大人の好奇心

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

桜が咲きました! ふわっと花びらが開くように、不思議と学習意欲や知的好奇心も芽生えるのがこの季節。とはいえ、長引くコロナ禍のせいでいろいろ制限があります。結果、何をするにも億劫になった、汲々としている毎日がつまならない…など漠然としたモヤモヤを持っている人は意外と多いようです。せっかく新鮮な気持ちになれる春なのですから、目を輝かせるようにワクワク過ごしたいものです。毎日の生活の中で、何かに興味を持って意欲的に行動すると、人生がさらに豊かになります。そこで今回は、大人の好奇心についてのお話です。

好奇心の2パターン

科学雑誌『Nature Human Behavior』(2021)に掲載された最新の研究では、ペンシルベニア大学やアメリカン大学研究者たちが膨大な情報量と閲覧数を誇るオンライン百科事典「ウィキペディア」の閲覧行動を分析して、人の好奇心には主に2つのタイプがあったと報告しています。

研究者たちは149人の実験参加者に、21日間にわたって1日15分ウィキペディアを閲覧するように指示し、参加者たちが訪れたページ数とページごとの滞在時間を測定しました。研究者たちは「グラフ理論」と呼ばれる数学的手法を用いてグラフ化した結果、人の好奇心は「ビジーボディ;Busybody」と「ハンター;Hunter」の2つのタイプに分類できることがわかりました。

ビジーボディ」はより多様な情報を追い求める移り気なタイプで、「ハンター」は一つの情報について深い知識を追い求める探究心旺盛なタイプです。
研究チームのダニエル・バセット准教授によると、今回の調査にウィキペディアが用いられたのは、ウィキペディアでは内向的な人と外向的な人の両方が好奇心を思う存分発揮する機会を得ることができるためとのことです。

さらに実験前に行ったアンケートの結果を分析したところ、知識を求める理由として「知識のギャップを埋めたい」と答えた参加者は「ハンター」に、「斬新な知識が欲しい」と答えた参加者は「ビジーボディ」になりやすい傾向がみられました。また、参加者はビジーボディとハンターのどちらかに常に固定されているわけではなく、閲覧中にビジーボディとハンターが切り替わることもあることもわかりました。

研究者たちによると、この調査によって得られたものは「数値化された好奇心」ではなく、「好奇心はどのように現れるか」ということで、教育や精神医学の面で役立つとされています。研究チームのデビッド・ステイリー氏は「人間は好奇心旺盛な人と好奇心のない人に分けられるという間違った認識が改善されることを願っています」とコメントしました。

大人の好奇心を育てよう!

毎日の生活の中で、何かに興味を持って意欲的に行動すると、人生がさらに豊かになります。大人の好奇心を育ててみましょう。

そのためには—–

1.視野を広げる

◆疑問をもつ癖をつける
好奇心は疑問から生まれます。いつでも「どうしてだろう?なぜ?」という疑問を持つ癖をつけてみましょう。「猫って1日何時間寝てるの?」「ブルーがくすんだ色の名前は何だろう?」など周りを見渡せば色々な「?」が見つかるはず。答えは簡単にスマホで調べるのでOK。自分の「知的欲求」を満たす心地よさを体感することが大切。

◆感じの良い人を観察してみる
感じの良い人を見つけたら、表情や声のトーン・しぐさなど、どうして惹かれたのかを観察して見てください。自分にはないものを発見できるかもしれません。自分を実験台にして、素敵な所を真似してみましょう。

◆ゆっくり新聞を読む時間をつくる
ネットでは、興味のある情報を選択して偏りがちですが、新聞は興味がなかった分野の情報も目に入ってきます。週1回だけもゆっくりと「新聞DAY」の時間を持ってみましょう。

2.興味のスイッチをオンに

◆「初めて」をどんどん体験する
好奇心を育てるには、新しいことに触れる機会を増やすのが近道です。「初めて」の場所や、出来事は、興味のスイッチが入りやすいので、できることからどんどん体験してみましょう。

◆いつもとちがう選択をする
毎朝コーヒー派なら、ハーブティーを飲んでみる。いつもパンツスタイルが多いなら、スカートにチャレンジしてみる。家で仕事しているなら、たまにはカフェや公園で。いつもとちがう選択をすると、シンプルに心が刺激されます。

◆工夫すると楽しい散歩
空を見上げて「今日の雲は羊みたいな形に見える!」とか、たまたま目に入った看板が面白かったり、散歩には発見がいっぱい。毎日同じ場所で写真を撮ってみたり、毎回なにかテーマを決めて歩いてみるのも一興です。また、標識、広告、看板、番地など街の数字を足して脳を活性化させる…というのもありです。季節の風や外の空気を肌で感じると五感が刺激されます。

◆美術館や建物でセンスを磨く
時間のある日は美術館や展示会、ちょっと変わった建物を見に行ってセンスを磨きましょう。「この絵は一体何を表現してるんだろう?」「この建物は誰がデザインしたもの?」と、疑問をもつ癖を最大に生かしてみるチャンスです。

◆気軽なオンラインレッスン
自宅で手軽にスタートできるオンラインレッスン。さまざまな分野について学べる講座や、好きなことで繋がれるオンラインコミュニティなど豊富にあります。1回のレッスンから毎月開催されているものまで、あなたのライフスタイルに合うものが見つけられるかもしれません。

◆ワークショップでお試し体験
ワークショップはいわばお試し体験のようなもの。何か始めたい、夢中になれるものを探したい人にはきっかけ作りになります。体を動かすもの、手芸などの創作系、想像力や表現力をUPさせる分野など、惹かれるものがあれば気軽に参加してみましょう。

◆むかしの趣味に再チャレンジ
「モノにならなかった英会話」「1週間で飽きたお習字」……。誰にでも1つや2つ挫折した経験はあるのではないでしょうか。長いブランクがあっても、一度でも触れたことがあれば、意外と体が覚えているものです。まったく新しい趣味・習い事に挑戦するより、ハードルは低いといえます。

脳は楽しんでいるときに最も活性化されます。どんなことであれ夢中になると、好奇心がかきたてられます。「楽しい」と感じると、脳は神経伝達物質のドーパミンを分泌します。ドーパミンには記憶力を高めたり、やる気を出させたりする働きがあり、高次認知機能が活性化されることがわかっています。

さらに、「好奇心」は脳の神経細胞間のネットワークを増やしていくことに大きく影響しています。好奇心をもった状態の脳は、モチベーションと記憶に関する脳領域の活性化を高めるという研究がアメリカの神経科学者らによって発表されています。好奇心が、神経細胞ネットワークのつながりを強化するのです。

脳は何歳になっても、変化・成長する能力があり、加齢で失われたネットワークも増やすことができるそうです。好奇心をもって好きなことを見つけ、楽しく取り組むこと。いろいろな人とその楽しさを共有することが健康寿命をのばすことにもつながります。

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以上、エゴレジ研究所から、大人の好奇心についてご紹介しました。知らないことに対してアンテナを立てておき、ワクワクすると好奇心は自然に育っていきます。少しの変化と勇気で、いつもの毎日にエッセンスを加えてみましょう。たとえ思ったようにできなくても、また次にチャレンジすればいいのです。上手くいかない事がわかった!という気楽な気分で。ワクワクすることがあれば、すぐに行動してみてください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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