年ではSNSやオンラインゲーム内のコミュニティがサードプレイスの一種と見なされることもあり、オフラインだけでなくオンラインの空間でもサードプレイスが重要視されています。
たとえば、SNSを通じて、自分の一人カフェ時間のスタイルを発信することで、他の人々にインスピレーションを与えることができます。自分の楽しみ方や工夫をシェアすることで、同じように一人カフェを楽しむ仲間が増えるかもしれません。このように、一人カフェ時間は、SNSを通じて新たなコミュニティを築くチャンスでもあるのです。

セルフケアとしてのカフェ時間

一人カフェ時間は、単なるリフレッシュの場としてだけでなく、セルフケアの一環としても捉えられます。忙しい日常から離れ、自分自身を見つめ直す時間を持つことで、心の安定を図ることができます。この時間を利用して、自分の感情や思考を整理することが、心のケアにつながるのです。

セルフケアの一環として、リラックスできるアイテムを持ち込むのも良いアイデアです。たとえば、お気に入りのスカーフやブランケットを持参することで、リラックスした雰囲気を作り出すことができます。また、アロマオイルやリラックス音楽を楽しむことで、より深いリラクゼーションを得ることができるでしょう。
さらに、カフェでの時間を「心のトレーニング」として捉えることもおすすめです。瞑想やマインドフルネスを実践することで、心の静けさを保つことができます。カフェという特別な空間で自分と向き合うことで、心の安らぎを得ることができるでしょう。このように、一人カフェ時間は、セルフケアとしての価値が高いものとなります。

以上、エゴレジ研究所からひとりカフェの効用についてご紹介しました。自宅や職場とは異なる、気軽にリラックスできる場所を持つことが、精神的な安定に繋がるとされています。カフェはまさにその第三の場所の代表格であり、自分だけの空間を持つことが心のリセットに役立ちます。忙しいからこそ、あえて時間を見つけてカフェに行く—自分に優しく、心を解きほぐすこの習慣を、ぜひ試してみてください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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