スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
🔴心の状態を決めるもの
心にはさまざまな状態があります。例えば、「幸せ」「安心している」「腹が立つ」「イライラしている」「悲しい」「落ち込んだ」といった心の状態は、何に影響されていると思いますか?天気でしょうか、それとも財布の中身でしょうか。仕事の出来や職場の人間関係、家族の人間関係など、心の状態は色々なものに影響されるのですが、最終的に、自分の心の状態を決めるのは自分自身です。
今回は、日本人では数少ない「米国アドラー大学院修士号」取得者でもある平本あきお先生の平本メソッド(人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化)の基本中の基本、「心のスイッチ」のお話をご紹介します。
先生によれば、心の状態は、3つの要因によって決められます。1つは「からだ」。自分の体の使い方によって心の状態は変わります。2つ目は「ことば」。自分の言葉の使い方で心の状態が変わります。3つ目は「いしき」。何をどのように意識しているかによって、心の状態は変わります。
出典/ITmedia エンタープライズ「心のスイッチ」で心の状態を変える
🔴心のスイッチを切り替える
心の状態が大事なのは、それが行動や結果に影響を及ぼすからです。
「大丈夫」「楽勝」――口癖で心の状態を変える
「忙しい」とか「きつい」「大変だ」などの言葉を頻繁に口にすると、どんどんそれが自己暗示されていきます。そうではなく、「余裕、余裕」とか「楽勝、楽勝」とか「行ける、行ける」「大丈夫、大丈夫」という言葉を使ってください。状況が一緒なら、できるだけいい心の状態で対応する方が、いい結果が出ます。「忙しい、忙しい」と言いながらやると、しっちゃかめっちゃかになりますし、「大変、大変」といいながらやると、どんどん自分で大変にしてしまいます。「余裕、余裕」と言いながらやる方がいい結果につながります。
大事なのは、口癖を変えるよりも口癖に気づくことです。自分がどんな口癖を言っているか、気づくのに一番いい方法は、同僚や家族など、身近な人に聞くことです。どういう口癖を言っているか聞いてみてください。「疲れた、疲れた」と言っているかもしれません。
口癖に気づくと、「そうか、こんな口癖を言っているのか、だから心に影響を及ぼしたんだ」ということが分かります。そして、一度気がつくと、今度は口から出た時に自分で気づくようになります。そうすると、その口癖は減ってきます。「確かに、しんどい、しんどいと言っていたら、余計しんどくなるなあ」と気づいた瞬間、しんどいと言いづらくなるのです。できれば、「大丈夫、大丈夫」「行ける、行ける」「楽勝」といった、自分の心の状態がよくなる口癖に変えていきましょう。
「よし! よし! よし!」――声を出し、体を動かして心の状態を変える
また、体の動きでも心の状態を変えることができます。
「これをやりたい」「やらなきゃダメだ」というものを1つ、思い浮かべてください。片付けやメール、キッチンの掃除、ゴミ出し、机の上の整理整頓など、ちょっとしたことで構いません。大したことではないのに、それを見ると気がふさいできて、ついつい避けたりします。そういう時は、ちょっと声を出して気合を入れてみてください。
軽く「よし」と言ってもやる気はでませんが、それをやっている自分を想像しながら、強く「よし! よし! よし!」とやってみてください。かけ声は何でもいいのですが、気合いを入れて、手を打ったりしながらサッと立ちあがって行動し始める状態にいってほしいのです。「よし、よし! さっ、やろう」というように、ちょっとしたことです。「やんなきゃ~」と中途半端に言うだけでは、結局やらないで終わることが多いのですが、ちょっと体を動かしたり声を出したりするだけで、スイッチが入ります。
ため息が出たら笑ってみる――「理由なき笑い」を習慣化
「はぁ~……ははははは(笑)」――思わずついたため息は笑いに変える。ため息をついてしまったら、ついたそばから笑いに変えてみましょう。笑いは心の状態を変えるだけではなく、免疫力まで高めます。だから、笑うことは非常に大事です。
実は箸(はし)が転んでも笑えるのが人間。朝起きた時にただ笑うだけで、心のスイッチをいい状態に切り替えることができます。毎朝、10秒でいいから笑ってください。目が覚めて起き上がる時、歯を磨いたあと、シャワーをしながら、「ははは」と声を出して笑います。笑うのに理由は必要ありません。笑えないと思ったら「笑えることもないのに間抜けにも笑ってる」と、自分を客観的に見て笑ってください。
楽しい場面を想起する――心の状態をよくする
心の状態をよくするミニ実習を紹介しましょう。過去の楽しかった場面を1つ思い出してください。
仕事や家事と関係ない遊びや旅行、趣味でもかまいません。自分が充実しているな、楽しいなという1シーンを思い出してください。まるで、映画館で高級レザーシートに座って、目の前でその場面が映し出されているように、あるいは、その映画の中にいるかのように思い浮かべてください。
思い浮かべましたか?その時に聞こえてくる声や音がありますか。さらに、その場にいるような体の感覚、温かいとか、軽いとか、重いとか、呼吸が楽だとかを感じてください。可能であれば、その時の匂いや味も思い出します。こんなところに意識を向けるだけで、楽しい気持ちになったり、落ち着いた気持ちになったりします。1分くらい思い出すだけで気分が切り替わります。
もしくは、近い未来、何の制約もなかったら、どんなことをしたいかという空想でも構いません。ハワイのビーチでのんびり過ごしたいとか、ヨーロッパに行って美術館を巡りたいとか、ニューヨークの雑踏に行って混沌とした街を見たい、など。本当にやるのか、できるのか、ではなく、想像した結果、「気分が変わる」ことが大事なのです。
これをするのは、職場のデスクより、外の冷たい空気でも吸って行う方がいいでしょう。空気が変われば、体も生理学的に変わります。実際、寒いのにわざわざ外に出てタバコを吸いにいくのは、本当にタバコが好きというより、タバコを1つのツールにして気分を変えたいからです。だったら数分、外の空気を吸って、ちょっとベンチに座って、お茶でも飲みながら楽しい場面を想起して、戻るだけでも、心の状態は変わります。
エゴレジ力を発揮するためには、うまく「心の状態をリセット」することが大切です。日常生活の自分のことをちょっと思い出して、気分が変わる「スイッチ」を試してみてください。たとえば、口癖を習慣化するために、毎日ログインするパスワードをポジティブなものにするーーdajyoubu123とか、rakuraku555とか、megenaiwa888など、いかがでしょうか?
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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