《健康》エゴレジと寒暖差疲労

ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

ストレスには人間関係の悩みなどの「精神的ストレス」だけではなく、過重労働や激しい運動のような「身体的ストレス」、紫外線や化学物質、猛暑、感染症などのさまざまな「生活環境ストレス」もあります。「日中は真夏日なのに朝晩は冷える」「気温が違い過ぎて、どんな服を選んだらいいかわからない!」というような日々の”寒暖差”が激しい時期は、いつの間にか疲れがたまってしまいがち。今回は、寒暖差によって疲労が起こる理由とその対策を東京有明医療大学 教授 川嶋 朗先生のお話から紹介します。

🔴なぜ寒暖差で疲れるの?

身体にとって理想的なのは、体温や血圧、脈拍などが安定している状態です。ところが、1日の中での寒暖差や短期間での寒暖差が激しいと、身体が気温差に対応しようとエネルギーを消耗します。たとえば暖かい室内から冷え切った屋外に出る場合、身体が冷えて体温が下がってしまいます。そんなとき、身体は一定の体温を保つために熱をつくるなどしてエネルギーを消耗します。一方、涼しいところから暑いところに出ると、身体は汗をかくなどして体温を下げようとします。汗をかくのにもエネルギーが必要です。

気温のアップダウンが激しい季節は、とくに多くのエネルギーを消耗するので、自律神経のバランスを崩しがちになり、疲れやだるさを感じやすくなるのです。

寒暖差疲労の代表的な症状である「冷え」は初期段階で手足にあらわれますが、そのまま放置してしまうと内臓の冷えや全身の冷えにまで拡大し、深刻化してしまう場合もあります。さらに、症状もひとつだけではなく、肩こり、頭痛、めまいなどが重なり、日常生活に支障を来たしてしまう可能性もあるのです。

まずは次の項目をチェックして、寒暖差疲労のレベルを確認しましょう。

寒暖差疲労チェック項目

身体の一部が冷たく感じることが多い
身体が冷えて眠れない
お風呂はシャワーで済ませ、バスタブに入らない
季節の変わり目に体調を崩しやすい
顔がほてると、元にもどるまで時間がかかる
筋肉が少ない

以上のうち、3つ当てはまった人は「寒暖差疲労になりやすい人」と言えます。

🔴季節別 寒暖差疲労への対策

寒暖差を感じると、身体は自然に体温調節をしようとがんばってしまうもの。そのエネルギーを浪費しないためには、「身体に寒暖差を感じさせない」ことが鉄則です。

 【春の対策】色使いで春を取り入れ、薄着による冷えを予防
春は「三寒四温」といわれる通り、寒さと暖かさが目まぐるしく入れ替わります。春になると厚着をやめて軽やかな素材の衣服を着たくなりますが、薄手の衣服では急な冷え込みから身体を守れません。そこで、コートやストール、タイツなどの色をホワイトやパステルカラーなどの春らしい色にチェンジ。素材は冬物と変わらなくても、色で春らしさを演出することで、おしゃれをしながら寒暖差対策ができます。

また、外出する前には首やお腹、腰などに温熱シートを貼って、身体を温めましょう。家を出た瞬間に「寒い!」と感じにくくすることで、寒暖差から身体を守ることができます。

【夏の対策】首まわりを温め、エアコンによる冷えを防ぐ
夏は暑い屋外からエアコンが効いた室内に入ったときに、寒暖差を感じがち。室内での冷えを防ぐには、夏でもストールを常備し、首まわりを冷えから守るのがおすすめです。首には太い血管が通っているため、首を温めると全身に温かい血液がめぐり、冷えが和らぎます。

また、冷たいものを飲み過ぎると内臓が冷え、全身が冷えてしまいます。水分補給には、お茶や水など常温でもおいしく飲めるものを用意しましょう。

【秋の対策】身体を休めてエネルギーをチャージ
夏から冬へと向かう時期は、寒暖差や台風の襲来などで気圧も激しく変動します。身体は気温や気圧への変化に対応しようとして、疲れやすくなります。また、夏バテを秋まで引きずる”秋バテ”になる人も。

秋の寒暖差対策のポイントは「リラックス」。気温や気圧の激しい変化に対応するため、自律神経はオーバーワーク気味です。そんなときは就寝前に38〜40度のぬるめのお湯で炭酸入浴を。ぬるめのお湯での入浴は副交感神経が優位になり、身体を休めることができます。炭酸ならぬるめのお湯でも末梢血管を拡張して血流をよくするため、身体を温め、疲労回復に効果的です。

暑い時期にシャワー浴だけですませていた人は、疲れがたまっていたり、夏バテから抜け出せなくなっていたりする可能性も。この時期に入浴習慣を見直し、寒暖差に耐えられるエネルギーを回復しましょう。

 【冬の対策】室内にいるときの快適な温度を逃さない
温かい室内と厳寒の屋外を行き来することで寒暖差を感じやすい季節です。冬の寒暖差対策のポイントは「ぽかぽかを保つこと」。室内にいるときの快適な温度をできるだけ逃さないように、しっかりと着込むのは基本。お腹、太もも、首など、血流の多い部分はとくに重点的に温めるのが効果的です。

また、体温を上げてぽかぽかになるために軽い運動をするのもおすすめ。ちょっとした筋トレのほか、しっかり防寒してウォーキングやジョギングなど、好みに合った運動をすると基礎体力がアップして、寒暖差に負けない身体づくりに役立ちます。

🔴季節の変わり目は生活習慣を整えよう!

1.食事は時間を決めてバランスよく取る
食事は、できるだけ決まった時間に取れるよう、ゆとりをもった生活スタイルを心がけることが大事。しっかりと栄養を取ることで心身のバランスも取れやすくなり、穏やかな気持ちで生活を送ることができます。

2.簡単な運動でストレスを解消する
寒暖差の激しいこの季節こそ、毎日体を動かしましょう。とはいってもいきなり激しい運動をするのではなく、1日5分~15分程度のストレッチなど無理のない範囲で気軽に取り入れられる運動が理想です。時間やタイミングを決めるなどして運動を習慣化し、ストレスを溜めないよう心身を整えていきましょう。

3.心も体も喜ぶ、のんびりリラックスタイムを作る
体だけでなく、心もリラックスできる時間を作りましょう。ゆっくりとぬるめのお風呂につかったり、ホットドリンクを飲みながら読書をしたり、間接照明でお部屋の明るさを抑えてのんびりと好きな音楽を聴いたり・・・凝り固まった心がほぐれるような、緩やかなひとときを過ごしましょう。

4.早めにベッドに入り睡眠時間をしっかり取る
季節の変わり目で不調を感じた時にもっとも大切なのは、普段より多めに睡眠を取ること。ゆったりと質の良い睡眠を取ることで、心身ともに疲れを癒すことができます。忙しいとつい夜更かししてしまいがちですが、意識して早めにベッドに入りましょう。お休み前にアロマの香りを楽しむなどして、リラックスしてから眠りにつくのがおすすめです。

日々の生活の中で少しずつ自分自身をいたわることで、寒暖差の激しいこの時季を気分良く乗り切ることができます。ご紹介したこと以外でも、自分の趣味を楽しんだり仲良しの友達と会ったりして色々な方法でストレス発散しましょう。心身のバランスを整えるためにも、エゴレジを発揮して、これらの習慣を無理のない範囲で取り入れていきましょう。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP