生きる力を養う–秋の養生

代表 小野寺敦子/ 心理学博士

目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
同校 心理学研究科大学院修士課程
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。

GM 畑 潮/心理学博士

「生きる力を養う」とは文字どおり「養生」のこと。自分の身体の状態や生活環境を見つめて、セルフケアをしていくことです。疲れが抜けない、ダルさが取れないなど、なんとなく身体が不調な状態をケアすることは、病気を未然に防ぐことにも繋がります。季節に適した養生をしていくことで、次のシーズンをより心地よく過ごしていくことができます。今回は、秋に取り入れておきたい養生についてのお話です。

秋の「養生」

植物が熟し、気温が徐々に下がってくる秋は、夏の暑さで消耗した体力を回復させ、冬に備えて免疫力を上げておかねばなりません。

日本列島は季節の変わり目にも地域差があります。養生する上で「秋は○○日から〇〇日まで」と断定できるものではないので、それぞれの環境に応じて対応していく必要があります。

「東洋医学」の一つ中医学では、人と自然界との間の密接な関係を重視しています。人は自然界の中で生活しており、季節や気候など外部的環境の変化にあわせて自身の生命リズムを調整し、外界の変化に適応させています。また身体を構成する各組織は互いに密接な関係を維持しています。中医学では、五臓を中心に体の働きをとらえ、五臓がバランスよく働いている状態が健康と考えます。中医学でいう五臓とは単に解剖学的な肝臓や腎臓などの臓器を指すだけでなく、様々な機能(物質代謝や精神活動)をも含み、五臓それぞれが互いに影響しあって生命を支えていると考えています。

また、中医学には未病先防(みびょうせんぼう)と言って、病にかかる前からケアするという考えもあります。

◆基礎体力を養う

夏は体力の消耗が大きく、消化吸収力は衰える季節です。古来、四季の規律を表す「春生、夏長、秋収、冬蔵」という言葉がありますが、秋は人体にとっても収穫の季節で、体力を養う重要な時期といえます。

気候は涼しくなり、人体の陽気は徐々に衰え、朝晩と日中の温度差が大きくなりますので、毎日の生活に注意を払って風邪などひかぬ気配りが必要です。関節痛や高血圧、心臓疾患のある人は、体を冷やさないようにして病気の再発を防ぐよう心掛けなければなりません。また「秋老虎」といって暑さが急に戻ることがありますが、このとき冷たいものを飲んだり食べたりし過ぎないよう気をつけましょう。

◆頑張りすぎず、心を穏やかに保つ

また、秋に対応する感情である五志は[悲][憂]、精神活動は[魄(はく)]です。ふとした時に寂しさを感じたり、意味もなく悲しくなるなど、こころのバランスが崩れやすい季節とも言えます。考えすぎや悲しみ、憂うつは、[肺気]を消耗してしまいます。肺に蔵される[魄]は呼吸や自律神経など意識とは関係なく行われる動きや感覚などをコントロールしていると考えられます。[魄]は呼吸と一緒に、受け入れと手放しの意味があります。[肺]は呼吸をつかさどります。

ストレスがかかっているときは、イライラして呼吸が浅くなりがちです。呼吸が浅いと憂いの感情に支配されやすく、気持ちが沈むと呼吸が浅く短くなります。すると、全身の気の巡りが滞って、さらに気持ちが沈んでいきます。憂いの連鎖を止めるためにも、気持ちが落ち込んでも自分を責めずにしっかりと休む、深呼吸をしてゆっくりとこころを落ち着ける、リラックスすることを心がけていきましょう。

気持ちが沈みやすい秋には、頑張りすぎず、心を穏やかに保つため、愉快に、ポジティブな気分で過ごせるように工夫し、心を養っていくことが重要です。

◆乾燥を防ぐ

秋になると気温が下がり始め、雨も少なくなって湿度が低くなり、空気が乾燥してきます。五行の考え方では秋は肺に対応しており、乾燥した気候は肺の陰気を損傷させ易いと考えられます。そのため、口や咽喉が渇く、空咳が出る、肌が乾燥する、便秘しやすいなどの症状が出易くなります。さらに酷いときは咳込んで血が混ざることもあります。したがって秋の養生は乾燥を防ぐことが第一に重要です。

◆冷えに注意する

乾燥と同時に、秋は冷気も忍び寄ってきます。夏に大汗をかいて人体の各組織は水分が不足している状態といえます。このとき冷気に侵されると、頭痛・鼻づまり・胃痛・関節痛などの症状が現れやすくなります。また慢性病の再発や新たな病気を誘発することもあります。特に虚弱体質の人はこうした気候の変化への適応能力や抵抗力が弱いので、冷えには充分注意が必要です。

秋の「食養生」

収穫の秋と言われるように、秋は自然の恵みでにぎわう季節です。旬の食べ物は、美味しいだけでなく、強いパワーを持ち、生命の力である「氣」を補ってくれます。旬の食べ物が豊富な秋は、「氣」をチャージするのに最適の季節です。

季節や体調に合わせた食生活を考える「食養生」では、旬のものを食べるのが最も理にかなっています。旬のものは味もよく、手に入りやすく、価格もお手ごろなので、いいことづくし。難しく考えず、まずは旬のものを知り、旬の時期に積極的に食べるようにしてみましょう。

肺や身体を潤す作用のある食物と、それを生かす調理法がおすすめです。食べ物は涼・平・温性のもの、味は苦・甘・酸味・適度の辛味を摂り、肺の機能をよくすることが大切です。

肺を養う食材は、「白」色の食材や、「辛味」の食材です。

(野菜) レンコン、さつま芋、里芋、玉葱、茄子、人参、白菜、まいたけ、しめじ、椎茸、銀杏、白きくらげ、豆腐など

(果物) リンゴ、柿、ナシ、栗、アボカド、無花果、ライム、ぶどう、ビワなど

(魚介類)アジ、いとより鯛、カジカ、鮭、鯖、鰆、秋刀魚、平目、鮪、海老、あわび、帆立など

以上、エゴレジ研究所から、秋の養生についてご紹介しました。いかがでしたか。季節に合わせて自分の身体をセルフケアしてあげることで、次の季節を心地よく元気に過ごすことができます。どれも簡単に始められることばかりですので、ぜひ今日から何かヒトツでも生活に取り入れてみてください。

 

エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。

あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>

代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
・・・・同校 心理学研究科大学院修士課程教授
・・・・同校 心理学研究科博士後期課程教授
臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問
NPO法人フレンズスクエア 代表理事

GM 畑 潮/心理学博士
GCDFキャリアカウンセラー
健康リズムカウンセラー

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