人を見る目、ありますか?

 

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

「こんな人だとは思わなかった!」「信じていたのに……!」 仕事やプライベートな人間関係で、こんな風に思った経験がある人も少なくないのでは?人にだまされたり、面倒なことに巻き込まれたりしたとき、「私って人を見る目がないのかも」と思うことがあります。今回は、そんな「人を見る目」を養うヒントをご紹介したいと思います。

「人を見る目」についての調査

一般的な感覚で「人を見る目がある」といったとき、相手の行動やしぐさ、表情、態度、言動などの様子を見て、「この人はこんな性格、特性、能力がある」といったように、その人の全体像がいろいろ見えてしまうような人を指していると思います。他人に対する観察力が鋭くて、一を見て十を知るというようなことです。

博報堂DYホールディングスの企業内ベンチャー「NEWSY」が運営する「気になるアレを大調査!」するサイトしらべぇ編集部が全国10~60代の男女1,653名を対象に行った調査結果があります。

女性のほうが「人を見る目がない」と答えた人が多いようです。ただ、年齢を重ねるにつれその差は小さくなっています。また、男女ともに年齢とともに「人を見る目がない」割合は小さくなっており、人生経験を積むことでだんだんと人を見極められるようになるのかもしれません。

DiSC理論の4タイプの行動傾向

DiSC(ディスク)理論とは、1920年代にウィリアム・M・マーストン博士が提唱した、人間の行動パターンを分析する理論です。マーストン博士はウソ発見器の生みの親としても知られています。この行動傾向から「人を見る目」を養いましょう。

この理論では、人の行動傾向を以下の4タイプに分類します。

  • D(Dominance)=主導型
  • i(influence)=感化型
  • S(Steadiness)=安定型
  • C(Conscientiousness)=慎重型

この4つの行動特性のバランスで人の動機や欲求、その結果表れる行動を分析していくものです。人がどのような行動パターンを示す傾向性があるのかを理解し、その上で自己と他者への認識を深めることができます。

この4タイプの視覚的、聴覚的、体感覚的行動傾向の特徴をあげてみました。

◆視覚的、表情・しぐさ

意識して周りの人の表情、しぐさを観察しましょう。

D(主導)タイプ
リーダー気質のため、成果を重視し、イライラしやすく・相手に指示・命令を出します。そのため、しかめっ面・ガッツポーズ・拳をにぎる・指を天に向かってさすなどの動作をします。

i(感化)タイプ
楽観主義者のため、周りから認めてもらうことを重視し、楽しそうに・明るく振る舞います。飽きっぽく・態度はコロコロ変わりやすいのも特徴です。そのため、笑顔・両手を広げて受け入れるポーズなどの動作をします。

S(安定)タイプ
安定志向のため、安定・安全・安心でいることを重視し、穏やかに・人の意見に従い・裏でコツコツ働きます。そのため、温和な表情・両手を自分の前で重ねる・口は閉じ・口角が少し上がっているなどの動作をします。

C(慎重)タイプ
クオリティ(質)を重視するため、もの静かに・自制心が強く・納得いくまで追求します。そのため、表情が固く・ペンや本をよく手に持ち・口を閉じて・横に広げるなどの動作をします。

◆聴覚(話し言葉)

周りの人の発する言葉、口癖、よく使用するフレーズに注意してみましょう。

D(主導)タイプ 「何?」「しなさい!」「いつまでに」「何が言いたいんだ!」

i(感化)タイプ 「すごい!」「楽しい!」「きゃっ!」「つまんない!」

S(安定)タイプ 「どのようにして?」「よかった」「お役に立つ」「まあまあ」

C(慎重)タイプ 「なぜ?」「いわゆる」「~の結果」「話し言葉に数字が多く入る」

◆体感覚

次に、「人を見る目」を養うのに役立つ「NLP」ついてご紹介します。
NLPは、ジョン・グリンダー(言語学者)とリチャード・バンドラーによって提唱されたコミュニケーション技法です。

N(Neuro)=神経、五感と神経系を通じて得られる経験、
L(Linguistic)=言語、非言語(声の調子や姿勢・表情・ジェスチャー分野)を含む、
P(Programming)=プログラミング、人の行動はパターン化されたプログラムにより起こる、を元に確立されました。

このNLPの研究により、人は外部からの情報を内部で処理する際、外部入力に得意な感覚(視覚・聴覚・体感覚)があるということがわかりました。

以下はその感覚タイプ別の人と話しをするときの特徴です。会話をするときの距離・パフォーマンスに意識を向けてみましょう。

視覚タイプ 入力情報をイメージし、映像として処理するため、相手と離れて会話をします。

聴覚タイプ 入力情報を音として処理するため、相手と近づいて会話をします。

体感覚タイプ 入力情報を肉体的・情緒的に処理するため、身振り・ジェスチャーを多用します。

人は思い込みで見る傾向がある

人を見る目がない=失敗している、と考えた場合、

1)自分の思い込みで見ている
2)実は見ていない(関心が薄い)

という二つのことが考えられます。

「人を見る目の基本は、いかに相手に対する思い込みを持たずに耐えられるかどうかである」そうです。「先入観を持たずに人を見ることができる人」が「人を見る目がある人」ということです。

人は思い込みで見る傾向がある、と自覚することが第一歩です。 “見る”というより“観る”という意識です。まず相手の全体を観るようにしてから、瞳の動き、言葉使い、声の変化や身体の動き(落ち着きがない、急に早口になる、汗ばむ等)にも注意します。じっくり見ていると、相手によって態度を変える人や、外に出た瞬間に態度が変わる人など、案外分かり易い人もいます。そして、妙に調子が良い人、安請け合いをする人などもいるので、最初の数分で自分が受けた印象をその後の行動で検証するクセを付けるとよいかもしれません。

以上、エゴレジ研究所から人を見る目を養うヒントをご紹介しました。いかがでしたか?「人を見る目」はそう簡単に身に付くものではありません。普段から人と接する際にコツコツと経験値を積むつもりで、観察眼を磨くことが大事です。相手に関心を持ち、先入観をオフにするのは、円滑な人間関係を築くためにも有効な習慣です。人間関係を良好に保つために、普段から人を見る目を養っておきましょう。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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