小さく始める習慣化

スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

日々の生活に現実的な変化をもたらしたいにも関わらず、なかなかそれが続けられない。モチベーションが下がったり、それをやる時間がないような気がしてきたり、三日坊主どころか1度きりで終わった――誰にも経験のあることですが、それには「小さな習慣」が役に立つようです。そこで今回は、小さく始める習慣化についてのお話です。

習慣化って?

習慣化とは、同じ状況のもとで繰り返し行われた行動がやがて定着し、(意志とは関係なく)自動化されて行われることです。つまり、日々の生活の中で、「やるか、やらないか」を考えることなく、面倒だと感じることもなく、勝手に身体が動いて自動的に行動できる状態になっていることを、習慣化といいます。

その都度いちいち決めず、毎日自然と同じようにしている動きのことで、食後に歯を磨くとか、午前中にコーヒーを1杯飲むとか、帰宅したらまずお風呂に入るなど、私たちの毎日は実はすでに習慣まみれなのです。
ただ新しい習慣を身につけるときの問題は、時間がかかることです。

習慣化コンサルタントの古川武士氏(習慣化コンサルティング㈱代表)によると、習慣化したいもの別の期間として、以下が目安になります。

行動に関わる習慣化 勉強、日記、読書など 約1ヶ月
身体のリズムに関わる習慣化 運動、早起き、禁煙など 約3ヶ月
思考に関わる習慣化
ポジティブ思考 約6ヶ月

そこで、多くの人が習慣化に失敗している原因と対策を考えてみます。

1.即効性を求める
習慣化に必要なのは「一定期間の繰り返し」です。短期的な成果や即効性を求めてしまうと、習慣化に失敗してしまいます。先の「習慣化に必要な日数」を念頭においてください。大きな生活変化を伴う行動を習慣化するためには、より長い期間が必要なことを理解し、長期的な視点で習慣化に取り組むようにしましょう。「結果」よりも「続ける」ことにフォーカスして過ごすと、繰り返しやすくなります。

2.いきなり高い目標を掲げる
高すぎる目標を掲げることも、習慣化に失敗してしまう要因です。高すぎる目標は時間も労力もかかり、モチベーションが続きません。例えば、「5kg痩せる」という目標だったら「毎日体重計に乗る」こと。「毎月3冊以上読書をする」という目標だったら「毎日10ページずつ読む」こと。といったように、毎日繰り返しやすいスモールステップを最初の目標に設定しましょう。スモールステップをクリアして、小さな成功体験を積むことで、自己肯定感も上がっていき、継続しやすくなります。

3.完璧を期して疲弊する
何事においても完璧を求める人も、習慣化できないことが多いようです。完璧にこなそうとする人は、少しでもうまくいかないと感じたり、思い通りにいかないことがあった途端に疲弊し、嫌気が出てきてしまうのです。1回出来なかったからといって、自分に厳しくする必要はありません。取り組むのをやめるのではなく、もう一度別の日にトライしてみましょう。例えば「毎日~を続ける」という習慣で、できない日があったとしても、翌日に2日分やれば良しとするといったように、すぐに「続かなかった」という判断をしないようにしてください。習慣化は「続ける」ことが何よりも重要なので、継続的にとりくめるレベルに設定しましょう。

小さな習慣とそのメリット

新しい習慣を身につけるとき、変化が大きければ大きいほど、やり遂げるだけのモチベーションが必要です。長い間続けるためには、変化が無理のないものに感じられる必要があります。
小さな習慣とは、毎日自分に課すことのできる些細な前向きな行動で、以下の基準を満たすものです。

  • やる気がほとんどなくてもできる
  • やるのに数秒、もしくは数分しかかからない
  • 何度も繰り返しするのが簡単
  • 自分の生活やスケジュールに合っている
  • シンプルで、できるだけ少ない手順でできる

