ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
🔴豆腐メンタルとこんにゃくメンタル
少し前になりますが、TwitterやSNS、ブログなどで「豆腐メンタル」という言葉が流行していました。豆腐メンタルは、アニメ版である『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』のオリジナルストーリーで、闇遊戯のメンタルが豆腐のようにもろく見えたことから一部のネットユーザーから、豆腐メンタルと呼ばれるようになったことが由来とされています。その後、精神が弱い、精神がもろいキャラクターや人物を指す言葉として一般的に使われるようになりました。
豆腐メンタルの対義語として、「こんにゃくメンタル」という言葉が使われることもあります。こんにゃくメンタルとは、一見豆腐のようにやわらかく見えますが、実は柔軟に対応できる強い精神を持っている人達のことを指します。
🔴豆腐メンタルの人がもつ特徴
いわゆる豆腐メンタルの人の特徴とはどんなものか、アンケート結果があります。
※マイナビスチューデント調べ/調査数:男性145名、女性295名
最近の若者に見られる豆腐メンタルの傾向がある人は、仕事における上司や先輩からの良心的なアドバイスに対して「叱られた」と思い込み、翌日、または長期的に欠勤してしまうことがあるようです。学生時代なら、ショックなことがあっても人付き合いを敬遠したり、学校を欠席したりすることが簡単にできるでしょう。それは、勉学は個人の問題で、人付き合いがなく、頻繁に欠席しても、周囲への影響が少ないからです。しかし、仕事は人と連携を図ったり、綿密な連絡を取ったりしながら行うもの。人と接する機会の少ない仕事であっても、ある程度の協調性やコミュニケーションを意識しながら業務を進める必要があります。業務が滞ることから、すぐに欠勤することもNGでしょう。
一方で、いつも元気で前向き、怒られても切り替えができ、自分の良さも強みも分かっていて、きちんと意見を伝えることが出来る人はいないでしょうか。その様な人のことを表す際に使う言葉が、こんにゃくメンタルということです。
🔴こんにゃくメンタルへの道
豆腐メンタルは、キャラとして使うには面白いかもしれませんが、自分のこころがちょっとした不安やプレッシャーによって壊れてしまい、仕事や生活で毎日ストレスを感じてしまいます。かといって、どんな不安やプレッシャーでも壊れない鋼鉄のような「鋼鉄メンタル」では人のこころの弱さが理解できずに、仕事や生活での人間関係で苦労するでしょう。一見豆腐のように柔らかそうに見えても、どんな不安やプレッシャーでも柔軟に対応できる蒟蒻のような「こんにゃくメンタル」を目指したいものです。「ハタラクティブ」に掲載された豆腐メンタル克服のヒントをご紹介します。
【冷静さを心がける】
自分を冷静に観察しましょう。まずは、「自分はショックを受けやすい傾向がある」ことを認めてあげてください。ショックを受けてからすぐに冷静になれなくても、落ち着いた頃に「ネガティブに傾きすぎていたかも?」と気づけるようになるのがポイントです。豆腐メンタルの人は自分を追い込んでしまいがちなので、気づけただけで成長している、と自分を褒めてあげてください。
心が乱れた際には、焦らず「今、ちょっと悲観的になりすぎていないか?」と一旦立ち止まってみることを心掛けましょう。
【口癖や考え方を意識する】
豆腐メンタルの傾向がある人は、物事をネガティブに捉えがち。とはいえ、ポジティブになろうとしても、簡単に矯正できるものではありません。まずは、日頃の口癖や考え方を見直してはいかがでしょうか。例えば、「辛い」「大変」「怖い」というネガティブワードが思い浮かんだ時には、「辛いけど、成長できる」「これができたら自分はすごい」というポジティブワードに置き換えてみましょう。「もしできなかったら怒られるかも…」とネガティブなイメージも出てしまうかもしれませんが、ひとまず成功するイメージを優先してみてください。それでもネガティブに捕らわれてしまうのであれば、前述したように「今、ネガティブになっている」ということに気づいてあげることから始めましょう。
【完璧な人間はいないことを理解する】
周囲の目や評価が気になる人は、誰にでも長所と短所があり、完璧な人間はいないことを意識しましょう。憧れの人や上司、社長であっても、必ず短所はあります。自分ばかりが精神的に弱く、迷惑をかけていると思わず、自分の弱い部分を認めてあげましょう。「弱ってしまった時は仕方がない」と割り切ることで気持ちが楽になることもあります。
【自分の長所をきちんと評価する】
自信がない人は、自分の短所にばかり目を向けてしまいがちです。中には、自分に長所はないと言い切る人さえいます。短所がない人間がいないのと同様、長所がない人間はいません。まずは、自分の長所をきちんと評価しましょう。自分で長所が分からない場合は、友人に長所を挙げてもらいましょう。
また、人の価値観は違うものです。例えば、「連絡をマメにとる」という人に対して、連絡がマメで安心できる(長所)と捉える人と、連絡が頻繁で鬱陶しい(短所)と捉える人がいるなど、受け取り方は人それぞれです。自分の短所は、人にとっては長所になることもあると理解しておくと良いかもしれません。
【目標を設定し、達成しよう】
高い目標にチャレンジする、資格を取得するなど、何かを達成して自信をつけましょう。高すぎる目標だと挫折してしまい、余計に自分はダメな人間だと思ってしまうことがあります。頑張れば届く程度のレベルを設定してみましょう。
【身体のメンテナンスから始める】
身体の状態が心に影響しているケースがあります。「意識の持ち方次第なのは分かっているけど、なかなか直らない…」という人は、運動をする、姿勢を良くする、生活習慣や食事を見直すなど、外的要因を変えることから始めるのがおすすめです。身体の調子が整うに連れて、積極的にチャレンジしてみよう、とポジティブな思考を得られる人もいます。
豆腐メンタル、ガラスのハート、鋼鉄メンタル、折れない心など精神力を表す言葉はたくさんありますが、弾力性のあるこんにゃくメンタルを目指しませんか。それはエゴレジ力と一致する概念です。強固なメンタルを持っていても、突然バキッと折れることだってあります。困難な状況や逆境に置かれたときに、その不安やプレッシャーをはね返すような硬い「鋼鉄メンタル」ではなく、それを柔軟にしなやかに受け流す「こんにゃくメンタル」を持つようにしましょう。グニャグニャで折れない蒟蒻のように元に戻るしなやかさ、弾力性が必要です。
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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