| スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
AIやSNS、ビジネス・家庭・教育環境の変化が激しい現代。仕事や人間関係、日々のストレスなどから、つい自分の気持ちに蓋をしたり、無理をしてしまうことがあります。そんなとき、雲や水のように形を変えながらも本質を保ち、自然に流れを受け入れる柔軟さが、ストレスや混乱を乗り越える力になります 。そこで今回は、「自然に委ね、無理なく流れる」行雲流水というセルフケアについてのお話です。

行雲流水の意味するもの
行雲流水は、文字どおり「行く雲、流れる水」を表し、雲が風に流されて空を進み、水が地形に沿って自然に流れる様子を指しています。転じて、物事に執着せず、自然の流れに身を任せる態度や、柔軟に対応する姿勢を意味します。
出典は蘇軾の「謝民師推官に與ふるの書」とされていますが、ほかに「宋史 蘇軾伝」とも考えられています。(「宋史」巻三百三十八 列伝第九十七に、「蘇軾 子過」)
つまり、明確な出典がないものの、人々に愛され続けている言葉といえます。
この言葉は、中国の古典思想や禅の教えにも通じており、特に道教や禅宗では、自然体で生きることの大切さを説いています。「無為自然(むいしぜん)」、すなわち「何も無理をせず、自然のままでいること」が理想とされています。
「行雲流水」は、自然体で生きることの大切さを教えてくれる言葉です。ビジネスシーンでも、日常生活でも、柔軟に、無理なく、心地よく過ごすためのヒントが詰まっています。

行雲流水というセルフケア
大谷翔平選手が影響を受けた中村天風の教えの中で「行雲流水」の精神が紹介されており、ストレスや不安を和らげる処方箋として語られています。
「行雲流水」は、心の健康を保つための大切な心構えです。「行雲流水」は、頑張りすぎて心が固くなったときに、ふっと力を抜くための知恵でもあります。 あなたの日常で「流れに任せる」瞬間を少し増やすと、心が軽くなるかもしれません。
ストレス軽減:現代社会では、仕事や人間関係などで心が疲弊しがちですが、「行雲流水」の精神を持つことで、過度な期待や執着を手放し、心に余裕が生まれます。
柔軟な対応力:予期せぬ出来事に対しても、流れに逆らわず受け入れる姿勢が、冷静で前向きな対応を可能にします。
自己肯定感の向上:無理に理想を追い求めるのではなく、今ある自分を受け入れることで、心の安定につながります。
「行雲流水」は、レジリエンスの“態度”や“在り方”に近いものです。つまり、行雲流水のような「流れに身を任せる心の柔軟さ」がレジリエンスを高めるためには重要です。逆境に抗うのではなく、受け入れながらしなやかに立ち直る力こそが、現代におけるレジリエンスの本質とも言えます。

行雲流水を生活に活かすヒント
「行雲流水」は、ただの言葉ではなく、心の在り方そのもの。肩の力を抜いて、雲のように、水のように生きることで、日々の生活がもっと豊かで穏やかなものになります。忙しい現代社会では、どうしても効率や成果を重視しがちですが、あえて「流れに任せる」ことで、新しい視点が生まれることもあります。
日々の生活に「行雲流水」の精神を取り入れるヒントをご紹介します。
1. 無理にコントロールしない
すべてを自分の思い通りにしようとせず、流れに任せる。
予期せぬ出来事にも柔軟に対応することで、ストレスを軽減。
2. 執着を手放す
過去の失敗や未来への不安にとらわれず、「今この瞬間」に集中する。
禅の教えでは「無一物(むいちもつ)」=何も持たない心が平穏をもたらすとされます。
何かに固執すると、それがうまくいかなかった時に大きなストレスを感じます。「なるようになる」と考えることで、心に余裕が生まれます。
3. 自然との調和を意識する
散歩や瞑想など、自然の中で過ごす時間を増やす。
季節の移ろいを感じることで、心が穏やかになります。
4. 柔軟な思考を持つ
変化に対して「抵抗」ではなく「適応」を選ぶ。時には流れに身を任せ、変化に柔軟に対応する姿勢が大切です。
仕事や人間関係でも、流れに乗ることで新しい可能性が開けます。
5. 小さな習慣から始める
朝のルーティンを見直す、深呼吸を取り入れる、日記を書くなど周りに流されすぎず、自分の心地よいペースを守ること。
完璧主義を避け、自然体でいられる時間を意識的に作ることが大切です。
劇的な変化を起こすことではありません。流されるのでもなく、意図的に力を抜くわけでもなく、意識して”自然に任せることで、心に余裕と平安を取り戻すことができるでしょう。心掛けたいことは・・・
✔ 完璧じゃない自分を許す
✔ 期待通りにいかなくても焦らない
✔ 自分と他人の境界を大切にする
✔ 変わろうとしすぎず、変化に気づく
そうした積み重ねが、いつの間にかあなたの人生の「流れ」を優しく変えていきます。

以上、エゴレジ研究所から「自然に委ね、無理なく流れる」行雲流水というセルフケアについてご紹介しました。行雲流水は単なるリラックス法ではありません。それは、心を軽やかにし、自分らしく流れる生き方への道標です。変化の多い時代に「柔軟性」をもたらし、頑張りすぎから心を休める処方箋として参考にしてほしいと思います。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>
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代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
















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