例えば、水を飲む量を増やしたい場合、小さな習慣はコップ1杯の水を飲むことかもしれません。毎日この小さな目標を達成できている限り、水分摂取量を増やすことに成功しています。当たり前だと思うかもしれませんが、だからこそ、どんなに忙しくても、やる気が出なくても、興味を失っても、小さな習慣はうまくいくようにできているのです。

スティーヴン・ガイズ著の「小さな習慣」(ダイヤモンド社)によれば、小さな習慣メソッドの大前提は2つあります。
1.バカバカしいほど小さなステップで行う
2.効果よりも行動を重視する
つまり「とにかく続けること」を重要視しているのです。とにかく続け、何度も同じ行動を繰り返すことで、特定の脳の神経回路を強くすることができ、そうすれば習慣を根付かせることができる、という考え方です。

そのうえで、小さな習慣のメリットとを2つ挙げています。
メリットの一つ目は、習慣化の難所「0 → 1」を乗り越えられる点です。習慣化はロケットのようなもの。最初の立ち上げがもっとも大変、かつ労力がかかります。そこで”バカバカしいほど小さなステップ”を踏むことによって、最初の抵抗を外すことができるのです。
メリットの二つ目は、意志力の消耗を防ぐことができる点です。
本書では、意志力を消耗させる原因が5つ紹介されています。努力/困難の自覚/否定的な感情/主観的な疲れ/血糖値レベル。
だから”バカバカしいほど小さなステップ”を踏めば、意志力の消耗が気にならないほど小さくなります。

小さな習慣の始め方

◆小さな習慣を決める
やはり成功するために大事なのは、一度に小さなことを1つだけやること。小さな習慣を決めて、できるだけ簡単にしてみましょう。自分に余計なプレッシャーを与えないのはどういう行動かを真剣に考えましょう。大事なのは、自分の生活の中で自分が無理なくできることです。自分に合った小さな習慣を決め、それをする度に自分を褒めましょう

・読書なら1日1ページ
・日記なら1日1行、何も書けなかった日は「とくに何もない」と書く
・腕立てやスクワットをやるときは1日1回
・歩数を稼ぐためにちょっと遠回りして帰る  など

◆目標を忘れない
小さな習慣として簡易化するとかなり達成しやすくなりますが、新しい習慣を身につけるにはそれなりに時間がかかります。くれぐれも焦らないように気をつけましょう。日々、習慣を繰り返すうちに、その習慣を生活に追加するようになりますが、常に小さな習慣のもととなった目標を忘れないようにしましょう。追加することは1つだけ、1つ以上やるのが難しい場合は、また最初の習慣に戻って、もう一度やってみましょう。
頻度が増えたり、期間が伸びたとしても、前に戻したら失敗というわけではありません。それでも目標に向かい、習慣を変えることに取り組んでいることに変わりはありません。

◆きっかけがあると楽になる
小さな習慣を成功させるには、きっかけのようなものが必要です。きっかけは、自分が反応するもので、一貫して続けるために頻繁に起こるものでなければなりません。自分の生活に合ったものにする必要があります。ここでの一番のコツは、すでに確立されたスケジュールを、小さな習慣をやるよう促すきっかけとして使うことです。
例えば、「ToDoリストを書く」ことを小さな習慣にしたら、きっかけは仕事場の机についた時にやる、というのもいいでしょう。これなら、普段の日常の一部としてやれるでしょう。
きっかけを利用する別の方法として、スマホやパソコンのリマインダーを設定するのも便利です。最近は助っ人となるアプリもあるようです。
【2024年決定版】習慣化アプリ11選!使い比べて徹底比較ランキング (minchalle.com)

以上、エゴレジ研究所から小さく始める習慣化についてご紹介しました。必要なことは、達成可能であることと、自らの環境にも合っていることです。ライフスタイルに合った小さな習慣は、クリエイティブで前向きな変化を起こす素晴らしい方法ではないでしょうか。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

 

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