スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
40代から50代といえば、心と体、そして自分の周りを取り巻く環境も大きく変化する時期。『残りの人生をどう生きていくか』『今の自分のままで良いのか』などと葛藤し、人生の危機を感じる人が増えると言われています。中年期の約80%が陥るといわれている心理的危機「ミッドライフ・クライシス」、別名”第二の思春期”とも言われます。そこで今回は、第二の思春期についてのお話です。
目次
第二の思春期
「ミッドライフ・クライシス」はいわば「中年の思春期」で、40歳前後に起こる心の危機的状況のことを言います。
婦人服・紳士服の製造販売ブランド、株式会社DoCLASSEが、2021年10月に全国30~50代の女性1,000名を対象に、「第二思春期」と仮ネーミングして、医師で作家の鎌田實先生作成の簡易テストを元に調査を実施しています。 ※ スライド 1 (doclasse.com)
調査の結果、「第二思春期」の可能性が高い方は約6割いました。また、第二思春期の可能性が高い年代は30~34歳の方で、続いて35~39歳が多く、30代が最も多いことがわかりました。さらに、第二思春期に悩んでいるかどうかを聞いてみたところ、「悩んでいる」と答えた方は約1割程度で、「第二思春期の存在を知らなかった」という方が約6割と最も多い結果になりました。
また、現在、夢や目標があるかを聞いてみると、「夢や目標がない」と答えた方が約5割で、年代別に比較すると「夢や目標がない」が最も多かったのは「45歳~49歳」、続いて「35歳~39歳」でした。さらに、「夢や目標がない」と答えた方に夢や目標を持てない理由を聞いたところ、「自分に自信がないから」が最も多い結果となり、続いて「夢よりも安定を望んでいるから」という方が多いことがわかりました。
一方で、「新しい自分を見つけたい」もしくは「新しいことに挑戦したい」と思っているかどうかを聞いてみたところ、約6割の方が「思っている」と回答しました。
この結果について、鎌田先生は次のようにコメントされています。
「夢や目標がない」と答えた方が最も多かったのは、45歳から49歳。この頃、自分の人生の頂上が見えてきます。どんなに頑張っても、こんなものか、という頂点が見えてしまうのです。それでも、この世代の中にも、「新しい自分を見つけたい」、あるいは「新しいことに挑戦したい」と思っている人たちが、6割もいることがとても大事です。 |
ハーフタイム・リセットのチャンス
ミッドライフ・クライシス「中年の危機」を感じるタイミングは人それぞれで、早い人で30代後半、遅い人で50代になってから迎えることもあります。
女性の場合は、更年期の身体的な変化が起きやすい時期と重なるうえ、子育てや家族、キャリアなど考えることが多いために悩みが複雑化しやすくなります。
40~50代になるとそれまでと比べ、エネルギー値も若干落ちてきて、減速期に入っていることは否めないですが、その分、この年齢になったからこその柔軟な対応力や深い思考力が備わっています。
過ぎ去った前半戦にこだわることなく、これから立ち向かう後半戦に向けて気持ちを切り替える、人生のハーフタイムとしてリセットするチャンスとも言えます。自分自身の見直し作業をすることは、年月を重ねるなかで自身が獲得してきた資質を再発見、再確認することにもなります。若い頃に思い描いていた「幸福」と、40代50代になって考える「幸福」は当然変わっています。それに気付くことが、リセットを成功させるかどうかのカギになるのです。
人生後半のチェックリスト
人生を豊かなものにするため、自身の衰えと上手に付き合いながら自身の価値観に即した生き方を目指すのがリタイアしない生き方のすすめです。何からリタイアしないかというと、「人生を前向きに生きる意志」を捨てない、「心の現役感」を失わないということ。
そのヒントを、セゾンのくらし大研究(編集部 2023.2)から抜粋してご紹介します。
※ 50歳。そうだ、幸せになろう | セゾンのくらし大研究 (saisoncard.co.jp)
◆感動していますか?
