からだと心の免疫力

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

新型コロナウイルス感染拡大を受け、「身体の免疫力」への関心が高まっています。と同時に、2年に及ぶコロナ禍生活のコロナ疲れからうつ状態などに移行しないように「心の免疫力」を高めていくことが大切だといわれています。心への影響の深刻度は人それぞれですが、心に多少なりとも影響を受けていることは否めません。そこで今回は、からだと心の免疫力についてのお話です。

免疫力とは?

免疫力とは、体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体や 毒素 を異物(非自己)として認識し、生体を防御するためにこれを排除しようと働く力。病原体から身体を守り、病気の発症や重症化を防ぐ「防御機能」のことです。

そして私たちの体は、さまざまな病原微生物やがん細胞を排除するための「免疫系」を備えています。免疫系は、おおまかに自然免疫獲得免疫に分けることができます。自然免疫は、マクロファージや好中球などが認識した異物を貪食(排除)することで身体を守るしくみです。一度侵入した病原体の情報を記憶した獲得免疫は、T細胞とB細胞が自分以外の成分(非自己)を認識することで、病原体や感染細胞を攻撃する仕組みです。自然免疫と獲得免疫は密接に関連して生体防御機能を発揮し、私たちが健康に生きていくことを可能にしています。しかし一方で、免疫系はしばしば、自己成分に対する反応(自己免疫)や、無害な外来成分に対する過剰な反応(アレルギー)といった病気も引き起こします。

「免疫系」は、「内分泌系(ホルモン系)」、「脳神経系(特に自律神経系)」とともに、密接に連携しあってホメオスタシス維持のために働いています。

免疫力を高めることで、活性化された免疫細胞がウイルスなどの感染を防ぐことができます。逆に免疫力が低下した場合には、感染症やアレルギー症状を発症しやすい状態になってしまいます。

40歳代から低下する免疫力

免疫力は、生後、18~22歳ごろまで上昇を続けます。そのまま寿命の半ばくらいまでは一定の水準を保ちますが、40歳過ぎから免疫力は徐々に低下を始めます。80歳になってもゼロになるということではありませんが、ストレスを受けると免疫力は低下します。

免疫力が一時的に低下しても、20~30代までは、そのストレスを無くせば比較的早く免疫力は回復します。しかし、問題は40 代以降です。人生半ばを過ぎると、この回復力が鈍化していき、ストレスを受けると、そのまま深刻な疾病に陥ることが多いのです。

免疫力の3割は心が関係

免疫力の維持にとって最大の脅威になるのが、ストレスです。ストレスは精神的・心理的な理由だけではなく、気候などの物理的なストレスも「心」と「身体」に大きな影響を与えます。なかなか終息の見込みの立たないコロナ禍の中で免疫力は脅威に晒されていると言えるでしょう。

日本精神神経学会の副理事長である神庭重信医師は著書『こころと体の対話』のなかで、

情動ストレスは、視床下部を中心とした情動性自律反応、すなわち神経内分泌系と自律神経系の反応を介して、免疫系に影響を及ぼす」と述べています。さらに、

「情動ストレスによって副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の血中量やグルココルチコイドのレベルが高くなると、T細胞やNK細胞といった免疫細胞の機能は広く抑制され、「免疫機能全般の機能低下を招くだろう」とされています。心の状態が自律神経に影響を与え、自律神経の働きが免疫細胞に影響を及ぼすからです。要するに心が弱ると免疫力も低下するのです。

また、医学博士の藤田紘一郎先生は、免疫力の30%は心の問題であると述べられており、笑ったり、楽しかったりすることが、免疫細胞のひとつのNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させると指摘されています。つまり、常日頃の気持ちの持ち方が、免疫力のアップに大きく関わっているようです。

免疫力の維持と向上

免疫力の維持・向上には、正しい理解の上で生活習慣を改善することが必要です。免疫力は、加齢とともに低下するという不可避なリスクがあるため、それ以上の低下を防ぐには、日常生活における低下要因をできる限り減らす、下記のような配慮と自衛策が必要です。

  • 心身のストレスを溜めない
  • 適度な運動をする・質の高い睡眠をとる・規則正しい生活を送る
  • 疲労は短期間でリリースする・身体を温める
  • バランスを考えた食事を心掛ける・腸内環境を整える食べ物や飲み物を摂る

