ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ツイッター上で「疲」や「ストレス」などを含む投稿が増加していることが、東京大の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)の調査で明らかにされました。
1月中旬以降の約2900万件の「つぶやき」を解析したところ、コロナ関連の投稿のうち「疲」が含まれていたのは、3月20日には1日約3600件でしたが、小池百合子東京都知事が緊急記者会見で「感染爆発の重大局面」と発表した25日以降急増し、安倍首相が緊急事態宣言を発令した4月7日には3倍以上の約1万2000件に達したそうです。「ストレス」や「鬱」も同様の傾向を示しています。長引く外出自粛や学校の休校などへの対応で、人々の疲労感が増していることが背景にあるようです。鳥海准教授は「自分や社会が受けるストレスを心配する話題が投稿された一方、コロナ疲れをどう乗り越えるかも話題となっている」と指摘しています。
そこで今回は、精神科医の樺沢紫苑先生の「コロナ疲れになる人の特徴」についての記事(東洋経済)をご紹介します。
目次
🔴特徴その1.情報過多の人
コロナ拡大がいつ収束するのか不安でしかたない。不安をまぎらわせようと、毎日テレビを何時間も見たり、スマホでコロナ関連のニュースを読みあさっている人も多いはず。
基本的には「正しい情報」は不安を取り除くのに役立ちます。しかし、今流れているコロナ関連の情報のほとんどは、ネガティブなものばかり。中には不安や心配を煽る情報も多く、情報を集めれば集めるほど、不安は増加し、あなたのメンタルは疲弊していきます。
「暗いニュース」の見過ぎは要注意
同じような内容の繰り返しも多いですから、コロナに関するニュースは1日1本、15〜30分ほど見れば十分。ネットでも本当に重要な情報を厳選して集めていけば、30分もあれば事足りるでしょう。
コロナ疲れの最大の原因は、大量の「ネガティブな情報」に、長時間接することです。情報収集は、ほどほどにしておきましょう。
🔴特徴その2.外出自粛でピリピリしている人
先日、「外出自粛を楽しくする方法」というYouTube動画をアップしたところ、「自粛中なのに”楽しむ”とはどういうことか!」といった批判的なコメントをいただきました。「自粛」という言葉を辞書で調べると「自分から進んで、行いや態度を改めて、つつしむこと」と書かれています。おそらくその人は、自粛中なので「家の中でも、慎み深く、厳粛な気持ちですごさなければいけない」と思っているのでしょう。
今回の外出自粛は、コロナ感染を防ぐためのものです。「ウイルスに感染しない、ウイルスを人にうつさない」ことが目的ですから、家にいるのであれば、何をしようが自由なはず。実際、東京都のホームページにも、「ウチで楽しもう」というスローガンが掲げられています。
ニュース報道や、知人友人、相談者からの声によると、最近、非常にピリピリした人が増えたといいます。今後、外出自粛は程度の差はあれ、数カ月先まで続く可能性は高いです。今から、そんなにピリピリしていたら、確実に「コロナ疲れ」に陥ります。自粛期間中でも楽しむことはやめなくてもいいのです。お子さんと遊ぶ、ゲームをする、今まで見られなかったドラマやアニメ、映画などを楽しむ。ピリピリしている人ほど、なにか楽しみを見つけたほうがいいでしょう。
🔴特徴その3.夜更かしする人
外出自粛の影響で、夜中までテレビを見る、ゲームをするなど、夜更かしをしている人も多いのではないでしょうか。テレワークの人は出勤しなくていいので、「就業時間の9時直前に起きればいいや」と思うと、夜更かしに拍車がかかります。遅寝遅起き、不規則な生活は、「体内時計」を狂わせます。結果として睡眠の質を下げ、体調不良、メンタル不調に拍車をかけます。
コロナだからこそ「規則正しい生活」が大事
睡眠が悪化すると、免疫力も低下します。不規則な生活は、「コロナ疲れ」を悪化させるのです。
ではどうすればいいのかというと、時間に余裕がある分、睡眠時間はしっかりと7時間以上とって、コロナ前と同じ起床時間を維持しましょう。規則正しい生活を続けることが、とても重要です。
🔴特徴その4.毎日1人でお酒を飲む人
外出自粛が長期化しつつある今、精神科医の私としては、「お酒」の影響を心配します。スーパーでも、ビール、チューハイのコーナーがガランとしていて、補充が追いつかないほどの売れ行き。外で飲めない分、家で飲む人が増えており、コロナ不安によるストレスもあってか、飲酒量が増えているのでしょう。
多くの人は「お酒はストレス発散にいい」と思っていますが、それはたまに飲むからです。毎日お酒を飲むと、ストレスホルモン、コルチゾールの分泌が増え、ストレス耐性も減らします。また、アルコールは睡眠の質を下げるため、メンタルにも悪影響を与えます。少量でも「毎日」飲む人は、脳への悪影響は甚大です。週に2日は休肝日(まったくお酒を飲まない日)を作ったほうがいいでしょう。お酒は、コミュニケーションの潤滑剤。人と一緒に楽しみながら飲むことをおすすめします。家族と飲む、あるいはオンライン飲み会で友人と一緒に飲むのはいいでしょう。
1人で飲むと飲酒量は増え、みんなと飲むと飲酒量はほどほどに抑制されます。お酒に飲まれるのではなく、お酒を上手に利用しましょう。
🔴特徴その5.孤独な人
「孤独」は、うつ病や認知症のリスクを増やすだけじゃなく、メンタルにも悪影響を与えます。外出自粛とは、家に閉じこもって、「誰にも会わない」こと。人間関係のロックダウンと勘違いすると「コロナ疲れ」を進めます。
友人などに”直接”会うのは好ましくないので、SNSや電話で連絡をとりあう、Zoomなどのテレビ電話で相手の顔を見るということは、とても大切です。
「高齢の家族」のケアも大事
高齢のお年寄りなどは、「コロナ感染が怖い」と家から一歩も出ずに、誰とも会わないという人も多いはず。コロナ感染対策としては、間違っていないのですが、スマホなどで友人や親戚と連絡をキープしてください。
家の扉は閉じても、心の扉は開けておく。そうでないと、「うつ」っぽくなります。「コロナ疲れ」が一番心配なのは、高齢者のみなさんです。コロナ感染すると重篤化するハイリスク群ですから、若い人たちの何倍もの不安と恐怖で毎日を過ごしているでしょう。
あなたに高齢のご両親、または祖父母がいる場合は、2、3日に1回電話してみましょう。あるいは、毎日、メールやメッセージを送りましょう。コミュニケーションは安心につながります。
安心は免疫力を高め、不安は免疫力を下げます。あなたの声やメッセージが、ご両親、祖父母の、コロナ疲れを癒やすこともあります。
いかがでしょう。コロナ疲れになる5つの特徴に一つでも心当たりがある人は、要注意です。樺沢先生も述べておられるように—“外出自粛、そしてコロナウイルスとの戦いは、長期戦。あまりピリピリせずに、楽しみながら、「つながり」を大切にしながら、乗り越えていきましょう。”
あなたのエゴレジの力が手伝ってくれるはずです。
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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