ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
目次
🔴音楽は心身の疲労回復に効果がある!
癒しの音楽を聴くとリラックスできる、または波の音・小川のせせらぎといった自然の奏でる音を聴くと心が落ち着く…など、音楽に心身を癒す効果があることは、よく知られています。
胎教のように、妊娠中に癒しの音楽を聴かせることが赤ちゃんに良い影響を及ぼすといった例は、特に有名です。最近では、大人に対しても、癒しの音楽が効果を発揮するということが実証され、注目されています。
「音楽療法」をご存じでしょうか。具体的には、音楽を聴いたり、歌ったり、演奏したりすることにより、不安やうつ状態を和らげて心の回復を図ったり、音楽によるリラックス効果で痛みなどを緩和したりするセラピーのことです。単独で病気を治す直接的な治療効果はありません。でも、生活の質を向上させ、幸せな気持ちにさせてくれることで、辛い症状を軽減させることができるのです。音楽療法は老人ホームや病院施設などでも実践されているほか、自閉症や失語症、うつ病の治療・緩和にも取り入れられています。
このように、癒しの音楽には、人間の心身に大きな影響を与えるパワーがあるようです。私たちも日常生活にそのパワーを取り入れることができます。自分の力でエゴレジを発揮するために、音楽を活用してみませんか。
🔴筋肉の緊張を和らげる!
音楽が心身の疲労回復に効果を発揮する理由の一つは、心拍・血圧・血流の酸素量といった身体機能に影響を及ぼすからです。
ゆっくりとした、穏やかな音楽を聴くと、心臓の鼓動もゆっくりになります。一方、アップテンポの音楽を聴くと、心臓の鼓動も早くなり、心拍・血圧も上昇します。また、癒しの音楽が筋肉の緊張を和らげることも分かっています。癒しの音楽を聴くことにより、筋肉の緊張が和らぐことで、身体のこわばりがほぐれ、疲労回復につながるのです。
🔴エンドルフィンを分泌する!
音楽が心身の疲労回復に効果を発揮する2つ目の理由は、癒しの音楽が脳内のエンドルフィンを増大させるからです。
エンドルフィンは、「自然の鎮痛剤」とも呼ばれる脳内物質の一種です。モルヒネと同じような作用をすることから、脳内麻薬と呼ばれることもあります。この物質が分泌されると、気分が高揚したり、多幸感を得ることができます。このエンドルフィンは、美味しいものを食べたときや、好きな人と話したときなどにたくさん分泌される他、癒しの音楽を聴くことによっても分泌されることが分かっています。癒しの音楽を聴くことで、鎮痛作用のあるエンドルフィンが増大し、疲労回復につながるのです。
🔴1/fゆらぎのある癒しの音楽
音楽が心身の疲労回復に効果を発揮する3つめの理由は、癒しの音楽には「1/fゆらぎ」があるためです。小川のせせらぎやそよ風、人の身体のリズムなどはすべてこの「1/fゆらぎ」と呼ばれる微妙なゆらぎを持っています。これはメトロノームの音とラジオの雑音の中間にあたり、規則正しさと不規則性が調和し、聞く者を心地よくさせる効果があります。モーツァルトの音楽などには、この「1/fゆらぎ」が含まれており、この微妙なゆらぎが心身の疲労回復につながるのです。
🔴癒し効果を持つオススメ音楽
オススメの音楽を2つお伝えします。
モーツァルトの音楽 モーツァルトの音楽には、先に述べた「1/fゆらぎ」も含まれています。モーツァルトの音楽には、心身をリラックスさせて頭脳の働きを高める力があるのです。
1993年のNatureに掲載された研究者グループによる研究では、UCIの学生36人にモーツアルトのソナタを聞かせたところ、IQが8~9ポイント上がった…という実験結果もあります。
モーツァルトの音楽には、忙しい毎日の中で、過敏になっている脳や神経を休ませる働きがあります。何故かと言うと、モーツァルトを聴くと、脳からα波が出るからなのです。そして、この脳からα波が出ている状態というのは、眠りにつく前の状態(まどろみ)に近く、モーツァルトの音楽は、リラックスすることはもとより、睡眠導入剤としてもお奨めです。
マルコニ・ユニオン作曲の「ウェイトレス」 この曲は、「無重力」(weightless)という意味の楽曲です。ギター、ピアノ、エレクトロ等を合わせた楽曲で、海外の実験で、世界一癒される音楽であると認定されています。実験では、他の癒しの音楽に比べて、心拍数・血圧・コルチゾール(ストレスホルモン)を下げる効果があることが科学的に証明され、「11%以上のリラックス効果」「65%の緊張度低下」「35%以上の心拍数低下」が見られたといいます。実際に聞いてみると、母親の子宮の中に戻ったような、もしくは宇宙空間を浮遊しているような、不思議な癒しの感覚を味わえます。
日々溜まっていく仕事の疲れやストレスは、翌日に残さずに解消したいものです。あまり気構えず、自分の好きな音楽をくつろいで楽しむことが大切です。リラックスできるお気に入りの音楽が、最高の癒しの音楽だといえます。アロマやハーブティなど自分にとって心地よいと思えるものと組み合わるといいでしょう。
ちょっと疲れた時、リラックスしたい時や、眠る前に聴いてみてはいかがでしょうか。
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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
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