感動するというのは、「心が動く」ということです。生き生きと活動し続けるためには、心が動かなくなっていくことが一番良くないと考えています。
感性をさびつかせないためには、「自分の体験にしていく」ことが大事です。たとえば、オリンピックで誰がメダルを獲ったというニュースに接しても、それだけでは感動はしません。しかし、その選手の背景を知り、その試合に身を入れて観ることで感動します。小説や映画も、あらすじを知っただけでは感動しません。実際に読んだり、観たりすることで、感動が湧きます。感動は、エネルギーを省力化して、結果だけを知るところには起こりません。自分自身を関わらせていかないと味わえないものなのです。
◆「ワクワクすること」を増やせていますか?
人生後半を充実させるテーマとして、「ワクワクを増やす」ことが掲げられます。「ワクワク」は、「イキイキ」の火つけ役です。ワクワクのタネを増やしていくことが、イキイキとした時間を増やしてくれます。
ワクワクを増やしていくために必要なことの1つ目は、好きなこと、楽しくなることをやることです。2つ目は、良いところ探しをすること。ただ散歩している時と、何か良い写真を撮りたいと思いながら歩く時とでは、見えてくるものが違ってきます。漫然と見るのではなく、良いところを見つけようとすることで、細やかに関心が向くようになり、気付きが多くなるため心が動きやすくなります。3つ目としては、子どものように面白がることです。子どもは、知りたがり、やりたがりです。何にでも関わってみたい、体験したい子ばかりです。好奇心がそのまま自身を衝き動かす情熱になるのが、子どもの特徴です。
◆お金以外で仕事に求めるものはありますか?
人生後半に向けて大事になるのは、「お金のために」という呪縛から自由になり、「生きがい、生きる意味が感じられる仕事/働き方」に関わることではないかと考えます。ちょっとだけ思考の角度を変えて、報酬よりもむしろ「やりがい」「張り合い」を求めることが、これからの人生を幸せにしていくポイントではないでしょうか。
人生後半からは、自身がイキイキとなすべきことをすることを、すべて「仕事」ととらえることにする、など金銭という報酬があるかどうかはさておき、自身が苦にならず、疲れず、張り合いを持ってエネルギーを注ぐことができる活動を、すべて「自分の仕事」と考えて再定義してみてはどうでしょうか。
◆「自分が必要とされている」と思える場所がありますか?
「自分が必要とされている」と思えることは、人間にとって大きな喜びです。人間は、つながっていたい、社会から必要とされていたいものです。
良くないのは、「自分は世の中から必要とされていないのではないか」と考えすぎて、内にこもってしまうことです。それがエスカレートしていくと、「必要とされない自分には、価値がないのではないか」といった考えにまで陥ってしまいます。
「必要とされる」ことを受動的にとらえるのではなく、「自分が何か役に立てることはあるか」「世の中に貢献できることは何か」という視点を持つことが大切です。自分目線で「役割を果たせそうな場所」を新たに見つけましょう。
◆「この歳にして初めて」体験したこと、ありますか?
歳を重ねることの良さは、豊富な経験を積み、たいていのことはなんとかできる知恵を身に付けていることです。しかし、経験値があることで、「新鮮な刺激」を遠ざけてしまうこともあります。知っていること、慣れていることは安心なので、だんだん新しいことに挑まなくなってしまいがちです。慣れや安心があることによって、それだけ心が動きにくくなってしまう。感性をさびつかせないためには、新しいものや未知の体験に関心を持つ気持ちを失わないことが大切です。
「この歳にして初めて」。そんな体験を積極的にしていきましょう。初めて体験することは、新鮮な驚きに満ちています。湧き立つ感覚があります。新鮮な刺激は、脳と心に活気を与え、アンチエイジング効果をもたらします。
以上、エゴレジ研究所から、第二の思春期についてご紹介しました。ミッドライフ・クライシスは誰にでも起こりうる人生の通過点。この先のポジティブなビジョンを描き、その実現のために少しずつでも建設的な計画を実行していれば、未来はきっと明るいものになります。人生は、楽しみながら歩んでいくもの。ぜひ、ポジティブな気持ちでご自身の後半生を思い描き、実現のために一歩一歩進んでいきましょう。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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