《和文化》篠笛にも種類がある

神楽坂女子倶楽部、和文化「かぐや姫チーム」、笛の福原百麗(ふくはら ひゃくれい・藤本博子)です。
篠笛は、ご近所の神社のお祭りの祭囃子や、歌舞伎、日本舞踊の舞台などで生で見たり聴いたりできる機会があります。
お祭りや踊りの会でも、生のお囃子(生バンド)でなく、録音したものを流していることも多いです。

生でなくても、けっこう知らず知らず耳にしていることが、実は多いんですね。

  • 民謡のバックミュージック
  • 落語の出囃子や演芸のバックミュージック
  • TV番組での効果音
  • 映画やドラマ、時代劇など
  • 商店街や盆踊り、夏祭りなどで流れてる音楽(祭囃子ですね)

お祭りなどのピーヒャラピーヒャラという音色と、ちょっとメロディー的な旋律は、ほぼ篠笛です。

篠笛以外の横笛、龍笛や能管などは、聞き慣れてないと聞き分けづらいです。
まずは日本的な音にちょっと興味を持っていただいて、耳を傾けていただけたらなぁと思います。

もう少し詳しく篠笛について説明しますと、実は一種類でなく、いくつか種類があります。

まず大きく分けると、

  • 唄用
  • 囃子用

この2種類です。

加えて、特に唄用では曲や歌い手の声の高さに応じて10段階の音域の笛があります。
一本調子、二本調子・・と呼びますが、プロはさらに細分化された音域の笛を用意していますので、本番では20本近い笛を持って行くこともあります。
音域が違うということは笛の長さが違うということです。

囃子用というのは、文字通り、祭囃子のための笛です。
そして、唄用は長唄など唄(歌)に合わせるもの、メロディー(旋律)を吹くためのものです。

どこが違うかというと、穴の位置や大きさが微妙に違っていて、元々祭囃子で昔から使われていたのが囃子用。
それが戦後に、長唄などの三味線の旋律に合わせるように改良されたのが唄用です。

出典:『「和」の管楽器・打楽器の世界』杉原書店
管楽器「パイパーズ」誌 連載インタビュー記事縮刷版
掲載の篠笛は鳳聲晴由氏作。左が囃子用、右が唄用。
篠笛はこのように穴が空いただけのシンプルなもので、
内側は漆塗りしており、上部(頭部)は塞がっています。

唄用はドレミ調とも呼ばれ、西洋のドレミファにも対応しているので、洋楽器とも合わせやすくなっています。

ちなみに、長唄囃子など伝統音楽をやっている方々は「ドレミ調」という呼び方はしません。
もし楽器店に笛を買いに行かれる時は、ドレミ調と表記していることもありますので、覚えておかれると良いかと思いますが、素人がいきなり一人で楽器を買いに行かれるのは、お勧めしません。

「伝統音楽をやっている方々」といいましたが、伝統・古典音楽とは、ざっくりいうと・長唄(歌舞伎や日本舞踊で使われる音楽)・祭囃子になりますが、舞台などで演奏される古典音楽は、まず長唄囃子を基本的に学びます。
いくつかある流派のどちらかで師匠について勉強し、名前を頂いて(名取)からも、さらに稽古や舞台経験を重ね、習得していくものです。

祭囃子は地域で異なるので、地元の連で教わって活動することになります。
江戸の祭囃子は、江戸里神楽の若山流の家元は長唄囃子、鳳聲流のお家元でもあられるので、他の長唄の流派のプロの笛吹きさん達も祭囃子を教わりに行かれたりという交流もあります。
(もちろん師匠の了承を頂いて)

伝統芸能の世界では、基本、他の流派の先生にレッスンを受けに行くなどということはしません。
これはクラシック音楽でも同じかと思いますが、プロを目指す人や名取で師匠の許しを得ずに、そのようなことをしたら多分破門でしょう。

今回は少々分かりづらい話だったかもしれませんが、伝統芸能、古典音楽にはジャンルがあって、それによって使われる篠笛の種類も違うこと。

伝統芸能にはいくつかの流派があって、プロを目指す人、専門的に勉強するには、どちらかの流派に属し、そこの師匠についてある程度勉強するということをご理解頂きました。

次回は、今回のプチ解説に基づいて、「本物の篠笛の音」について、お話してみようと思いますので、お楽しみに!

また8月に「気軽に篠笛体験講座」を企画しておりまして、そちらでも生の音をお聴き頂ければと思っております。
追ってご案内いたします!

木沢いずみ

梅酒と青森ごはん tuakjam オーナー。

2007年より三軒茶屋にて、「梅酒と青森ごはん」の店、『tuakjam』をオープン。今年で10周年を迎えます。

以前働いていた焼酎バーでの知識を生かして、“酔いしれる「梅酒・焼酎・泡盛・果実酒」を中心に取り揃え、「お酒に合うごはん」を提供しております。一人飲みを楽しく、日々の生活に寄り添う、まさに“大人の学校”のような、お店です。『楽しみながら学ぶ』というのを、テーマに、和ごはん料理教室も定期的に開催。

また、『武士の食卓』では、プロ講師を取得。和文化をみなさんと一緒に「おいしく、楽しく」日本の文化を継承していきたいと思います。

 

 

藤本博子(福原百麗)

伊藤忠商事を皮切りに、転職8回、事務職から営業、大道芸人まで20の職種を経験。16年間、人材派遣・紹介会社にて営業、転職コンサルタントとして勤務後、独立。

これまでのべ1万人以上の就業・転職サポートを行い、2013年には人材大手転職サイト主催のスカウトコンテストにて1位(部門別)獲得。

現在、民間委託の求職者支援訓練指定校(セラピスト養成)にて就職支援講座(自己分析、就活実技、顧客サービス等)及びキャリアカウンセリングを担当。現在、京都造形芸術大学で芸術学を学びながら、アートを取り入れた「じぶん分解ワークショップ」を開発。訓練校やセミナー等で広く活用している。

一方、長唄囃子福原流笛方として演奏活動の他、洋楽(フルート)との比較やビジネスの視点から見た指導は非常にユニーク。

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