《和文化》作法、所作の深い意味とは?

神楽坂女子倶楽部、和文化「かぐや姫チーム」、笛の福原百麗(ふくはら ひゃくれい・藤本博子)です。

西日本の災害の後は台風12号。
関東でも熱海周辺で高波の被害が発生しました。
まだ九州南部をウロウロしているようですが、被害が広まりませんよう、祈っております。

さて、今回は少し「所作」について書いてみます。

どのような楽器でも「構え方」があります。
楽器の持ち方です。
西洋の楽器でも和楽器でも、正しい姿勢、持ち方、があります。
正しい姿勢、持ち方、指のボジションでなければ無駄な力が入って、美しい音を出すことができません。

スポーツにも所作のようなものはあります。
例えば、イチロー選手がバッターボックスに入って一連のルーティンの動作をやりますけど、あれです。

和楽器は正しい構えを、ただすればいいのでなく、美しい「所作」も必要とされます。
所作、作法でもって正しい構えをする。
美しい音を出すをするための「所作」といってもいいかもしれません。

もちろん、すべての和楽器に堅苦しい「所作」があるとは限りません。
篠笛ですと、野外のお祭り(祭囃子)では、賑やかに練り歩きながら演奏されるので、堅苦しい所作もなく自由な感じで吹かれています。
(お祭りによっては、厳然と所作がある所もあります)

一方、歌舞伎や日本舞踊などの少々格式のある舞台では、決められた位置に正座でスタンバイし、演奏が始まって、笛の出番が近づいてきたら、手順を踏んで笛を手に持ち、口元に当てて吹く体勢にもっていく。
その作法、所作が非常に重要視されています。

参考:「篠笛入門」六代目 福原百之助 (写真の演奏者は福原徹彦師)

長唄などの舞台での笛の所作が形作られたのは実はそれほど古いことではなく、昭和20,30年代のことかと思います。
戦後の笛の名手、六代目福原百之助師(人間国宝)が美しい所作を形作られ、それを次第に他の流派もまねるようになったのです。

作法、所作、というと、堅苦しそうだし、型にはめられるのは嫌だと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

茶道や能、武術など、他の伝統文化にも通じることですが、作法、所作には、非常に深い意味があります。

それは無駄な動きを削ぎ落とされた、究極の動作(所作)だということです。
そして、洗練された所作は非常に美しい!

プロであっても、初心者であっても、その所作通りにすれば、最短時間、最短距離で、ベストの音が出せるポジションに構えることができるのが「所作」です。
実は非常に理に適っているのです。

ビジネスで例えると、誰でもできるように作業の手順をルール化するようなものでしょうか。

作法や所作というと「武士道」も思い起こしますが、武士の嗜みであった「能」は西洋のオペラと違って、囃子方(オーケストラ)が役者と同じ舞台に上がるので、演者と同じ位置づけとなります。
(オペラでは舞台の手前の低い位置にオーケストラボックスがあります)

指揮者がおらず、お互いが呼吸を読み取って演奏、演技をするというスタイルは、現代の日本人の特性、生き方、働き方にも脈々と受け継がれているように感じます。
「能」が武士の重要な嗜みの一つであったのは頷けることではないでしょうか。

現代のビジネスマンには、そのような嗜みは何もありませんが、日本の伝統文化がもっと身近で、現代の私たちに合った形で生き方やビジネスのヒントになればなぁと思っております。

8月4日の神楽坂女子倶楽部のランチ会では、ほんの少しの時間ですが、笛の音色をお聴きいただき、和文化の面白さを知っていただく機会があります。
また、木沢さんによるHanako世代の女性のためのとっておきの食のお話もあります。

どうぞお楽しみに!!

木沢いずみ

梅酒と青森ごはん tuakjam オーナー。

2007年より三軒茶屋にて、「梅酒と青森ごはん」の店、『tuakjam』をオープン。今年で10周年を迎えます。

以前働いていた焼酎バーでの知識を生かして、“酔いしれる「梅酒・焼酎・泡盛・果実酒」を中心に取り揃え、「お酒に合うごはん」を提供しております。一人飲みを楽しく、日々の生活に寄り添う、まさに“大人の学校”のような、お店です。『楽しみながら学ぶ』というのを、テーマに、和ごはん料理教室も定期的に開催。

また、『武士の食卓』では、プロ講師を取得。和文化をみなさんと一緒に「おいしく、楽しく」日本の文化を継承していきたいと思います。

 

 

藤本博子(福原百麗)

伊藤忠商事を皮切りに、転職8回、事務職から営業、大道芸人まで20の職種を経験。16年間、人材派遣・紹介会社にて営業、転職コンサルタントとして勤務後、独立。

これまでのべ1万人以上の就業・転職サポートを行い、2013年には人材大手転職サイト主催のスカウトコンテストにて1位(部門別)獲得。

現在、民間委託の求職者支援訓練指定校(セラピスト養成)にて就職支援講座(自己分析、就活実技、顧客サービス等)及びキャリアカウンセリングを担当。現在、京都造形芸術大学で芸術学を学びながら、アートを取り入れた「じぶん分解ワークショップ」を開発。訓練校やセミナー等で広く活用している。

一方、長唄囃子福原流笛方として演奏活動の他、洋楽(フルート)との比較やビジネスの視点から見た指導は非常にユニーク。

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