《健康》エゴレジと日本人の幸福感

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

エゴレジと日本人の幸福感

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。

エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

🔴エゴレジとWell-being  

幸福感には、HappinessとWell-beingの2つの研究があります。世界保健機構 WHOで定義されたWell-being(ウェルビーイング)な状態とは、ただ単に健康な状態、心の病がない状態を指すわけではありません。

  • 自分の能力を生かせている(気づいている)
  • 日々のストレスに対処ができる
  • 実り多く働けている
  • 自分が所属するコミュニティに貢献できている

これらの状態を指すと言われています。

(World Health Organization: Promoting Mental Health. Concepts, Emerging Evidence, Practice Geneva: World Health Organization 2004. )

一方、ポジティブ心理学の創設者でもある心理学者セリグマン(Martin E.P. Seligman)は、well-being理論を提唱しています。その理論は、well-beingは5つの要素から構成され、それぞれがwell-beingとして定義される「幸せ」に影響するというものです。

P:ポジティブ感情(Positive Emotion)

日々の生活にポジティブな感情が溢れているほど、well-beingに近づきます。

E:エンゲージメント(Engagement)

エンゲージメントのイメージは、「ぐっと入り込んでいる」という感じ、「没入」です。ある仕事や作業に集中するあまり、時が止まっているように感じたり、没我的な状態になることを表しています。これを専門的には「フロー状態」と言います。

R:関係性(Relationship)

多くの人にとって、人と関わることは幸せにつながるとされています。

M:意味・意義(Meaning)

お金を得るとか、人から尊敬を集めたいという目的のためになされるのではなく、「誰か(or社会とか何か)のためになる意味・意義のある行為」は、well-beingに関係するとされています。

A:達成(Achievement)

達成するためだけに達成する。これはかなり他の要素と関連しています。何かを達成することを目指して、努力し勝負している時は「没入(engagement)」していますし、それが叶うと嬉しくなるのは「ポジティブ感情(positive emotion)」と関連しています。

ちなみに、この5つは頭文字がPERMAになっていますが、それはPermanent(永続)からきています。

🔴日本人の幸福感

内閣府の「幸福度に関する研究会」のメンバーである内田由紀子准教授によると、日本文化における幸福感には北米との比較研究において一定の文化差みられるようです。

北米の幸福感は「自分の能力や環境要因など可能な限り最大化して得られるものとして定義され、「若く健康で、高い教育を受け、収入が高く、人付き合いがうまく、良い仕事を持ち、自尊心の高い人物」が幸福な人となります。

日本の幸福感は、北米の「増大的幸福像」とは異なり、その時どきで変化し、良いこともあれば悪いことも隣り合わせになるという人生観を反映させた「バランス志向幸福像」がみられるようです。

日本人のバランス志向は「足るを知る」の精神にもつながり、「さらなる幸福の上昇」を目指すのではなく、それぞれの重要な領域において一定水準が充足されているかどうかの方が重視されるのでしょう。

もちろん、幸福をもたらすものとして経済状況(生活に困らない程度の経済状況であること)が重要であることは日本でも例外ではないようですが、そのうえで日本を特徴づける傾向として「関係性」があげられています。

とりわけ人との結びつきは大切で、親しい人から情緒的なサポートを得られるかどうかは、北米よりも日本で幸福とより強く関連することが明らかになっています。また、日本では、他者と調和した関係にあるときに得られる快感情(親しみなど)が、幸福感とより結びついているようです。

🔴エゴレジと幸福感

内外の幸福感研究は数多くありますが、エゴレジ研の研究でも、年代を問わずエゴレジは日本人の幸福感と強い関係があることが認められています。エゴレジ得点の高い人ほど幸福感が高くなる傾向があるのです。

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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

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