Withコロナ 困難にしなやかに適応したい

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

新型コロナウイルスによる世界的パンデミックで激動の時代を生きるいま、われわれは、予測できない複雑な変化に迅速に対応する“適応力“、困難に耐え、柔軟に生きのびる“エゴレジ力“が試されています。
今回は、エゴレジ力を高めるヒントとして、TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」でもとりあげられたメンタルトレーニング指導士の田中ウルヴェ京先生の“ストレスコーピング”のお話をご紹介します。

 誰にも共通するストレス

長引くコロナ禍の暮らしの中で、「家での仕事でメリハリがつかない」、「家事の負担と仕事の両立がうまくいかない」、さらには「家に閉じこもっていると何もかもがストレス」という声があがっています。世代を通して今の状況で抱えるストレスの共通項は大きく2つあります。
1つは「先が見えないこと」。時間的な不確実性は人間に一番堪えると言います。そして、もう1つは「心理的、環境的な不自由を感じていること」。そこで、まず行うべきはストレスへの対処です

今こそ身につけたい“適当力”

適応力とは、漫然と流れに身を任せることではありません。オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のアンドリュー・J・マーティン先生が定義するとおり、適応力には 3 つの要素があります。

  1. 変化に応じて自分の考え方や思考を調整できる
  2. 変化に対する自分のポジティブな反応とネガティブな反応をうまく処理できる
  3. 変化に応じて自分の行動を調整できる

今やるべきこととしては、「自分ができることにフォーカスすること」。そして、「食べる」、「寝る」、「適度な運動」はもちろん、それ以外に今こそ「適当力」の重要性を田中先生は強調されています。
「人は何でも完璧にできない。頑張り屋のお母さんは子育ても料理も仕事も、“どれもちゃんとできないと!”と悩まれていますが、それこそ適当にやるべき」とおっしゃっています。“適当”の意味に関して「ネガティブな意味ではなく、“いい塩梅”でバランスよくやる、今はそのきっかけにしましょう」と。
完全主義、完璧思考をちょっと緩めてみませんか? 当然みんな“ちゃんと”やりたい、でも“ちゃんと”がどこまでなのかを決められるのが適当力の1つ」と指摘されています。
長期戦を覚悟しなければならないニューノーマルの生活です。ある時はリジットな姿勢で過ごしても、自分を解放できる時間を作って休憩し、息抜きすることも大事です。“いい塩梅”でバランスよくやる練習をしましょう。

気づいてほしい“闘争反応”

2番目は、コロナ禍の今は恐怖や焦りを感じざるを得ない状況だけに誰もが「闘争本能が常にオンになっているというイメージをもっておいてほしい」と田中先生。闘争反応は、新型コロナウイルスへの不安によっても引き起こされる可能性があるからです。
恐怖は、脅威から身を守るうえで必要な反応です。生命維持や本能行動、情動行動に関与する大脳辺縁系と分析的な思考などをつかさどる大脳新皮質との複雑な相互作用によって脅威を評価し、これを特定すると「闘争反応」が引き起こされ、アドレナリンが放出されて、動悸や発汗、めまい、息苦しさなど、身体的な反応が現れます。
田中先生は「自分を正当化したくなったときにこそ気をつけてほしい。他人の価値観と闘わないことが肝要。みんながそうなりだすと結果的に心身の健康が保たれなくなる」と補足されています。「言ってはいけないではなく、寛容な指摘という塩梅が大事」とも。私たちは、ストレスや不安があると、逆効果となる行動をとりがちです。不安やストレスを解消するための行動が不安を増幅させているときは、それは「闘争反応」ではないのか自問してみましょう。

感情抑制ではなく感情調整を!

3番目は「チャンネルを変えること」。怖がったり、イラついたりする気持ち自体をなくすこと(抑制)はできませんが、例えばそれを感謝のチャンネルに変えること(調整)はできます。「感謝チャンネルの種類を増やす、いろいろなありがとうを言葉にすることがおすすめ」と田中先生はおっしゃっています。例えば、「ありがとうございます」や「助かります」、「嬉しいです」など、なんでもいいので感謝の気持ちを口に出すと、実は言っている側に感謝のホルモンが生まれるそうです。

カルフォルニア大学ディヴィス校エモンズ教授らは、感謝が幸福にどのように関係するかの研究を行っていますが、感謝することは、心、身体、人間関係のいずれにも効果があり、幸福感をもたらすということです。脳科学的には、感謝することで、セロトニン、ドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンなど、脳と体にいい作用を与える脳内物質が分泌されることがわかっています。

セロトニンは、心のバランスを整える作用があるホルモンで、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関わっています。

ドーパミンは、心地よい、気持ちがよい、この先いいことがあると感じると出てくるホルモンで、やる気や幸福感を生み出してくれます。

エンドルフィンは脳内麻薬とも呼ばれるホルモンで、鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られます。

オキシトシンは、他者を優しくしたり、思いやると分泌されるホルモンで、温かく幸せな気持ちになります。また、ストレスを抑えたり、自律神経を整えたり、血糖値や血圧をコントロールしたり、免疫力アップなどの効果があります。

感謝には効果がたくさんありますが、気恥ずかしくて素直に「ありがとう」と表現できない人も多くいます。日常生活の中で何事にも「ありがとう」と感謝のことばが素直に言えるような習慣を身につければ、たびたび感謝の効果を享受でき満足感や幸福感がえられます。声に出さずとも、まずは心の中でつぶやくことから始めましょう。ノートやメモ帳に書いてみてもいいでしょう。


以上、エゴレジ研究所からコロナ禍のストレス対処についてご紹介しました。「新しい日常」で幕を明けた2021年、健康にも人生にも、エゴレジ力――しなやかな適応力が大切です。

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP