| スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
寒い季節になると、温かい飲み物が恋しくなります。飲み物は水分補給だけでなく、栄養素や成分を通じて心と体の状態を整える効果があります。そこで今回は、心を癒す温かい飲み物の力についてのお話です。。

「心を癒す」効果のポイント
厚生労働省によると、十分な水分摂取は体内の代謝を助け、疲労感を軽減する一方、特定の成分(例:抗酸化物質やアミノ酸)はストレス軽減やリラックス効果をもたらします(出典:厚生労働省「健康づくりのための水分のとり方」)。
また、WHOの報告では、食事や飲み物に含まれるビタミンやミネラルがメンタルヘルスに影響を与えるとされています(出典:WHO「Mental Health and Nutrition」)。
●「飲む」という行為そのものの安心感
カップを両手で包み、ゆっくり飲む動作は「セルフケアの儀式」となり、マインドフルネス的効果を生み出します。
●体温上昇と副交感神経の働き
温かい飲み物を摂取すると体温が上がり、血流が改善されます。これにより筋肉が弛緩し、副交感神経が優位になって心拍や血圧が落ち着き、リラックス状態に導かれます。
●香りと味覚の心理的効果
ハーブティー(カモミール、ラベンダーなど)の香りは、大脳辺縁系に直接作用し、不安や緊張を和らげる効果があります。嗅覚は感情に直結しているため、香りを感じるだけで気分が変わることもあります。
●成分による神経伝達物質の調整
トリプトファン(ホットミルクなど)がセロトニンの材料となり、幸福感や安心感を高めます。
L-テアニン(緑茶・抹茶)が脳波をα波に導き、集中力とリラックスを同時に促します。
GABAが神経の興奮を抑え、ストレス緩和に寄与します。
| 飲み物 | 主な成分・作用 | 効果 |
| カモミールティー | トリプトファン | セロトニン生成・安心感 |
| 緑茶・抹茶 | L-テアニン | リラックスと集中力向上・血圧安定 |
| 甘酒 | アミノ酸・ビタミンB群 | 疲労回復・心の安定・腸内環境改善 |
温かい飲み物は、生理学的効果(体温・血流・神経伝達物質)と心理的効果(香り・味覚・飲む行為)の両面から心を癒すようです。科学的にも、ストレス緩和や自律神経の安定に寄与することが確認されているため、日常的に取り入れることで「小さな心のリセット」が可能です。

温かい飲み物を持つと脳の前頭前野が活性化
「冷たい飲み物が入ったカップを持つときと比べて、温かい飲み物が入ったカップを持って接したときの方が他者をより温かい人物であると評価する」という米国のコロラド大学のウィリアムズとエール大学のバーグの研究(2008年)があります。
この研究は、世界的に権威を持つ学術雑誌のひとつ「サイエンス」で発表されたもの。実験では、41人の被験者に温かいコーヒー、あるいは冷たいコーヒーを持たせた後、質問用紙に書かれた人物についての評価を行ってもらいました。
その結果、温かい コーヒーを持っていた人の方が、その人物に対して好意的な印象を述べ、「優しい」「配慮がある」といった、文字通り“温かい”評価をする傾向にあったのです。
この実験は、コーヒーを飲むとカフェインの摂取など個体差が出てしまうため、あくまで触っているだけという条件下で行われました。
つまり、雑談やミーティングのときに温かい飲み物を手にしているだけで嫌な気分が減少し、ポジティブな態度を取る傾向が強くなる……、すなわち他者と対峙する際に、心に余裕を持ちやすくなるわけです。
また、53人の被験者に「新製品の評価」と称して、温かいパッドあるいは冷たいパッドを手渡して評価してもらい、ギフトを選んでもらうという実験も行いました。
すると、温かいパッドを持った人の54%が家族や友人へのギフトを選んだといいます。
一方、冷たいパッドを持った人の75%は自分用のプレゼントを選んだそうです。
実際、温かいものに触れているときは、コミュニケーション力や考える力などを向上させる前頭前野が活性化していることも研究で明らかになっています。
この研究は、「身体的な温度感覚が社会的認知に直結する」という驚くべき心理学的発見でした。単なるのも物の温度が、人間関係の印象を左右するという点で、心理学と日常生活を結びつける代表的な実験としてよく引用されています。

島皮質の役割
島皮質(insula)は、身体感覚と感情体験の橋渡しをしている領域として知られています。上記の研究では、島皮質が温度感覚(たとえば「手が温かい」「冷たい」などの物理的な温度)だけでなく、社会的な温かさ(人とのつながりや安心感)にも関与している可能性が示されています。
温かい飲み物を持つと「物理的な温かさ」が島皮質に伝わり、それが「安心感」や「人間関係の温かさ」と結びついて感じられるようです。つまり、物理的な温度と社会的な温かさが脳の同じ領域で処理されるため、温かいものを持つだけで気持ちが落ち着いたり、人とのつながりを感じやすくなるのです。
また、UCLAのfMRIによる研究では、参加者が「友人や家族からの温かいメッセージ」を読むときと「温かい物体を持つとき」の両方で、島皮質が活性化することが確認されました。つまり、社会的つながりの温かさと物理的温かさは共通の神経回路を共有していることが示唆されたのです。
「温かいものを持つとホッとする」という体験は、単なる心理的比喩ではなく、脳の島皮質が物理的温度と社会的温かさを同じ回路で処理していることに裏付けられています。
温かいものを持っているだけで、他人を温かく受け止め、配慮や気遣いの精神が生まれやすくなる、つまり、優しい気持ちになれるわけです。温かい気持ちを持てば、その分、豊かな人間関係を育みやすくなり、一時の感情で関係性を台無しにしてしまうなんてことも減るはず。体も温まり、他者との関係性もホッとできるものになるでしょう。

以上、エゴレジ研究所から心を癒す温かい飲み物の力についてご紹介しました。温かい飲み物は、日常のストレスや疲れを癒し、心身をリフレッシュする強力なツールです。これから寒い日が続きます。身体や心が冷え切っているなと感じたときには、温かい飲み物で気持ちも温かくしてみてはいかがでしょうか。
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/

<プロフィール>
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代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |

















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