ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
緊急事態宣言が全国的に解除されました。徐々に休業要請もステップを踏んで緩和されています。緊急事態宣言が出て自粛しているときは「自粛が終わったら美味しいものを食べに行きたい!」とかやりたことが山ほどある、思っていたのに、いざ解除される日が来たら、「なんかやる気が出ない…」という状態の人はいませんか?
こうした状況は、緊急事態宣言の間がんばって自粛していたのが解除されることによって、糸がプッツリ切れたかのように気が緩んだから生じるのではないかと考えられます。「外出自粛」の長期化に伴い精神的に疲れを感じている…、いわゆる「コロナ疲れ」から「コロナブルー」に移行しているとも言えます。
そこで今回は、海外で注目されているセルフケア「30日メンタルヘルスチャレンジ」をご紹介します。メンズヘルス、メンズクラブ「エスクァイア」に掲載されたものです。
🔴コロナブルー対策に効果あり?
「30日メンタルヘルスチャレンジ」は、アメリカ専門心理学士認定博士であり、コロラド大学医学部の女性のためのメンタルヘルスサービスライン臨床部長ヘレン・L・クーンズ博士が監修されています。「現実的で達成可能な小さなゴールを達成していくことが、健康維持に有効な方法」で“効果がある”とされています。
ただし、正しい方法でアプローチする必要があり、前提として4つのルール(注意点)が追記されています。
1.自分勝手だと思わない:
「自分自身を大事にすることによって、周りの人にもエネルギーを傾けられるだけでなく、より目の前のことに集中できるようになります」とクーンズ博士は言います。
2.友達や家族と一緒に挑戦する:
目標を誰かと共有すると、より頑張れるというものです。友達も誘って、励まし合いながら挑戦してみましょう。
3.1日忘れてしまったとしても諦めない:
完璧に行うことがゴール(目標)ではありません。30日のうち25日や15日しかできなかったとしても、前月よりも改善していることは間違いないのです。チャレンジを行うこと自体をストレスに感じないでください。
4.終わった後も続ける:
健康でい続けるためには、継続が必要です。1つや2つでもいいので、効果があったチャレンジを新たな習慣にしましょう!!
🔴30日間のメンタルヘルスチャレンジ
1カ月は、セルフケア、そして身体と心の健康をあなたの生活の大きな一部にすることに集中しましょう。大変そうに聞こえるかもしれませんが、やることはいたってシンプルなのでご心配なく。負担なく続けられるように、簡単なタスクを1日1つ用意しました。
1日目. 深呼吸をする
ゆっくりと呼吸しながら、10から1まで数えましょう。ミーティングの前やクルマの中、仕事を終えて家族やパートナーに会う前などに試してみてください。自宅勤務(テレワーク)においても効果が期待できます。
2日目. 仲のいい友達とオンラインやスマホで会う
メイヨー・クリニックによると、しっかりとした社会的支援を得ることでうつ病や高血圧のリスクを減らせると言っています。最近では、「オンライン飲み会」なんてものありますので、試してみましょう!
3日目. 楽しみな予定を立てる
楽しい予定を立てましょう。例えば、(3つの「密」を避けた)気分展開の早朝の散歩であったり、一日中映画を観る日をつくったり、アフターコロナを考えて将来の旅行先を考えるのもいいかもしれません。
今なら自宅やソファーにいながら、美術館・博物館・動物園の 「バーチャルツアー」が楽しめます。
4日目. 使わないものを寄付する
例えば日本では、国際社会支援推進会の「ワールドギフト」が不用品を集荷し社会支援に再利用するボランティアを行っていたり、ユニクロでは店頭での同ブランド品の古着回収BOXの設置なども行っています。
5日目. 30分のヨガをする
『Cogent Psychology』誌に発表された調査によると、週に2回ヨガを行う人は、そうでない人と比べて慢性的なストレスが大幅に減ったと言っています。ジムに行けなくても、自宅でセルフヨガにチャレンジしてみるのもひとつの手です。
6日目. 健康的な食事をつくる
健康な食事をすれば、気分もよくなるというのは、皆さんもご存知だと思います。「何をつくればいいのかわからない」という方は、「栄養士が実践! 活力朝ごはん」などを参考に、朝ごはんから始めてみるのもいいかもしれません。
7日目. 助けを求める
何でも1人でできてしまう人はいません。あまり自信がないことを、誰かに手伝ってもらいましょう。「1人はみんなのために、みんなは1人のために」と支え合って生きてこそ、人生は豊かになります。
8日目. 大好きな気分が上がる曲を聞く
クルマでも家でもお風呂の中でもいいです。聞くだけではなく声に出して歌えば、さらに心も健康に導かれます。
9日目. 何でもいいから10分間、読書の時間を取る
漫画やエッセイや推理小説、どんな本でもいいので10分間の読書をしましょう。
10日目. 散歩に行く
場所はどこでも大丈夫です。「Journal of Environmental Psychology」紙に発表された調査によれば、自然の中でも街中でも、30分歩くとストレスホルモンレベルが下がり、気持ちが明るくなると言っています。
もちろん、3つの「密」を避けた時間・場所を選びましょう。
11日目. 自分をケアする20分のグルーミング
