さて、いざという時に必要になってくるお金「必要保障額」の具体的な計算をしてみたいと思います。細かな家計簿の数字がそろっていて、計算が得意な方はエクセルを駆使されるとよいでしょう。そうでない方はざっくりとした計算でも問題ありませんので、試しに計算してみてください。準備するものは白紙の紙と鉛筆と計算機とネットが見れる環境です。今回は第11回で登場した山田さんご一家(会社員バージョン)を例に計算してみます。まずは計算に必要な各項目についてポイントを整理します。
1)期間を決める
まず必要保障額の算定期間を決めます。一般的に老齢年金の支給開始年齢であり、介護保険制度の1号被保険者になる65歳を一区切りと考えます。末子独立をリミットにしてもいいです。今回は65歳で考えます。
2)支出項目を列挙する
支出項目は、次の通りに整理します。
- 食費や通信費、水道光熱費などの毎月の生活費
- 家賃または住宅ローン(ボーナス返済分は均す)
- 子供の教育費(授業料・お稽古代・塾代など)
- そのほか負債(奨学金返済など)
1や3については家計簿に詳細な記録があり、年平均がわかる方はそちらを使っていただいていいでしょう。今回山田家の奥様は「ざっくり管理派(エヘヘ)」なので、①については下記の計算式で支出項目を考えます。
山田家:(ご主人から渡される生活費)-(学校と塾関連の費用)-(貯蓄)=(生活費)
3)収入項目を列挙する
収入項目は、次の通りに整理します。
- 公的年金
- 妻の収入
- そのほか収入(家賃収入、利子所得等)
1については遺族年金と障害年金が必要ですが、ネットでカンタンに確認することができます(生命保険会社のサイトで計算できたりします)。子が18歳になると減っていきますので、その時々の金額もメモりましょう。2については悩みどころです。ご主人が亡くなれば働かざるを得ないかもしれませんが、就労不能となって介護状態が続いた場合、さて働き続ける、或いは新たに就労することは可能かどうか。特にお子さんが小さい場合、介護と育児がダブルで奥様にのしかかってきます。「私は簡単に会社は辞められないなぁ」と思うのであれば、妻の収入は項目に入れます。そもそも働いていなかったり、働くことが困難だと感じた場合は②は0円です。3についてはご主人の収入とは別に定期収入となる財源があれば加算、なければ0円です。山田家の奥様の場合、お子さんがまだ小学生と幼稚園児なので、今のところ2は0円、3についても0円とします。
さて、以上の項目についてそれぞれの金額を書き出します。次回はそれぞれの項目について65歳までの累積金額を算出してみたいと思います。意外に高いけど、案外「そんなもんか」ですよ。
水原 曜(みずはら ひかる)
2014年 住友生命保険相互会社東京本社入社。
「人生最後の転職先に保険会社を選んでしまう」という大ポカを犯してしまうもどうにか乗り越え、2017年4月より指導職に。部下に踊らされる毎日。
個人、法人問わず、フローとストックのバランスを重視した中長期的「無理しない」リスク対策のコンサルティングが最も得意です。
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