敏感過ぎて疲れていませんか?

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

新型コロナによって起きたさまざまな生活の変化で「最近、疲れやすいな……」と感じている人も多いでしょう。「ニュースやSNS、激しい口調のやりとり、見ても聞いてもつらい」「在宅ワークで一人の時間がなくて息苦しい」「世の中のムードがピリピリしていて気を使う」・・・まわりに敏感な繊細な人たちの声です。あるある!と思った方は、もしかしたら繊細な人「HSP」かもしれません。今回は、そんな繊細な人(繊細さん)のお話です。

繊細な人(HSP)って?

繊細さは生まれ持った気質であり、生まれつき背の高い人がいるように『生まれつき繊細な人』がいることがわかってきました。アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士は、こうした繊細な人たちをHSP(Highly Sensitive Person)と名づけました。

心理学での専門的用語では「感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity: SPS)」とも呼ばれています。脳が外部からの刺激に対して敏感で、身体的刺激だけではなく、対人関係や感情的なことについても、その意味を深く考えて情報処理をする特性と定義されています。

HSPは日本語で「とても敏感な人」「敏感すぎる人」と訳されていますが、HSP専門カウンセラーで自身もHSPである武田友紀先生は、この気質を「いいもの」として捉え「繊細さん」と呼んでいます(『仕事、人間関係の悩みがスーッと軽くなる! 「繊細さん」の知恵袋』(マガジンハウス)。

繊細な人は、光や音、相手の気持ちなど、他の人が気づかない小さなこともよく感じ取ります。その一方で刺激を受けやすいため、疲れやすかったり、ストレスが体調に出やすかったりすることがあります。提唱者のアーロン博士によると、次の4つの性質(感覚)を全て持っている人はHSPの可能性が高いと言います。

1) 物事を深く丁寧に考える
物事を深く理解するため、機知にとんだ発言や、鋭い質問・指摘ができる一方、いろんな可能性に配慮して慎重に考えるため、行動に移すまでに時間がかかる。
2) 過剰に刺激を受けやすい
普通の人にとってはなんでもないことがとても気になる。大きな音、強いにおい、大勢の人がいる場所、突然の予定変更などに弱く、サプライズには楽しむというより動揺する。3) 感情の反応が強く、とくに共感力が高い
人の気持ちを読み取って、相手の考えていることを予測したり、人の感情に共鳴して自分も悲しくなったり、つらくなったりする。
4) 些細な刺激も察知する
小さな音、かすかなにおい、わずかな味の違いなど、普通の人が気づきにくい感覚を感じ取る。痛みにも敏感。

4つの性質に全て当てはまるようならHSPと言えますし、ひとつでも飛びぬけているケースがあれば、その可能性があるそうです。

繊細さん4つのタイプ

内向的な性格が多いと言われるHSPですが、HSPの30%は外向的なタイプです。この外向的なHSPには、HSS(High Sensation Seeking:刺激追求型)という名前が付けられています。HSS型HSPは、刺激を求めて外界に向かうけれども、外で得た刺激によって疲れてしまう……という「矛盾した特性」をもっています。つまり、HSPには、HSPとHSS型HSPと二つに分かれるのです。つまり、HSP、HSS型HSP、HSS、非HSP・非HSSです。

4つのタイプを以下のイラストに示しました。各タイプの枠の中心には、タイプ別の特長を書いています。「○○さん」は、1つのタイプの中でも、さらに二分されますが、両方の特性が当てはまる人もいます(出典※自己肯定感アカデミー ハイリー・センシティブ・パーソン)。

より詳しくチェックしてみたい方は・・・
●アーロン博士によるHSPセルフテスト;http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html

精神科医で『敏感過ぎて生きづらい人のこころがラクになる方法』(永岡書店)の著者でもある長沼睦雄先生によると、HSPは、

頑張り屋で繊細、
他人を思いやれる共感力が高く、
空気を読みすぎたり、
自分と関係ない怒りを自分事のようにとらえてしまったりする。
日本人の5人に1人はHSPで、30~40代の女性に多い。

そうです。周囲を気にしすぎて疲れてしまう、気持ちが落ち着かないなど、「生きづらさ」を感じる特徴に着目されがちですが、実はその感受性の豊かさから才能を発揮する人も多いと言われています。

生きづらさを解消する3ステップ

長沼先生は3つのステップを示されています。

長沼先生は、この3つのステップについて次のようにアドバイスされています。

「感情や感覚は変えられないものですが、考え方や習慣は変えることができます。心構えと覚悟を持ち、自分中心に癒やしやケアを行うことで、悩みや苦しみは解消されていくものです。たとえば人に振り回されてばかりいるなら、折に触れて「人は人、自分は自分」「過去は過去、今は今」と意識して自分に言い聞かせてみましょう。最初はできなくても、自分を責めてばかりいたり、ミスを恐れてがんばりすぎていたりする傾向にも気づき、きっとラクになれるでしょう。」

繊細さんのコミュニティ

繊細さんには繊細さんだけの力があります。それは「感じる力、直感の力、考える力、表現の力、良心の力」です。人一倍繊細だからこそ生きづらさを感じてしまうことが多いHSP。けれどその特徴を自分自身で理解し、「HSP=個性」として認めていくことで、その気質を才能として最大限に発揮できるのではないでしょうか。

繊細さん当事者や、繊細さんのコミュニティが主催している、繊細さん向けの交流会があります。SNSやインターネットで「HSP お話会」「HSP 交流会」などで検索してみてください。繊細さんどうしで話せると、ほっとできるのではないでしょうか。

以上、エゴレジ研究所から繊細さん(HSP)についてご紹介しました。「コロナブルー」で多くの人の不安感が増している今、過度な疲れを感じている方になんらかの気づきがあれば幸いです。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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