どのくらい歩いていますか?

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

ウォーキングの健康効果には大きな注目が集まっており、世代を問わずウォーキングに関心を持っている方は多いようです。歩くことは、体だけでなく、心と脳にも良い影響をもたらします。一般的に「目指すは1日1万歩」など、歩数が多いほど健康に効果があるといわれていましたが、最新の研究結果では、必ずしも「1万歩」ではないことが判明しています。そこで今回は、ウォーキングの最新研究についてのお話です。

「10分」歩数アップの効果

東京都健康長寿医療センター研究所・青栁幸利さんは、2000年から20年以上にわたって、群馬県中之条町の65歳以上の住民5000人を対象に、運動量と病気との関連性を調査・研究してきました(中之条研究)。その結果わかったのが「1日8000歩、そのうち20分は速歩きをすると、健康を維持できる」というものでした。

表は、1日の平均歩数から予防できる病気一覧です。健康づくりにおいて、早歩きなどの「中強度の活動時間」と「どれくらい歩けばよいのか?」が明確に示されています。この研究成果は、高齢者だけでなく成人している方であれば同じようにあてはまると考えられています。
表をよく見てみると、1000歩増やすごとに予防できる病気が増えていくことがわかります。国民健康・栄養調査では「1000歩=10分」とされており、歩く時間を「10分」増やすだけで将来の病気を防ぐことができるかもしれないのです。

1日最低4000歩

ポーランドのウッチ医科大学とアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、日本、オーストラリア、アメリカ、イギリス、スペイン、ノルウェーで約22万7000人を対象に17の先行研究のデータをメタ分析した結果を発表しました。歩数の健康への影響を分析したものとしては、過去最大規模の調査です。この研究は、欧州心臓病学会の国際学術誌「European Journal of Preventive Cardiology」に2023年8月8日に掲載されました。

研究結果によると、1日最低4000歩歩くだけで、早死のリスクが大幅に低減することが判明、さらに1日2337歩歩くだけでも、心血管疾患による死亡のリスクを低減できることが示されました。
4000歩から2万歩まで、1日の歩数が1000歩増えるごとに全死因による死亡リスクが15%低減。500歩で心血管疾患による死亡リスクを7%低減する可能性も判明しています。
年齢別では、60歳未満は、1日の歩数が7000歩から1万3000歩の間で最も急激な健康増進が見られましたが、60歳以上では6000歩から1万歩でした。

同研究チームを率いたポーランドのウッチ医科大学のマチェイ・バナッハ心臓病学教授は、「この差は、『早ければ早いほど良い』という公式によって説明できる」と述べています。教授いわく、推奨レベルの定期的な身体活動であれ、健康的な食事であれ、その他の積極的なライフスタイルの変化であれ、健康への介入を早期に開始することが、コレステロール、血圧、血糖値上昇、その他の疾病の誘因に最も大きな影響を与えるのです。「我々が身体活動の継続と呼ぶ定期的かつ一貫した身体活動を行えば、必ず大きな健康効果が期待でき、長生きすることができるのです」と結んでいます。(CNN、8/8)

週2回しっかり歩くことで健康は維持

京都大学の井上浩輔 医学研究科助教と津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)准教授らの研究グループは、米国の国民健康栄養調査データを用いて、週に1日または2日だけでも1日あたり8,000歩の歩数を達成することで健康に良い影響が得られることを明らかにしました。

今までの研究により、平均的に8,000歩/日以上歩く人は死亡率が低くなることがわかっていましたが、週に数日だけ歩く場合の健康への影響については分かっていませんでした。この研究では、加速度計で測定された歩数の情報を用いて、1日に8,000歩以上歩いた日数が0日、1~2日、3~7日であった場合の死亡リスクをそれぞれ検討しています。

その結果、1週間に8,000歩以上歩く日数が多い人ほど、全死亡と心血管疾患の死亡リスクが低いことが示されました。興味深いことに、その死亡リスク低下率は初めの数日で大きく、週に1日または2日でも8,000歩以上歩いている人は、週に3日以上定期的に歩行している人とほぼ同等の死亡リスク減少を認めました。

この結果は、週に1~2日程度でも目標歩数を達成することが健康に十分良い影響をもたらす可能性を示唆しています。運動の時間を確保できない人や、仕事の都合上定期的な運動が難しい人でも、週に数日間だけ歩く習慣を取り入れることで健康リスクを低減できる可能性があり、現代社会の働く世代や高齢者にとって重要なエビデンスとなることが期待されています。

※本研究成果は、2023年3月29日に、国際学術誌「JAMA Network Open」に、オンライン掲載されました。

体・心・脳への効果

池袋大谷クリニック院長 大谷義夫先生は、歩くことは体だけでなく、心と脳に良い影響をもたらすことにも注目しています(月刊誌『毎日が発見』2024年4月号に掲載、以下、大谷先生)。

「歩くと自律神経のバランスが整ってストレス解消につながり、うつ病などにも効果があることが証明されています。加えて、脳も活性化し、認知機能も改善します」
「歩くことにより体・心・脳が元気になれば、寝たきりの原因となる脳卒中や認知症、フレイルなどのリスクを下げることができ、一生歩ける可能性が高まります」
「健康維持には、激しい運動ではなく、ウォーキングのような軽い運動が効果的という科学的根拠もあります」

「歩くことにより肥満解消はもちろん、血管や筋肉、免疫力など全身の機能が向上。あらゆる病気の改善を促します」
「歩くと不安が和らぎ、ストレスホルモンといわれる「コルチゾール」が減少することが科学的に証明されています。胸を張って歩くと、やる気ホルモンが増え、ストレスホルモンが減るのです」
「歩くことは体だけでなく、脳も活性化させます。発想力や創造力を豊かにする他、認知症の予防も期待できます」
「女性は65cm以上、男性は70cm以上の歩幅で歩いている人は、認知機能低下リスクが低いことが研究で分かっています。横断歩道の線の幅を目安に、広めの歩幅で歩いてみましょう」

ウォーキングのコツ

気軽にできる有酸素運動として人気のウォーキングは、続けるコツがあります。

✓駅までバスや車で行く代わりに、歩く
✓デスク作業が多い人は、1時間に1回立ち上がって動き回るようアラームをかけておく
✓ポッドキャストなどを聴きながら1日30分歩く
✓友達と公園や林道を歩いたり、犬を飼っているなら一緒に歩くのも良い
✓できることから始めること。駅からオフィスまでの10分間のウォーキングから、20分間の公園散策、30分の町歩きと、徐々に増やしていく

“歩きやすい服装”での通勤・勤務(スニーカービズ)が、歩数をどのくらい増やすかどうかを検証した福井県庁の調査によると、スニーカーやウォーキングシューズ、ソールの厚い革靴などの歩きやすい靴で通勤・勤務した方が、1日当たり平均で1,273歩(約27%)歩数が増えたという結果が出ています(最大で約2,900歩増加)。業種によっては、大きく通勤スタイルを変えることが難しい方もいらっしゃるかもしれませんが、休日などに意識して取り組むだけで効果はあると言えそうです。

※併せて参照
春のメンタル対策「朝の散歩」とセロトニン | 神楽坂女子倶楽部|「遊び」×「学び」×「自分磨き」 (kagujyo.info)

以上、エゴレジ研究所からウォーキングの最新研究についてご紹介しました。ウォーキングには体にも心にも脳にも様々なメリットがあります。運動したいけど時間が取れない方、習慣化しにくい方は、通勤にウォーキングを取り入れるのがおすすめです。まずは1駅分歩くだけでも十分。週2~3回、1回10~30分を目標に始めてみましょう。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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