ブルーライトカットメガネをねる前3時間着用で、子供の寝つき寝起き向上&イライラ軽減する可能性

はじめに

ブルーライト(波長380~500nm)の発生源って、PC・スマホ・ゲーム機だけじゃありません。当たり前ですけど、太陽光には最も強く含まれますし、照明にも含まれます。
これまた当たり前ですが、普通に太陽光を浴びて生活をしていて、目や睡眠に問題が起きるわけではありません。眼科学医会(2021/4/17)などでは、小児のブルーライトカット眼鏡は、発達へ悪影響を与える可能性がある為慎重にすべきだとの意見も出されています。
一方で、2023年には就寝前のブルーライトカット眼鏡の装用で子供の睡眠が改善される可能性があることも発表されました。
単純に、ブルーライトが良いかか駄目かではないのです。よくよく内容を見ると、何を目的としているのか?が違います。
睡眠という点で見ると、ブルーライトは過ぎたるは及ばざるが如し。なくてはもちろんダメ。でも強すぎると影響が出ますよってこと。どう活用すると良いのか?を考える必要があるのです。

ブルーライト対策

太陽光の照度は晴れた日なら約10万ルクス。これは室内の照明の100倍もの明るさです。
照明器具もスマホやタブレットは、自然光ほど強いブルーライトを発生するわけではありません。
光源を近距離で長時間見続けたり、よほど強い光を発生する高照度の機器でない限り、危険ではないというのが今の主流な見解です。

以下は、自然光(6500Kの昼光)を1とし、発光面積と輝度を同じ条件とした場合の照明(使用している光の種類)の違いによる青色光網膜障害への相対リスク比較の図です。

蛍光灯・昼光色のLEDライトはブルーライトを多く含みリスクが高いようです。
一方、白熱灯などいわゆるオレンジ色の光の照明はリスクは低い。
白っぽい明るいライトおそらく日本の家庭で最も一般的で多く使われている昼光色のライトと、オレンジの光で暖かいけどなんとなく暗い昔ながらの白熱灯の電球色ではリスクはだいぶ違うのがわかります。
ただ先ほども書いた通り、自然光と同じような強い照度の電球を一般家庭で使うことはありませんし、照明は天井などに設置されているのでそんなに近くで直視することもありません。現実生活での網膜障害のリスクは低いと言えます。

(1)眼科領域では、次のような点からブルーライトカットメガネの小児の使用には慎重になっています。
そもそも、照明などのブルーライトの強さは、日光と比べて網膜に障害を及ぼすようなレベルではない。
海外の研究でブルーライトカット眼鏡をしても眼の疲労の軽減にはつながらなかった。
小児は十分に日光を浴びないと近視が進むリスクが高まる。
そもそも昼間にしっかり日光を浴びる事は、小児の健やかな発達に必要不可欠である。
そのような点から慎重論が発表されました。

ただし、上記の日光とメガネ使用は昼間の話ではないでしょうか?

睡眠学的には、起床時~日中の日光は発達にとっても睡眠リズムを整える意味でもしっかり浴びましょう。これは眼科領域と一緒です。
夜間のブルーライトつまり日光ではなく照明・スマホなどの光源からのブルーライトが小児の睡眠に影響を及ぼしている可能性があることがみられたのが昨年の発表です。

(2)これはJINSによる発表です。あくまでも小規模の研究ですが、10~12歳の男の子39名にブルーライト40%カット眼鏡を、Aグループ:就寝前3時間着用し2週間過ごす⇒1週間休む⇒カットなし眼鏡就寝前3時間着用し2週間。Bグループ:逆の流れ。でクロスオーバー法で研究しています。
その結果、メラトニン分泌には影響が無かったのにも関わらず、ブルーライトカット眼鏡着用時には就寝時刻・起床時刻が早くなり、日中のイライラ感や兄弟友人への暴言のスコアが減少しました。その効果は2週間目に顕著に出ました。

大前提として、良い眠りは心の安定をもたらす。良い眠りは子供の健やかな発達に繋がるという事はわかっています。
しかし残念ながら、24時間眠らない忙しい日本は社会全体として子供が快眠環境にあるとは言えません。
また次のような特徴もあります。
①夜は暗いのが本来の姿にもかかわらず、日本の家庭は明るすぎる。特にブルーライトを多く含む昼光色の照明が多用されています。
➁今の子供は、習い事先や家でもスマホやタブレットを近距離で長時間使用し続けています。学習のため使用しなければならない状況もあります。

そこで、上記の光の種類による違いや今回の発表から、保護者が子供の睡眠&心の発達について出来ることを考えてみようと思います。

<夕食が終わったら>

◇ブルーライトカット眼鏡で快眠対策。
◇眼鏡ではなく、部屋のライトを電球色に変えたり、明るさを落とすなど照明の工夫で寝る前環境を整える。
◇スマホやタブレットなどの光量を調節する。
◇使用時間については手放すタイミングなど家庭でルールを設ける。
◇大人の睡眠と子供の睡眠ではその役割と重要性が異なることを理解し、健やかな発達の
為に、夜の大人時間の過ごし方とリズムに子供を巻き込まない。子供が安心して必要十分に睡眠を取れる環境を整えるのが保護者と心得よ。

まとめ

ブルーライトカット眼鏡は根本的な子供の睡眠改善のためのアイテムではありません。でも、簡単に取り入れられることからやってみて、改善効果を体感し問題点と改善点に気づき、本来の改善にチャレンジするのでも良いのではないでしょうか?
子供の日中の問題行動の原因が睡眠にある場合は少なくありません。社会のシステムは個人では簡単には変えられない。家庭でどんな工夫が出来るか?考える切っかけになれば幸いです。

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

プロフィール

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~   https://mizuki-kaimin.com/
新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

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