身だしなみでも、最新機器を使ったヘッドスパでも、自分にご褒美の時間、自分をケアする時間をあげましょう。「表面的な話ではなく、自分の見た目に自信が持てると、幸福度がアップします」とクーンズ博士は言います。
12日目. お気に入りの趣味をする
ジョージ・ワシントン大学が2017年に発表した研究によると、塗り絵や絵を描くと、脳の回路を活性化させる血流が増加するそうです。絵に限らず、プラモデルや楽器演奏など、創作活動は私たちに喜びを与えてくれます。
13日目. 映画の世界に浸る
家のソファでくつろぎながら、NetFlixやAmazon Primeで気になる作品を見つくしましょう。
14日目. いつもより30分早く寝る
ハーバード大学医学部睡眠医学科によると、十分な睡眠を得ることで気分が良くなるだけでなく、記憶力や免疫力も高めるそうです。いつもより早く寝巻に着替えて布団に入ってみましょう。
15日目. 炭酸飲料(清涼飲料水)やお酒の代わりに「水を飲む」
お金が浮くだけでなく、エンプティカロリー(高カロリーなのに栄養が含まれていない)の摂取も防げて一石二鳥です。
16日目. ボードゲームで遊ぶ
「モノポリーはストレスがたまる…」という人におすすめしたいのが、2人で遊べるパズルゲーム「Kanoodle Head-to-Head」や、大人数で遊べる言葉当てゲーム「Blank Slate」です。
17日目. 小さな目標を立てる
今週は毎日朝食を食べる、いま読んでいる本を今週中に読み切るなど、小さな目標を1つ立てましょう。
18日目. ずるずると先延ばしにしていたことを片付ける
「あの部屋…、あの棚のなかを掃除しないと…」と何カ月も思っていたりしませんか? これを機に、今すぐしましょう。
19日目. 誰かを褒める
いいカルマのきっかけをつくりましょう。また、2015年に専門誌「NeuroImage」に発表されたメタアナリシスによると、誰かを「ほめる」という行為は、自分がほめられたときと同じ脳の部分を活性化させると言います。
20日目. 友達と家(オンライン)でまったり遊ぶ
(一緒に読書したり、お気に入りのテレビ番組を一緒に見たりできないご時世ですが…)、オンラインを使って自宅でおしゃべりしたり、ゆっくりしましょう。外食よりもずっと安くすみますし、パジャマやジャージなど楽な格好でゆっくりできます。
21日目. 5分間瞑想する(マインドフルネス瞑想)
マインドフルネス瞑想のアプリをダウンロードすれば、いつでもどこでもちょっとした空き時間に瞑想ができます。
22日目. 家族とFaceTimeする
電話よりも、顔をみて話すほうがいつもと違った気分になれることでしょう。
23日目. 外(散歩やジョギング)に出かける
3密を避けた犬の散歩や、ベンチに座って日光浴しましょう。寝る前に外に出て月や星を眺めるのもいいでしょう。もし、ご自宅にベランダやテラスがあるようでしたら、有効活用しましょう! 「お家キャンプ」なんてもありますので。
24日目. パートナーと素敵なデートを演出してみる
パートナーと一緒に自宅で、一緒にディナーを作ったり、お店のような雰囲気づくりをしても楽しいですよ。
25日目. SNSで悪影響を受けている人のフォローをやめる
自分がちっぽけに感じられるようなインフルエンサーを、フォローしていませんか? 思い切ってその方のフォローをやめれば、気持ちがすっきりするはずです。
26日目. 何かに対してNOと言う
今日カレンダーに入っている予定は、本当に必要ですか? 今日は断るか、もっと気分がいい時にリスケジュールしてもらいましょう。
27日目. 今夜は家でスマホを触らない
スクリーンから出るブルーライトは、睡眠ホルモンを乱してしまいます。スマホの電源を切って、読みかけの本を代わりに読めば早く眠りにつけます。
28日目. オモシロ動画を観る
つまらないインフルエンサーの写真ではなく、面白い動物動画やバラエティ番組を観て笑いましょう。
29日目. 今日あったいいことを書き出す
どんなに最悪の日だったとしても、よかったことや感謝していることを書いてみましょう。
30日目. 新しい習慣を始める
30日を振り返り、「何か今後の生活で変えられることがないか?」を、考えてみましょう。ボードゲームの日が楽しかったなら、毎週やってもいいのです。掃除してみたら、気分展開になり元気に過ごせた…ならば、これからも続けてみてはどうでしょうか。
いかがでしょう。内容を見ていると「ふーん」と思われるかもしれません。でも、実はどれも心理学的には大事なことです。また、あえてチャレンジとして断捨離や掃除をやろうと決意すると、頭を集中させて体を動かすので、脳の活性化します。また、部屋がきれいになることで抱く達成感も、心の健康にプラスに作用するでしょう。他にも、誰かを褒めるというのは、人とコミュニケーションを取るということで孤独感を解消するだけではありません。褒めることでオキシトシンというホルモンが分泌されるから良いのです。このオキシトシンというのは赤ちゃんと触れ合っているときに出る「愛情ホルモン」です。このホルモンが分泌されているということは、癒されていることに繋がります。
あなたのエゴレジの力が手伝ってくれるはずです。
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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