日本産業カウンセラー協会 シニア産業カウンセラーの西田治子さんは、心の免疫力を上げる方法として、以下をあげておられます。

●コミュニケーション
大切なのは「コミュニケーション」。例えば、電話やLINEなどのSNSによる会話、SNSやブログ等に自分の思いを発信するなど、家族や友人、仕事上の関係者などと意識してコミュニケーションを取るようにしましょう。自分の思いを誰かに聞いてもらうことは、カウンセリングを受けているのと同じような効果を生じることがあります。私たちには『心にあるモヤモヤ』を誰かに話したい、心から放したいという欲求が、意識しているかしていないかに関わらずあります。みなさんは自分の思っていることを他人に話すだけで気分がスッとした経験はありませんか? 一人で抱え込まないで誰かに話し、外在化するだけで問題が半分くらい解決したと言えるのです。

●自分が好きで、楽しいと思うことをやること
ストレスがたまると感染症への抵抗力も弱まると言われています。好きで楽しいことをやってストレス解消をしましょう。好きで楽しいことをやることが、心の健康にとって最高の栄養になるので、音楽を聴いたり、歌を歌ったり、ペットと遊んだり、アロマなどの香りを楽しんだり、お笑いを見たり、おかしいときは大声を出して笑ったり。YouTubeなど活用すれば、手軽に音楽や運動、趣味、犬や猫などの動画で楽しむこともできます。

『嬉しい・楽しい・ほっこりする』などの『ポジティブ感情』は、心の健康に良い影響を与え、ポジティブ感情が増えると心身ともに免疫力も上がっていくことが期待できます。好きで楽しいことをやっているとき、脳は良い刺激を感じ、血管は拡張し、血流が良くなり、酸素や栄養などが血液によって全身に運ばれていきます。血行もよくなり、身体が温かくなり、身体の免疫力も上がり、抵抗力が強くなることが期待できるのです。

●セルフコントロール
ストレスには『快ストレス』と『不快ストレス』があり、問題は『不快ストレス』とどう付き合っていくか、どう対応するか、セルフコントロールができるかにあります。つまり、ストレス対応能力をつけていくことが重要です。

  1. 疲れたら休む
  2. 呼吸法などを習得し、副交感神経を高める
  3. ストレスに対応できないときは、一人で抱え込まないでカウンセリングなどを受ける
  4. 問題解決能力をつける
  5. 社会的支援を受ける

など、社会人として必要なストレス対応能力を実践しながら身につけていくことが、特に必要になります。

セロトニンと腸内環境

免疫力を高めるホルモンの一つにセロトニンがあります。ストレスを感じたり、緊張した時に分泌されるノルアドレナリンの働きを抑え、ストレスを軽減する作用があります。気持ちを安定させたり幸福感を高めたりするその効果から「幸せホルモン」と呼ばれたりします。

セロトニンには様々な働きがあり、記憶力を維持したり、朝の目覚め時に脳を覚醒させたり、睡眠ホルモンのメラトニンの原料になったりします。いきいきとした生活を送る上で、適度な分泌が不可欠なホルモンです。実際、セロトニンが不足すると、気分がふさいだりイライラするなど、気持ちの乱れにつながります。セロトニンの分泌を促すには、単調なリズムを繰り返す運動が効果的だと言われます。たとえばウォーキングやスクワットです。また、日光浴もセロトニンを増やします。脳が光の刺激を受けることで、セロトニンの合成を始まるスイッチが入るのです。

セロトニンの大半は腸で作られます。セロトニンの生成には腸内細菌の働きが欠かせないのです。ですから腸内細菌のエサとなる食物繊維を積極的に摂取するなどして、腸内環境を整えることが大切になります。

以上、エゴレジ研究所から、コロナ禍のストレスに負けないからだと心の免疫力についてご紹介いたました。逆境にあっても精神的ストレスに負けず、日頃から心身ともに健康でいるためには、からだだけではなく心の免疫力を高めていくことも大切です。笑顔や笑い声のある一日は、朝一番でワクワクする予定を考えることから始まります。是非、皆さんも免疫力を高めることを意識してみてください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NYこどものくに東京 理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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