集中力と脳のリセット法

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

在宅ワークをする人もオフィスで仕事をする人も、ふとした瞬間に集中力が切れてしまうことはありませんか。そういういう状態で作業を続けても、いつもより疲れが溜まったりイライラが募ってしまったりなど、精神的にも肉体的にもあまりよくない影響を受けがち。そんなときは1度手を止めて、軽くリフレッシュしてみるのがおすすめです。今回は、集中力が切れてしまったときにサッと試せる脳のリセット法をご紹介します。

脳の回路を変えて集中力を再生しよう

脳に関する多数の著書を持つ米山医院の米山公啓院長によれば、「脳を効率的に働かせる一番のポイントは、上手に休ませてあげること」だと指摘されています。

まずは、脳の5つの特徴から学びましょう。

【特徴1】集中力の限界は90分

多くの研究で立証されているのが、集中力は15分周期であること。さらに集中力を持続する限界は90分といわれています。集中できる時間は人によって50~90分と幅があります。自分のペースで時間を決めて、一定時間の集中作業をしたら5~10分程度の休憩とはさむのがいいでしょう。

また、座り続けていると血流が悪くなって、脳のパフォーマンスが下がっています。休憩をとると決めたら、一度立ちあがって動いてみるほうがいいでしょう。

注意したいのは、スマホチェック。スマホは画面が小さく、光るものを見ると脳が興奮するので休憩にはなりません。休憩は音楽を聴くなど、目を使わないこと。一番のおすすめは目をつぶってじっとすること。目にタオルを乗せて視覚を遮り、ぼーっと考え事をしたりするのも効果的です。

【特徴2】「目標」があると脳は頑張る

脳は目標を達成することが大好き。やり遂げると、ドーパミン神経が働いて強い快感を覚えるからです。そして「達成した」という自信が、さらなる集中力を引き出すのです。実現可能な目標をうまく設定するのがいいでしょう。

仕事のステップを細かく区切り、自分のペースに合わせて「午前中はここまで」などと無理のない締め切りを決めて守り、達成感を味わいます。時間の制約があるだけで、自然と脳内で「あと15分でこれを終わらせよう」「30分まではこの作業を続けよう」という目標が設定されます。この仕組みを上手に使うためには、事前にタイマーやアラームを利用して作業に取り掛かるのもいいでしょう。同時にその日の大まかな目標や優先順位なども決められると上出来です。

【特徴3】別の作業をすると脳がリセットされる

同じ仕事を続けると脳の中では同じ刺激が続くため、脳が「飽きて」しまい、集中力が落ちてきます。そんなときは、間に手を動かして引き出しや机の片づけをしたり、お茶やコーヒーをいれたり、五感を刺激するようなことをやると別の回路が刺激され、また意欲が湧いてきます。

また、凝り固まりやすい肩と首、下半身を中心に軽いストレッチを取り入れてみることも—-。椅子に座りながらできる簡単なものでも十分に効果が得られます。

【特徴4】脳の効率アップ食材

脳の主要なエネルギー源は血液中のブドウ糖。これは主に食事中の炭水化物から作られます。朝ごはんは米やパンなどをきちんと取り入れましょう。

日中も、疲れを感じたらチョコなど甘いものを食べて脳に栄養補給をするのも有効です。カカオが集中力を高める効果が期待できるとされ、含有量が高いほど良いとされます。ガムは噛む行為が脳を活性化し、結果的に集中しやすい状態を作るそうです。

また、青魚の脂やナッツ類に含まれるDHAやEPAは、集中力を高める効果があるとされています。

【特徴5】ストレスをためると、脳の働きが悪くなる

ストレスを受けたとき、体は全力で対抗しようとパワーを絞り出します。でもストレスが長く続くとパワーが枯渇し、脳の働きも低下してしまいます。ストレスは「ためない」ことが大事。少しずつでも解消しておくのがいいでしょう。

そのためには、笑顔になったり気が抜けたりするような時間をつくることが大切です。笑顔になることで脳の働きが活発になるのはもちろん、ストレス発散にもなります。緊張した状態が緩んで新たなエネルギーをチャージできるでしょう。

簡単で効果的な脳の回路切替え行動

集中力が途切れたとき、スッキリした気持ちで再び仕事に集中するためにできる脳の回路の切替え行動があります。

【手洗い】手を洗うことで手元が清潔になると、心理的にも心がスッキリする効果があります。また冷たい水で手を洗うことで、刺激を与えて副交感神経が刺激される(リラックスできる)効果があります。

【歯磨き】歯磨き粉の多くにはスッキリするミントなどの香料成分が入っているので、口の中がスッキリしリフレッシュ効果があります。また歯を磨くことで口の中や歯茎が刺激され、脳につながる血流が活発になります。

仕事中、体は交感神経の働きが活発になり一種の緊張状態になっているのですが、歯磨きによる刺激はこれを和らげて、副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれます。

【深呼吸】PCを使った作業をしていると、タイピングのためにどうしても腕を前に突き出し、肩をすぼめ、胸を締め付ける姿勢になります。この姿勢を続けていると、空気を胸いっぱいに吸って吐くことができなくなります。

時々意識して胸を広げ、空気をいっぱいに吸って吐ききることを何度か繰り返しましょう。胸の筋肉が動き、体の中の空気が入れ替わるようなスッキリした感覚になれます。

【空気の入れ換え】エアコンをかけて仕事をしていると、外気を入れると暑い・寒いという理由でつい換気を忘れてしまいます。エアコンは基本的に外気を取り込んではいないので、人が室内で活動すれば酸素の濃度が下がっている可能性があります。感染対策の観点点からも、定期的に窓を開けて新しい空気を入れましょう。

【着替え】在宅ワーカーの場合、エアコンの効いた部屋で作業をしているといっても、実は汗をかいていたりして気づかないうちに不快な状態になっていることがあります。洋服全部は難しくても、靴下を履き替えるだけでも気分転換になります。

【音楽を聴く】集中力が切れてしまった時の音楽の選び方には2つのパターンがあります。

  • 好きな音楽を聴くとテンションが上がり、やる気が出て集中できる
  • リラクゼーション音楽でいったんリラックスすることで体を休める

クラシック音楽には、緊張状態になった体を落ち着かせ、脈拍や心拍数を正常値にしたり、血圧を下げたりする効果があります。この点から「クラシック音楽を聴くことがいい」という話もありますが、自分が好きでない音楽を聴いても逆にストレスがたまるだけです。仕事中に聞くなら、自分の好きな音楽・聴いていて心地いい音楽で構いません。

【香り】柑橘系やハーブなどの爽やかな香りは、すぐに脳に行き届いて頭の中をスッキリさせてくれます。同時にリラックス効果も期待できるので、好きな香りのアロマで気持ちを切りかえることができます。

【仮眠】横にならず椅子に座ったまま15分~20分程度の軽い仮眠をとることで、睡眠不足を解消できるだけでなく、脳の情報処理速度が早くなります。コーヒーを飲んでから仮眠をとると、起きる頃にカフェインが効いてきて寝すぎることを防げるでしょう。

以上、エゴレジ研究所から集中力が切れてしまったときにサッと試せる脳のリセット法をご紹介しました。脳と体がリフレッシュできたら、もうひと踏ん張りしてみましょう!気分が乗らなくても、手を動かしはじめれば意外にも集中の波に乗れるはず。まずは自分に合う手軽な方法を見つけることからはじめてみてください。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。


あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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