《健康》エゴレジを始めよう!

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

エゴレジを始めよう!

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

🔴1月11日 起舟の日  

今日1月11日は、古くは漁業に従事する人々が漁の安全を祈って新年最初の船出をした『起舟の日』です。現在でもこの行事が残されている地域もあり、1月11日早朝に、父親の漁師と跡取りが神社に参拝しお祓いを受け、御神酒と御供米を口にし、港に向かいます。その後、漁船に手を合わせ、豊漁と海の安全を祈願します。起舟といわれているのは富山県や石川県の海岸地方に限られていて、他の県では「船祝(ふないわい)」や「船霊節句(ふなだませっく)」と呼ばれています。旧暦の1月11日で2月11に行うところもあります。

ともかくも、1が3つも重なるめでたい日で、ものごとを初めるときに選ばれることの多い日です。これまでコラムを読んでいただいたあなたも、今日からエゴレジを始めてみませんか?

🔴エゴレジの3つのキーワード

1.柔軟性

一つの仕事を長く続けていると、経験を重視し効率優先など自分の視点だけで仕事をしてしまいがちです。過去の経験は貴重な情報ですが同時に先入観や固定観念を生み出す危険性もあります。限定されたものの見方はアタマを堅くし、臨機応変に状況に対処できない原因となります。ちょっと一手間を加えてみる、やり方の順序を変えてみるなどで今以上の仕事ができる可能性があるのです。

また何かしようとするとき、人任せにするより、自分からアレコレ提案したり、実際にやってみてもいいですね。

脳トレにも柔らかアタマのヒントがありました。

『身近な人の「いいところ」を思いつく限り書き出してみる。思いつかない場合でも、最低4つは必須とする』というものです。相手をイメージし、あるいは観察し、相手のことをアレコレ考えると、相手のいろいろな面が発見できるそうです。このトレーニングを続けていると、無意識に相手のいいところに気づくようになるといいます。エゴレジの高い人は、柔らかアタマの持ち主なのです。

2.好奇心

米ペンシルベニア大学のBen Dean博士は「好奇心の強い人は良い聞き手であり、会話が上手な人が多い」と指摘しています。人間関係を築く上で好奇心は欠かせない要素だそうです。一方、生涯を通して“積極性”を忘れず、脳に知的な刺激を与え続けることで認知症になるリスクが減ることを米メイヨ・クリニックのDavid Knopman教授が約2,000人を対象にした調査から報告しています。

好奇心は常に新しいものを取り入れる積極的な姿勢につながります。新しい知識も得られ、視野を広げることもできます。

誰でも幼い頃は「なぜ?どうして?」の宝庫だったはず。齢のせいにせず、億劫がらず、やってみましょう。たった一つのことでいいのです。興味や関心を持って行動してみてください。それが、エゴレジの力に直結しています。

高齢者の幸福感を調べた心理学の研究では、「もう歳だから…」「新しいことをする気にはならない」と答えた人は「幸福感」や生活の「イキイキ度」が低いことが分かっています。幾つになっても、好きなものに興味を持ち追求しようする気持ち、新しいことにもチャレンジしてみようという姿勢が、「幸福感」を高め、元気にしてくれる原動力になっているのです。

好奇心を持って新しいことに挑戦してみる姿勢がエゴレジを高め、脳を活性化してくれます。

3.立ち直る力

自分ではどうしようもないマイナス要因を数えあげるより、自分の持っているプラス要因(家族や友だち、環境や健康など)を味方にして最善の策を見つける努力。それが、エゴレジを高めてくれます。

ちょっとした実験があります。 次の図をみてください。

三角形を認識しますか?四角形の集まりと捉えますか?

上の図は、下のどちらの図と似ているでしょうか?

正解のある問題ではありません。どちらを選ぶかは、そのときの感情の状態によるという結果がでています。ポジティブな感情を持った人は、大きな構図でものを見る傾向が現れるので大きな概念(下の三角形)を選び、ニュートラルな感情やネガティブな感情を持った人は、周辺視野が縮小するので点を結んで大きな構図で見ることをしない傾向があるのです。この実験を通して、ポジティブな感情を持つことにより、人の関心範囲を拡張できるということがわかりました。

この実験をしたバーバラ・フレドリクソン先生は、「私たちの感情は、単純な因果関係によって、ものの見方に結びついています。ポジティブな感情が心のなかを流れると、視野が広がり「森も木も」両方見える状態になります」と指摘しています。

ポジティブな感情を持って、自分の周りを見なおしてみましょう。どんなときにも強い味方が見つけられるはずです。立ち直りのエゴレジ力はそんなところから生まれます。

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次回は、別のテーマでエゴレジのお話をご紹介します。

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