スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
🔴ストレス対処法(ストレス・コーピング)
ストレスと上手につきあっていくためにポイントとなるのが、「ストレス・コーピング」です。コーピングとは 、「対処法」「適切に対処する」という意味です。「ストレス・コーピング」は、ストレスの基(ストレッサー)に対して適切に対処する方法のことで、米国の心理学者ラザルス博士が考案した心理学用語です。
普段、私たちは意識することはありませんが、知らぬ間にストレス・コーピングを行い、心身のバランスを保っています。エゴレジの高い人は、決してストレスを感じないという『鈍感』なのではなく、ストレス・コーピング、ストレス対処能力が高いのです。
ストレスとなる刺激があると、その反応は感情や身体にすぐに結びつくと考えがちですが、その間にある「評価」次第で、感情や身体の反応は大きく変わります。刺激に対する評価が論理的、肯定的、建設的であれば、刺激をストレスと感じずに済むだけでなく、課題解決や成長のための行動に変容させることができます。つまり、刺激を受けている状況自体をパワーに変えられる可能性があるのです。
🔴エゴレジとストレス・コーピング
エゴレジは、「エゴ」自我と「レジリエンス」弾力性という2つの言葉から成り立っています。日々のストレス状況に直面したとき、「エゴ」自我を調整することでバランスをとり、元の適応(元気な)状態に向かう力のことです。ストレスへの緩衝力や自ら立ち直る力です。プロアクティブな(前もって対応する)面があります。誰もが持っている力(個人特性)で、開発(成長)可能なものです。
一方、ストレス・コーピングは、ストレスの基(ストレッサー)が自らコントロール「できるか」「できないか」によって対処する方法で、ある種のスキルです。
■ストレス・コーピングの例
したがって、エゴレジの高い人はストレス・コーピングというスキルが高いのです。自ら持っているエゴレジの力で、上手なコーピングができるのです。
ストレス・コーピングには個人差があり、個々人の好みや特徴が反映されます。自分にあったコーピングでストレスが解消できていれば問題ありませんが、これまでのやり方ではストレスが解消できなくなるケースがあります。それは自分自身の成長や周囲の変化などの要因によって、ストレスをコントロールできなくなっている状態です。
このようなケースは自分自身の新たな成長の機会と捉え、新たなストレス・コーピング、これまで取り組んだことのないストレス対処法を試してみることが効果的です。新しいストレス・コーピングを模索するなかで、これまでと違う世界や人との出会いも生まれてくるでしょう。自らのストレスと向き合い、ストレスへの対処を考えていくことは、新たな自分との出会いのきっかけともなる、非常に有意義な行動です。
🔴対処資源を動員する力
ストレス・コーピングは、自分の力だけで行っているのではありません。私たちは周りにある、人やモノに頼りながら、ストレスを乗り越えています。こうしたストレスの対処に役立つモノや情報あるいは人のことを一般に「対処資源」と呼んでいます。これらの対処資源を効率よく動員していく力(資源の動員力)のひとつがエゴレジの力なのです。
エゴレジ力をアップするのは、対処資源ストレス・コーピングがうまくなることに有効なのです。
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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