不眠症だと思う前に確認すべきこと

はじめに

カグジョ世代の皆さんの中には不眠でお悩みの方もいるかもしれません。今回は、ちょっぴり厳しい指摘をさせていただこうと思います。全ての人へ向けたものではありませんが、現場で日々睡眠のお悩みと向き合っていると結構な確率で出会うのです。あなたのその不眠、薬を飲む前に改善すべきことがあるのでは?ということに。
あくまでも、基本のキ。そしてそれができないと言い訳しないで。まずはベースを整えないと改善の道は遠いのです。そのことを思い出してほしくてご案内です。

不眠症の診断前に改善すべきこと

以前は精神障害の下分類とされていた睡眠障害。今は精神疾患ではなく独立しています。しかし、皆さんが思うより、睡眠障害ってとっても複雑!
国際分類ICD-11(国際疾病分類)では6つ、普段診断などで使われているICSD-3(睡眠障害国際分類)では7つの中分類に分かれます。さらに約60~90の項目に分かれているのです。

しかも、日本では睡眠を専門的に勉強したことのある医師が少ないのが現状。残念ながら不眠大国ニッポンであるにも関わらず、いまだ睡眠医療に関しては後進国。今急ピッチで改革が起きているところです。

睡眠障害の7分類(ICSD-3)は以下の通り
1.不眠障害
2.過眠症
3.睡眠関連呼吸障害
4.概日リズム睡眠ー覚醒障害
5.睡眠随伴障害
6.睡眠関連運動障害
7.その他の睡眠障害

そして、1番の不眠障害は、さらに3つに分かれます。
1.入眠困難
2.睡眠維持困難(中途覚醒)
3.早朝覚醒
昔は熟眠障害も含まれましたが、今は含みません。なぜならそれは主観であるから。そしてぐっすり眠れていない気がしても、実際は眠れていることも少なくない。

この不眠障害。診断をつける際の条件があります。でも、肝心の冒頭のところをきちんと確認を取らず、患者さんの『眠れないんです!』の訴えだけでお薬を処方してしまう医師も少なくないのが現状。
ちょっとだけ分かり易く言葉を変えて不眠障害の診断基準を下記に記します。

<不眠障害の診断基準>
そもそも寝る機会や環境が適正にもかかわらず…
①入眠困難、睡眠覚醒維持障害、早朝覚醒、適切な起床時間に起きることを拒む、親や介護者がいないと眠れない
疲労・倦怠感注意力・集中力・記憶力の低下、社会・家庭・職業生活上の機能障害、学業成績の低下気分が優れない、イライラ日中の眠気行動の問題(過活動・衝動性・攻撃性など)、やる気・気力・自発性の低下過失・事故を起こしやすい、眠ることが心配
・不安、などの症状のうち、①かつ➁のうち1つ以上を観察する
◇これらの症状が週3回かつ3カ月以上続く⇒慢性不眠障害 3カ月未満⇒短期不眠障害

そうなのです。
『そもそも寝る機会や環境が適切であるにもかかわらず』
という大前提があるのです。

でも、「行動に問題がある」「環境を整えていない」場合が多くみられるのです。
会社のせい?家族のせい?でもだって・・・。致し方ない部分もあるかもしれませんが、できる工夫やっていますか?時間とお金を使う優先順位間違えていませんか?
不眠障害(不眠症)と診断を受けたのならそれは病気です。病気を治すのは最優先事項ではありませんか?睡眠薬は治すものではありません。一部を除きとりあえず寝かせる対処療法です。そもそもの思考や行動を改善しない限り、簡単には改善しません。

先ずは、自分にできる改善行動をとる。とっても大切です。

とはいえ、自分では思いつかないこともあるかもしれません。できることをやってみながら、睡眠を勉強された専門的な医療機関にも相談。これがよりよい受診スタイルなのではないでしょうか?

今後、睡眠〇〇科のような診療科の標榜がスタートする予定があります。
また、睡眠障害の治療(特に不眠症)は、薬が第一選択ではなく、睡眠治療アプリなどの保険が適応され、『行動改善』『生活改善』が第一選択となる日が遠くないでしょう。

お薬はあくまでも補助として使用。医療側も患者様側もそう思えるようになることが睡眠医療の目標かもしれません。

まとめ

ちょっぴり厳しいコラムになりました。でも、まずは一度自身の生活を振り返ってみること。改善できることは何?を見つけること。そして自分をしっかりと労ってあげること。それってとっても大切なのです。休むことは罪悪感を持つ必要のないことですよ。

 

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

プロフィール

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~   https://mizuki-kaimin.com/
新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

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