スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
2月14日はバレンタインデー。最近は、バレンタインチョコを自分のご褒美用に購入するという方も多いようです。そこで今回は、チョコレートの健康効果についてのお話です。
チョコレートの歴史
チョコレートの原料であるカカオは、中米で「神々の食べ物」として紀元前から食されていたようです。スペインに征服される前、マヤやアステカで、カカオは神への供物や貨幣として用いられた貴重品でした。苦く刺激の強い泡立った飲み物で、お菓子というよりも煎じ薬のようなものだったようです。
16世紀にスペインに持ち込まれた後、当初は王侯貴族・聖職者の薬や贅沢品としてヨーロッパ大陸に広がりました。19世紀にココア・パウダーや“食べる”チョコレートが発明され、さらに粉ミルクを加えたミルクチョコレートが開発されるに至り、世界中で広く愛されるようになったといいます。
チョコレートの成分
チョコレートの原材料は「カカオ豆」です。チョコレートは、すり潰したカカオ豆(カカオマスといいます)に、搾油によって得られたココアバターと砂糖を加えて完成します。チョコレートは約50%が脂質でできており、それ以外の成分としては、ポリフェノールや植物繊維などが含まれています。
もう少し詳しくいえば、チョコレートには300~500以上の化学物質が含まれています。化学物質は、食品や魚、木など様々な物質をつくっている成分の1つにすぎません。ビタミンやたんぱく質、脂質などの物質も化学物質です。このように、化学物質は日常生活にありふれた物で、体に害のある物質もあれば、良い効果のある物質もあります。
チョコレートのメンタル効果
現在では、チョコレートの健康面への作用が改めて注目されており、さまざまな研究成果が発表されています。メンタルヘルスに関しても同様で、ポジティブな気分をもたらし、ストレスを軽減する作用などについて報告されています。
1)カカオ由来食品の摂取に関する過去の文献を調査解析したところ、カカオ由来食品の摂取が不安と抑うつを和らげ、気分を改善する効果が、少なくとも短期的には認められると結論づけています。
2)米国の1.3万人以上の成人を対象にした「チョコレートの消費と抑うつ症状との関連」についての調査では、高カカオチョコレートを摂取している人は、抑うつ症状の可能性が低いと報告しています。この研究では、「チョコレート摂取の有無」に加えて、「摂取しているチョコレートの種類(高カカオのダークチョコレートか、それ以外か)と一日の摂取量」と、抑うつ症状の関係について調査しています。その結果、非ダークチョコレートの摂取による影響は認められませんでしたが、ダークチョコレートを摂取している人は有意に抑うつ症状の可能性が低かったとのことです。
3)米国ゲティスバーグ大学では、258人を対象に、チョコレートかクラッカーを、注意深く食べるか、無造作に食べるかという4つのグループに分けて「チョコレートと幸福感の増加」について調査しました。結果としては、注意深くチョコレートを食べたグループは、他の3つのグループよりもポジティブな気分を高めたとのことです。
4)スイスで行われた65人に対する「高カカオチョコレートまたはその偽物(本物に偽装したホワイトチョコレート)50gを摂取し、2時間後に大きなストレスをかける」という実験では、高カカオチョコレートを摂取したグループは、偽物を摂取したグループよりもストレス反応が鈍化していたことが明らかになり、高カカオチョコレートがストレス反応を緩和できると報告しています。
近年では、チョコレートの機能性に関する研究も進んでいます。様々な研究を見た結果、主に以下のような効果があることが示されています。
◆リラックス効果
チョコレートにはリラックス効果があると報告されています。この効果はチョコレートに含まれる「テオブロミン」が自律神経に作用することで生まれています。自律神経は、体温や呼吸、消化などの働きをコントロールしている神経です。
◆睡眠のリズムを整える
チョコレートには、睡眠のリズムを整える効果があると報告されています。睡眠のリズムは体内時計で管理されています。体内時計の周期が乱れると、不眠になったり、日中に眠くなったりといった支障が出てしまいます。よって、質の良い睡眠をとるためには、この体内時計の周期を整えることが必要になってきます。
◆認知機能の改善や低下のリスクを下げる
チョコレートに含まれるポリフェノールは、認知機能に作用するという結果が報告されています。実際に、ポリフェノールの一種である「フラボノイド」の定期的な摂取が、認知機能の改善や認知症・認知機能低下のリスクを下げるという報告もありました。わかりやすい例でいうと、チョコレートを食べることで仕事の作業スピードが上がる、チョコレートを定期的に摂取することで老化に伴う忘れっぽさの進行が少し緩和されるなどが挙げられます。
◆気分を調節する
ポリフェノールという成分は認知機能だけでなく、気分にも影響を与えることが報告されています。実際に、慢性疲労を抱える人を対象とした研究では、ポリフェノールが豊富なチョコレートを食べた後は、ポリフェノールが少ないチョコレートを食べた後と比較して、不安に関連する症状が軽減したという結果が報告されています。
上記のように肯定的な報告がある一方でチョコレートはストレス発散を目的とした暴食を促進するという報告もあります。ですので、長期的な気分の安定にはつながらない場合もあることを認識しておきましょう。
チョコレートのデメリット
他のスイーツよりカカオ含有量が多く健康的なイメージですが、実際のところ糖質やカロリーも無視できません。チョコレートを食べ過ぎるとカロリー過多で肥満の原因になる、虫歯や不眠、偏頭痛を引き起こすなどのデメリットがあります。
食べる際は、摂取量に注意しつつ、カカオ含有率の高いものを選んでください。
・カカオの含有率が70%以上の高カカオチョコレート
・原材料表示の最初に砂糖と記載されていないビターチョコレート
高カカオチョコレートであれば砂糖の添加が少ないので、比較的カロリーも抑えられます。それでも、食べ過ぎに注意し、バランスのとれた食生活とともに体にポジティブな影響をもたらすことが重要です。
以上、エゴレジ研究所からチョコレートの健康効果についてご紹介しました。普段何気なく食べているチョコレートですが、心身との関わりを知ることで、健康意識につながります。デメリットを避けるためにも、チョコレートは適切な量を食べて、美味しく健康になりましょう。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
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代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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