スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
大人になると達成感を得られるような体験が少なくなったと感じませんか。そしてただ、同じことの繰り返しをしている日々に対して満たされない気持ちを抱き、このままで良いのかな…と漠然とした不安感を感じている方もいるのではないでしょうか。日々がルーティン化してしまいやすい大人だからこそ、毎日を楽しく生きていくために、達成感を得ることはとっても大切なことなのです。そこで今回は、達成感についてのお話です。
幸せを感じるのはいつ?
2020年9月に刊行された「AI分析でわかった トップ5%社員の習慣」(越川慎司著・ディスカヴァー・トゥエンティワン)では、働き方のプロフェッショナルである著者の『人事評価トップ5%の人には優れた働き方があり、そこには再現性のある法則が存在するはず』という仮説から、最新のAI技術を使って分析された”できる社員の共通点”が紹介されています。
今回注目したのは、第3章「トップ『5%社員』のシンプルな思考と行動」にある「5%社員」の「達成感」についてです(以下、“ ”は著書引用)。
クライアント企業の社員総計16万人に対して実施したアンケートで「幸せを感じるのはいつですか?」と聞いたところ、一般社員の57%は「土曜日の朝」と答えていたそうです。彼らは「目の前の作業に追われ、あっという間に日々が過ぎていく」と感じており、徒労感にさいなまれていたのだとか。トップ「5%社員」に比べると労働時間が長いのに、上司からの評価につながらないことも多く、稼働日は疲労感を抱えているわけです。そんな状態で土日の休日に入るのですから、十分に睡眠をとれれば幸せを感じるのでしょう。
一方、トップ「5%社員」が最も幸せを感じていたのは「金曜日の夜」。ストレスいっぱいの仕事から解放され、休日が訪れる前の日はワクワクするものです。とはいえ追加ヒアリングによって、「5%社員」が感じていたのは解放感ではなく達成感であることが判明したのです。さらに。
“彼らの62%が達成感をもったときに働きがいを感じています。仕事から解放される喜びではなく、達成と成長を目指し、それを感じられた時に幸せを感じているのです”
“思うように成果を出せずに徒労感と疲労感を持つ一般社員は、そこから抜け出せた「土曜の朝」に幸せを感じ、「5%社員」はしっかりと目標を立ててそれを達成した「金曜の夜」に幸せを感じるということがわかったわけです”
「5%社員」に追加ヒアリングをして見えてきたのは、個々人が持つビジョンが明確であること。「同じミスを二度としない」「きのうの自分よりも成長したきょうの自分でいたい」というようなコメントが多く出てきたというのです。
つまり彼らは、改善と成長を目指しており、それに向けて仕事をしているという感覚を持っているのです。仕事をすること自体が目的ではなく、その仕事によって生まれた成果を重視しています。ですから作業が終わった瞬間ではなく、その作業が成果になったときに目標に到達し、達成感を得るというメカニズムです。
達成感に伴う心理的効果
達成感とは、何かを成し遂げたと思う時に感じる満たされた気持ちのこと。「満足感」「充実感」とは少々意味が違います。「満足感」「充実感」は、何か自分がアクションしてそれが成し遂げられなくても自分が「満足」「充実」をすればOKと言うことで、「できても・できなくても」「達成しても・しなくても」自分の中に生じる感覚と言うことになります。
認知科学の観点では、達成感はポジティブな感情を強化します。成功体験を思い出すことでポジティブな感情を引き起こし、ドーパミンなどの脳の報酬系を活性化させるからです。以下にいくつかの効果を挙げます。
自己成長が実感できる
本来何かできなかったことが出来るようになることは数日前・数ヶ月前・数年前の自分よりレベルが上がっているという変化です。「できた」ことに対して前向きに考えられれば、自分の成長を感じられるようになります。
自己肯定感が得られる
「達成感」を味わえると、自分に対する信頼や肯定感が高まります。自分をつい否定してしまう時は、「〇〇ができなかった」「また失敗した」など上手くいかないことを数えてしまいがちです。でも、自分ができたことを数えられるようになることで、無意識のうちに自分を認められるようになり、色んなことがポジティブに考えられるようになります。前向きな考え方ができると、自分のことも好きになるので自己肯定感が上がってきます。毎日の小さな積み重ねでも「自分はやっぱりできるんだ」と自己効力感を高めるパターンをつくることが重要です。
モチベーション維持・向上
達成感は次に向けたモチベーションの原動力となります。何かが成功すると、次も頑張ろうと思えることがあるでしょう。例えば、腹筋やジョギングをする際に小さな目標を設定し、これを実行することで小さな達成感を感じます。そしてその達成感が、運動を継続させたり、レベルアップしていこうという気持ちに繋がるのです。
チャレンジすることが楽しくなる
自分ができることが増えてくると、自分の新しい可能性を広げたり、もっとスキルアップをするための行動をすることが楽しくなっていきます。毎日とはいかなくても「今回は何をしよう!?」と自分を認めて前向きになれていることで、新しいことに挑戦したり、誰かからの誘いに前向きに返事が出来るようになってくるのです。
目の前のチャンスを掴んでチャレンジしていくと、経験値が増え、自分のスキルとなっていきます。
マンネリ解消になる
自分の可能性が広がっていくと、自分の意思で行動を選択できるようになり、日々の生活にメリハリが出てきます。マンネリ続きでやる気を失っている社員の多くが、「達成感を得られないこと」をその理由に挙げています。すなわち、小さなものでもいいので目標を設定し、そこに向かって努力・達成することは、マンネリ化の解消にもつながります。
ドーパミンが分泌される
達成感を得たときに、人の脳内には「ドーパミン」が分泌されます。「快感ホルモン」ともいわれるように、ドーパミンが分泌されると、人は楽しい、嬉しいという気持ちになります。その気持ちをまた味わいたいと感じ、さらなる“やる気”や“意欲”を高めてくれます。達成感を感じられるような小さなことを毎日実践していくことでドーパミンが放出されて、1日1日に幸せを感じることができるのです。
加えて、情報処理能力や集中力を高めてくれ、さらなる達成感を得るための状態へと導いてくれるのです。ドーパミンがもたらすこの好転サイクルを取り入れることができれば、全体のアウトプットの質と量も大きく改善できるはずです。
以上、エゴレジ研究所から達成感についてご紹介しました。「何だかやる気がないな〜」「何でこんなことしているんだろう?」と感じてしまうときは、もしかしたら『誰かに言われたことを受動的にしている』可能性があります。自分で自分の行動に満足感や充実感を得られる方法の一つとして、どんなに小さなことでも自分で決めたゴールを設定し、ゴールにたどり着く過程も楽しみながら、達成できる喜びを感じてください。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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