| スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
季節の変わり目に不調を感じることはありませんか? 春の花粉症、夏の熱中症、秋の感染症、冬の風邪やインフルエンザなど、季節の変化は免疫力と自律神経に大きな影響を与えます。そこで今回は、季節の変わり目の免疫低下や自律神経についてのお話です。

季節と免疫力の関係
秋冬になると風邪や感染症が増えるのは、気温・湿度・日照の変化が免疫低下や自律神経の乱れを引き起こすことが明らかになっています。
●気温低下:低温下では血管が収縮し、白血球の働きが鈍くなって病原体を攻撃しにくくなります。
気温が10℃下がるとマクロファージの働き(白血球に分類される免疫細胞のひとつ)が低下します(Shephard, J Physiol Anthropol, 2016)。
体温の低下は免疫細胞の活動を鈍らせると考えられており、その目安として、体温が1℃下がると免疫力は30%低下するとも言われています。
●湿度低下:秋冬は湿度が30〜40%まで下がる日が多く、これがウイルスにとって最も活動しやすい環境になります。
湿度40%以下でインフルエンザウイルスの生存率が急上昇することが判明しています(Shaman et al., PNAS, 2010)。
さらに乾燥は、鼻・のどの粘膜の防御機能を弱らせるため、ウイルスが体内に入りやすい“スキ”が生まれます。
●日照不足:秋冬は日光量が夏の1/3程度になり、これが免疫ホルモン(ビタミンD)と
メンタル安定ホルモン(セロトニン)を同時に低下させます。
ビタミンD不足は呼吸器感染リスク40〜60%上昇(Martineau et al., BMJ, 2017)させ、
日照不足はセロトニン合成を顕著に低下(Lambert et al., Lancet, 2002)させます。
●睡眠の質も落ちやすい:秋冬は寒暖差で自律神経が乱れ、乾燥で鼻が詰まりやすく、朝の光が弱く体内時計が後ろ倒しになります。
結果として、睡眠の深さ(深睡眠)が低下し、免疫がさらに弱ります。
●血糖乱高下:秋冬は炭水化物の摂取増、運動量の低下、寒さによる自律神経の乱れなどで血糖スパイクが起きやすくなります。
血糖が乱れると炎症が促進され、免疫も弱くなります(Esposito et al., J Clin Endocrinol Metab, 2002)。
●寒暖差疲労:季節の変わり目は「朝8℃ → 昼20℃」のような急な気温変化が多くなり、
自律神経が過剰に働き、免疫が低下します。
朝晩と日中の寒暖差や、気圧の変化は、私たち自身の力ではコントロールしにくい環境ストレスです。こうした環境ストレスが、自律神経の乱れを招き、体調を崩す原因になるのです。

交感神経と顆粒球の関係:
交感神経が優位になると、体内の顆粒球の比率が上昇します。顆粒球は白血球の一種で、殺菌作用を持つ成分を含んでいます。
交感神経が優位なときにはアドレナリンが放出され、顆粒球が活性化します。
これは日中の活動的な時間帯に備えて細菌や寄生虫に強い免疫を保つための適応とされています。
副交感神経とリンパ球の関係:
副交感神経が優位なときは、リンパ球の比率が上昇します。リンパ球は抗体を作って抗原を攻撃したり、汚染細胞を処理したりする白血球です。
副交感神経が優位なときにはアセチルコリンが放出され、リンパ球が活性化します。
夜間やリラックスしているときにウイルスに強い免疫を保つための適応とされています。
秋は、副交感神経から交感神経側へ移行するのでリンパ球から顆粒球側へ移行します。この時期に、顆粒球過剰反応として粘膜や組織の障害の病気が増加します。
このような規則的な日内リズムや年内リズムのほかにも、体調の揺さぶりが起こります。それは気圧の変化によるものです。
気圧は西から東へ約2週間くらいの周期で変わり、高気圧や低気圧をつくります。1気圧は1014hPaであり、これを中心に揺れ動きます。
高気圧(>1014hPa)-交感神経優位-顆粒球増多
低気圧(<1014hPa)-副交感神経優位-リンパ球増多 の関連が生じます。

