《マネー》第23回「保険の組み立て方講座~必要保障額/計算編その3~」

さて必要保障額の計算ですが、今回は就労不能時の保障額を計算してみます。(山田家:夫35歳会社員・妻34歳専業主婦・子6・4・2歳。計算期間:夫65歳、30年間)

〇収入

就労不能時の公的年金は障害年金でした。こちらも遺族年金同様、子が18歳を迎えるごとに減っていくのがポイントでした。障害等級2級に該当した場合で計算してみます。
妻の年齢/34歳~:約215万円(約17万円@月)
47歳~:約208万円(約17万円@月)
49歳~:約186万円(約15万円@月)
51歳~:約163万円(約13万円@月)    計5,702万円
妻の収入は死亡時と同じく0円として計算します。

〇支出

支出項目は、生活費、教育費、住居費(賃借料または住宅ローン)の3つに大きく分けます。
生活費:9,900万円
教育費:3,044万円
住居費:3,600万円
介護費:3,600万円      計2憶144万円
まず死亡時と違うのは住居費。山田さんちの住宅ローンはよくある死亡時のみの団信なので、就労不能となっても返済をし続けねばなりません。また山田さんはまだ30代で介護保険料を支払っていません。ですので、介護にかかる費用は全額自己負担となり、これは月10万円が目安となります。

〇必要保障額

さて収入と支出が計算出来たら、下記の計算で必要保障額が求まります。
(支出)-(収入)=(2億144万)-(5,702万)=(1憶4,542万)
つまり、山田家の死亡時必要保障額は、1憶4,542万円となります。年金額にすると、
(1憶4,542万)÷(計算期間の30年)=(約485万)
さらに月割にすると
(485万)÷(12カ月)=(40万)
つまり公的年金だけを収入源とすると、月平均40万円が30年間不足し続ける、という事になります。死亡時が月21万円の不足でしたので、およそ倍の金額が不足する、ということになります。理由としては、まず夫が「生きている」つまり「夫の生活費が必要」という事。そして住宅ローンの返済が残る事。さらには夫の生活費とは別に介護にかかる費用が発生するという事。事故や病気で働けなくなる時のリスクは、実は死亡時よりも高くなるのです。金額にすると一目瞭然です。

さてここまで死亡時と就労不能時の必要保障額を計算してきましたが、なんだかんだ言ってどちらも高額。しかしこれがずっと続くわけではありません。実はこの必要保障額、元気で過ごしていれば年々減っていきます。ここが保険を考える上での大きなポイントです。次回は「必要保障額は三角形」についてお話します。

水原 曜(みずはら ひかる)

2014年 住友生命保険相互会社東京本社入社。
「人生最後の転職先に保険会社を選んでしまう」という大ポカを犯してしまうもどうにか乗り越え、2017年4月より指導職に。部下に踊らされる毎日。
個人、法人問わず、フローとストックのバランスを重視した中長期的「無理しない」リスク対策のコンサルティングが最も得意です。

 

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