更年期と睡眠第3弾

はじめに

更年期の症状は人それぞれ。肩凝りや頭痛、ホットフラッシュにうつ状態、認知機能の低下や睡眠障害etc…。さらに更年期女性の60%が不眠に悩むとか。ホルモンを介した生体の変化はまだまだ解明されていないことも多数。それらの症状の結果睡眠状態が悪くなりさらに更年期症状も悪化すると言った悪循環も起きがちです。かといって、自分ではホルモンを操ることは難しい。前回は婦人科受診のススメをメインに書きましたが、今回は2つのポイントに絞って自分で出来る対策をお伝えしてみます。

睡眠に影響する2大ポイント

写真のホルモンと女性ホルモンは関係ありませんが。女性は特に性ホルモンの影響をもろに受けます。更年期には女性ホルモンの乱高下が起こります。急激な分泌低下と視床下部下垂体の失調・自律神経変調によって、あのホットフラッシュ(ほてりやのぼせ)が起こります。

先ずは1つ目。
この血管運動神経症状が起こることで、突然の放熱により、中途覚醒を経験する女性は少なくありません。
折角ぐっすり脳波は深睡眠レベルに入っていたとしても、自分の身体に叩き起こされてしまうのです。おかげで主観的睡眠の質は低下します。
さらに、一旦起きたことで目が冴えてしまって再び眠れなかったり、気になってしまって再び眠れない場合も。

そして、更年期の女性は、成熟期(更年期より前で月経周期が卵胞期にある女性)と比べて就寝前~入眠期にかけての放熱のメリハリが乏しいことが分かっています。
顔にほてりを感じている更年期女性はさらにその傾向が強かったという結果が出ています。

つまり、寝る前は深部体温を1度下げることが入眠をスムーズにするために必要な事なのですが、その体温調節が上手くできないのです。

そこで検討したいのが、やはりお風呂の活用です。
自分の身体でコントロールが上手くできないのであれば、外部からの刺激を活用する。
お湯で体温を上げて、外気で体温を下げる。下がったタイミングで床につく。その力を借りる工夫を考えて欲しいのです。
夫の帰宅時間が、息子の塾が、食器洗いにお洗濯など家事が、仕事がまだ残ってて…
自分の事は全て後回し。それ、止めませんか?

更年期自体は閉経前後合わせて約10年。10年間毎日とは言いません。今、更年期症状の発現がピークでしんどい時期ならば、
◇お風呂と寝る前のリラックスタイムの確保を最優先にしませんか?
◇そのために家族に協力を仰ぐ勇気を持ちませんか?
◇仕事と生活で24時間の組み立てを見直して要らないものを削いで、スケジュール立て直しませんか?その中にお風呂タイムをしっかり組み込むこと。

そして2つ目。
自分が思っている以上に、更年期でホルモンに操られている間は、精神的・心理的な影響を受けやすい状態です。
抑うつ・不安・イライラ症状が強くなる傾向にあります。

そして睡眠は、自分が思っている以上に、精神状態の影響を受けるのです。
睡眠の状態が悪いとうつ病の発症率は6倍に。また精神に病を抱えている人の睡眠障害保有率は9割以上です。どらが先かはその人によって違うでしょうが、明らかに心と睡眠は連動しています。そして負のループは簡単に回りだします。

今まで以上に「意識して」気持ちのコントロールに勤める必要があります。
それは抑え込みましょうという意味ではありません。出来るだけ自分の心が
◇穏やかで
◇落ち着いて
◇楽しく
◇明るく
◇あまり悩まず
在れるためにどう思考を切り替えるか?何をすると自分は楽になるのか?
これは例えば、ストレスコントロールやアンガーマネジメントなどの分野になるでしょう。
単純に今まで以上に、楽しく過ごすことを見つける!でも良いのです。

自分ではどうにもできない体からの精神の影響を、少しでも軽くするために、自分の状態を振り返る事。そして心を軽く出来ることを探すのが、更年期の不眠対策の重要ポイントその2です。

まとめ

体温調節のお手伝いになるお風呂の活用、そしてメンタルコントロール。この2つのポイントをおさえるだけでも、更年期中でもずいぶん楽に眠れるようになるのです。
それでも症状が色々出る方もいます。そんな時は婦人科さんに相談してみてくださいね。

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

プロフィール

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~   https://mizuki-kaimin.com/
新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

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