~光る君への頃~平安時代の睡眠から考える現代の睡眠問題の原因

はじめに

今期の大河ドラマもラストスパートですが、平安時代の睡眠はどんなだったのでしょう?その頃の睡眠について知ると、今の睡眠の問題の原因になることの一つが明らかになってきます。

平安時代の睡眠から考える悪眠の原因

約1000年前の平安時代の生活リズムとそれに伴う睡眠習慣と睡眠環境はどんなだったでしょうか?多くはありませんが当時の資料から紐解いた考察があります。睡眠額の百科事典のコラムを参考に、現代の睡眠改善の手助けを考えてみたいと思います。

起床時刻は推定できるそうで、社会生活の1日の始まりは丑寅の刻=午前3時頃。夏ならば天文博明(東の空がかすかに明るくなって6等星の星が見えなくなるころ)の時間。

庶民が起床するのは暁近くの頃、つまり夜明け前のまだ暗い頃だそう。今よりずっと早い時間から起きだして、活動開始していたのです。

一方で、就寝時刻は、室内で灯火が使えたかどうか?によって変わってくる。当時の油による明かりは高価なもの。宮中や貴族の家や寺院では使えたため、明かりを灯して暗くなってからも仕事ができたが、庶民は煮炊きが終わったら終了。植物油は高すぎるし、獣脂は臭いし、つけっぱなしで寝るには火事の危険があり危ないのである。長時間室内で明かりはともしておけない。灯火を消したら月明りでも入ってこなければとても見分けはつかない暗さ。作業などできるはずもなく寝るしかない。

つまり、暗くなる前に仕事を終え帰宅し、食事が終わったら寝る。それが平安時代の庶民の夜です。

光暴露が夜型化につながる大きな原因の一つですが、明るくないので夜型化しない時代でもありました。

平安時代の病草紙では、夜眠れない不眠の女と昼間寝てしまう居眠りの男の場面は病気として書かれているそうです。そう、寝不足はもはや病なのです。

早朝からしっかり活動し、暗くなったら眠る。睡眠時間は今とそこまで大きく変わらないのです。

では、起床&就寝時刻の他に、何が違うのか?

仕事が終わってからの過ごし方と光環境です。現代人の傾向としてはこんなことがあるのではないでしょうか。

  1. 日没後にもかかわらず、圧倒的に室内がいつまでも明るい!
  2. 明かりを消す理由・決断力に欠ける
  3. 社会生活の多様化と同時に、個人もやること・やりたいこと欲望が多すぎる。
  4. 自分の健康管理を間違えても命取りにならない。危機感を感じない。

もちろん、1000年前と今との生活様式は全く異なります。日の出日の入りとともに生きるのは現代日本では難しい人の方がほとんどです。

しかし、光環境=明かりのコントロールは、睡眠改善・快眠という目的にとって現代の我々にもできる工夫です。

いつまでも煌々と明るいライトの下にいない。夕食が終わったら照度を落とす。暖色系の暗めのライトにして眠りたくなる一日が終わる演出をしてメリハリをつける&就寝を意識する。

平安時代の人々から学べることではないでしょうか?

まとめ

昼は太陽の元しっかり働く。夜は暗いのが自然。人工の環境をいかに自然に近づけてリズムを作るか?それも快眠の工夫の仕方です。

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

プロフィール

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~   https://mizuki-kaimin.com/
新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

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