小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。NPO法人フレンズスクエア 代表理事
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
エゴレジとグリットの関係
仕事や学業などの達成に関わる要因として、知能以外のパーソナリティ特性の役割が今改めて注目されています。エゴレジもグリットもそうしたパーソナリティ特性に含まれます。どちらも長期的な目標に対して自己コントロールをする点では共通するものです。
グリットとは・・・
グリットは、ペンシルベニア大学心理学教授であるアンジェラ・ダックワースの著書
『GRIT やり抜く力』が話題になっているので、すでにご存知の方も多いでしょう。グリットは、学術用語ではなく正式な定義もありませんが、ダックワース教授らは――グリットとは、自分にとって最も重要と定めた目標に対して一貫した興味を抱き続ける「情熱」と困難や挫折に負けずに努力を続ける「粘り強さ」の総称――だとしています。グリット「やり抜く力」があれば、知能や才能の優劣にかかわらず、誰もが目標を成し遂げられるとダックワースは説いています。
学術分野とは別に、自分たちの体験からグリットの具体例やエピソードを紹介しているのが、GRIT(グリット) 平凡でも一流になれる「やり抜く力」です。著者は、米国広告業界に旋風を起こしたロビンコヴァル/
NPOトゥルースイニシアティブCEO兼理事長とリンダ・キャプランセイラー/キャプラン・セイラー・グループCEO。彼女たちは、アフラックのアヒルCMの発案者として米国で広く知られています。この中で、彼女たちは、グリットの4つの要素を頭文字を使って説明しています。
Guts 度胸
→困難に挑み、逆境にもたじろがない勇気
Resilience 回復力
→グリットに「弾力性」を与える
Initiative 自発性
→グリットを動かし前へ進めるもの
Tenacity 粘り強さ
→どんなことがあっても目標に集中し続ける力
こちらの方がエゴレジとの関係はわかり易いかもしれません。エゴレジ力がグリットに「弾力性」を与えるということです。
グリットを測ってみる
ダックワース教授が著書の中で紹介しているグリットを測定するスケールがあります。やってみましょう。
いかがですか?グリット・スコアを計算するには、10項目について自分がマルをつけた点数を合計し、10で割ります。最高スコアは5(やり抜く力がきわめて強い)で、最低スコアは1(やり抜く力がきわめて低い)となります。あなたのグリット・スコアには「現在の自分が、自分のことをどうみているか」が反映されます。ですから、時間を経て再度回答したら違うスコアになる可能性もあります。つまり「やり抜く力」は変化するもので、そこには研究に基づく十分なエビデンスが示されています。
「やり抜く力」のうち、「情熱」のスコアを出すには、10項目の質問のうち奇数の問題の得点を合計して5で割ります。同じように「粘り強さ」のスコアを出すには、偶数の問題の得点を合計して5で割ればいいのです。
下の表は、アメリカ人の成人のグリット・スコアの割合です。残念ながら、他の国のデータはありませんが、自分のスコアと比較してみてはいかがでしょうか。
次回からは、グリットを高める方法やエゴレジとの関係を調査した小野寺・畑の研究結果をご紹介します。
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