前回、落語の話の中で少し触れた「出囃子」(でばやし)について書いてみようと思います。
出囃子は文字通り、落語家さんが高座(舞台)に上がる際に流れる音曲(音楽)です。
落語家に限らず、漫才とか芸人が登場する際にも流れますし、プロレスなどの格闘技でもテーマ曲が流れたりしますよね。
そう、登場する時のバックミュージックです。
元は歌舞伎の出囃子ではないかと推察しますが、歌舞伎では四拍子・囃子と呼ばれる楽器(太鼓、大鼓、小鼓、笛(能管、篠笛・・・通常、単に「笛」と呼びます)が舞台上に出て演奏することをいいます。
この囃子は下座音楽といって、歌舞伎の舞台では舞台向かって左手の隠れ小部屋(黒御簾)で演奏していて表には出てきません。(中には舞台に出て演奏する曲目もあります)
そのようなルーツなので、囃子、鳴り物は、能が源である長唄囃子が基本、基礎(いわゆるテクニック、メソッドですね)です。
長唄できっちり手組みを学ぶのが大前提です。さらに端唄や小唄といったお座敷音楽に添える鳴り物には決まった型がありませんので、基本知識・テクニックをもつお囃子さんのセンスや即興力、対応力で決まるといえるでしょう。
端唄や小唄の会には長唄囃子のプロの方が演奏されることはありますが、落語での出囃子に長唄囃子の方が演奏されることはほとんどありません。
それを専門にされている下座、お囃子さんが演奏されています。また落語の出囃子では三味線や当り鉦(金属のキンキンカチカチした音)なども使われます。
出囃子は表に出ないもので、一般の方にはわかりづらくて意味不明、このコラムを読まれてもピンとこないかと思いますし、私も正直なかなか説明しづらいです。
さて、落語家さんによって出囃子の曲目は決まっています。演目によって曲を変えたりすることもあるらしいです。
基本、落語家さんの芸風などによって下座が決めるらしいですが、本人がリクエストされることもあるとか。
曲目は主に長唄、次に端唄がよく使われています。
勧進帳
廓丹前
供奴
小鍛冶
正札附
藤娘
梅は咲いたか
春はうれしや 等々
稀にポップス系の曲もあったりします。
魔法使いサリー
小枝ブルース
イエローサブマリン
デイビー・クロケット
ドラえもんのうた
ウルトラマンの歌
難しい話はひとまず置いて、桜の季節も近づいてきましたし、花見の場で流れているお囃子の音色、テレビやラジオで流れる
落語の出囃子にも少し耳を傾けていただいて、春の風情を音で味わっていただけたらと思います。
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ワード・スピリット 藤本博子
wordspirit.curation@gmail.com
藤本博子(福原百麗)
伊藤忠商事を皮切りに、転職8回、事務職から営業、大道芸人まで20の職種を経験。16年間、人材派遣・紹介会社にて営業、転職コンサルタントとして勤務後、独立。
これまでのべ1万人以上の就業・転職サポートを行い、2013年には人材大手転職サイト主催のスカウトコンテストにて1位(部門別)獲得。
現在、民間委託の求職者支援訓練指定校(セラピスト養成)にて就職支援講座(自己分析、就活実技、顧客サービス等)及びキャリアカウンセリングを担当。現在、京都造形芸術大学で芸術学を学びながら、アートを取り入れた「じぶん分解ワークショップ」を開発。訓練校やセミナー等で広く活用している。
一方、長唄囃子福原流笛方として演奏活動の他、洋楽(フルート)との比較やビジネスの視点から見た指導は非常にユニーク。
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