簡単にできるセルフケア
秋冬の季節変化によって引き起こされる健康リスクを理解し、早めに対策を講じることが、健康を維持するために重要です。
手洗い・うがいが基本ですが、さらに効果的なのが十分な睡眠と栄養です。ビタミンCやプロバイオティクスを含む食事を摂ることで、免疫力を高めることができます。また、部屋の湿度を保つことで、乾燥による感染リスクを減らせます。
秋冬の乾燥は、外気の湿度が低下するだけでなく、暖房器具による室内の乾燥も原因となります。「エアコンの室温を20度で暖房をつけても、湿度が20%ならば寒く感じ、50%で暖かく感じやすい」とのことです。
肌の乾燥を防ぐためには、保湿ケアが大切です。入浴後はすぐに保湿クリームを塗り、肌の水分を閉じ込めましょう。また、室内の湿度を50-60%に保つために加湿器を使うと、呼吸器の乾燥も防ぐことができます。
さらに免疫力を高めるためには、バランスの良い食生活が不可欠です。ビタミンCやEを豊富に含む柑橘類、ナッツ類、緑黄色野菜は、免疫力を強化する食材として知られています。また、プロバイオティクスを含むヨーグルトや納豆などの発酵食品は、腸内環境を整え、免疫機能をサポートします。さらに、魚や卵に含まれるビタミンDも積極的に摂取することで、免疫力の維持が期待できます。
そして免疫力を維持・向上させるためには、規則正しい生活習慣を心がけることが大切です。毎晩十分な睡眠を確保し、疲労回復に努めましょう。また、毎日30分程度の軽い運動を取り入れることで、血流が良くなり、免疫機能が高まります。さらに、ストレスを減らすためにリラックスできる時間を作ることも、免疫力アップに繋がります。

秋冬のメンタルケア
秋から冬にかけての季節の変わり目の環境の変化は、免疫力や自律神経に負担をかけるだけでなく、メンタル面にも影響を及ぼすことがあります。
日照時間が短くなるため、気分が落ち込みやすくなる人も少なくありません。日照不足によるセロトニンの減少は、ストレスや不安感を増幅させる原因とも言われています。「なんとなくの不調」と片付けてしまわず、必要な対策をとりましょう。
| 対策 | 内容 | |
| 光療法・朝日を浴びる | 起床後に自然光を浴びることで体内時計をリセット | 朝の光曝露が睡眠の質と気分改善に有効 |
| 規則正しい生活リズム | 起床・就寝時間を一定に保つ | 自律神経の安定に寄与 |
| 睡眠リズム | 就寝前90分の入浴(38〜40℃程度) | 温熱刺激による深部体温の低下が睡眠導入を促進 |
| 栄養摂取 | 鮭・秋刀魚のEPA/DHA、きのこ類のビタミンD、根菜の食物繊維 | 心血管・免疫・腸内環境改善に効果 |
| 軽い運動 | ウォーキングやヨガを週3回以上 | 有酸素運動が自律神経バランスを整える |
| 趣味や芸術活動 | ドーパミン・セロトニン系を刺激 | 芸術活動による精神的ウェルビーイング改善 |
| マインドフルネス瞑想・ジャーナリング(日記) | ストレスの可視化と軽減 | コルチゾール低下などの効果が報告 |

以上、エゴレジ研究所から季節の変わり目の免疫低下や自律神経についてご紹介しました。季節の変わり目には、簡単なセルフケアで体調管理を意識的に行うことで免疫力と自律神経のバランスを保ち、健康を維持できます。そして秋冬のメンタルケアは「気のせい」ではなく、科学的根拠に基づいた対策が可能です。心身の変化に気づき、無理なく続けられる習慣を取り入れることが、穏やかな季節の移り変わりを支えてくれます。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>
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代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |

















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