スポーツ別、運動と食事と睡眠の関係

はじめに

日頃からスポーツをされている方も、スポーツは観戦だけ!という方もいると思います。実は私たちが考えているよりアスリートの睡眠管理はとっても大変。食事だけでなく、寝なければ肉体は十分に作れません。そしてただ寝ればいいわけでもない。ベストタイミングで最高のパフォーマンスを発揮するために何が必要なのか?今回はそんなアスリートの現場をちょっとご紹介します。

スポーツと食事と睡眠のタイミング

私たち人間には固有のサーカディアンリズム(概日リズム)があって、代謝や内分泌機能、睡眠覚醒サイクル他、様々な機能を調節しています。
そして人間は昼行性動物。筋力や持久力などの運動機能もサーカディアンリズムがあって、午後から夕方にかけてが、そのパフォーマンスのピークになります。

でも競技スポーツの場合、その開催時間が夜だったり早朝だったりすることがあります。例えば、2021年のオリンピック競泳では夕方から夜のパフォーマンスの良い時間に予選が行われ、決勝はまだ運動機能が高まっていない午前中に行われたため、コンディションの調節の難しかったと言われています。決勝では予選より記録が落ちた選手が多かった中、決勝レースに照準を合わせられた選手が表彰台に上ることが出来たのです。

競技スポーツでは、一般の趣味で運動している人との違いがここにあります。
最高のパフォーマンスを発揮するために、その時の環境や、移動の際の時差対策、実際の競技時間なども考えて調整しなければならないのです。

そして体を作りコンディションを整えるためには、食事と運動する時間と睡眠が連動して関係してきます。

運動前は貯蔵型糖質エネルギーのグリコーゲンの量が慰労に達するまでの時間に関わりますし、運動直後の糖質とタンパク質摂取が回復に繋がります。さらにその運動後の食事摂取のタイミングが遅れれば、栄養素は脂肪合成に回ってしまいトレーニング効果が減弱してしまうこともあります。

また、スポーツ選手では睡眠時間不足や睡眠の質が低下すると、発汗感受性の低下や運動中の末梢血管拡張抑制によって体温調節や中枢性疲労に影響が出ます。さらに今年の夏の様に高温環境だと体温調節が上手く出来ず、熱障害のリスクがグッと上がります。選手を守るためオリンピックのシーズンがズレたり、夜間競技が増えたりしました。気温対策だけでなく、時間対策をしなければならないというように、さらに調整が難しい!という状況です。今まで以上にしっかり寝ないと危険な上にパフォーマンス発揮できないのです。

種類別にみる食事と睡眠のタイミング

◇瞬発系
短距離の様に一瞬の間に最大のパワーを発揮する競技では、筋肉量をUPし体脂肪現象を目指す為、食事はタンパク質中摂取重視になります。でも、摂りすぎると中性脂肪(コレステロール)合成に向かってしまう為NG。バランスよく&タイミングよくが重要。
さらに、試合時間に胃の内容物があまり残らないようにする必要も。消化にかかる時間も考慮しなければなりません。
例えば、予選開始が午前10時ならば、前日午後9~10時には就寝、質の良い睡眠がとれた条件で、午前5~6時頃に起き、午前6~7時頃までには朝食を終える。さらに決勝を見据えて食事の内容とタイミングを考える。という形です。

◇持久系
マラソンなど低強度~高強度の運動を60分以上継続する競技では、運動前のグリコーゲン量が持久力維持にとって大切です。試合中の水分補給と糖質補給も行われます。
グリコーゲンローディング法という方法を採用する選手もいます。試合1週間前からトレーニング量を抑えて、最初の3日間糖質多め、試合3日前から摂取エネルギーの約70%を糖質からとる。体重増加をコントロールしながら。
そして、競技開始3時間前までに食事を済ませる。それに合わせて睡眠時間を逆算する。
開始時間が早朝だったり、海外だったりの場合は、時差対策という意味で2週間前からサーカディアンリズム合わせにかかります。

◇球技系
競技時間は比較的長く、持久力も必要で、状況に合わせて瞬発力が必要になる様な競技です。チーム競技ではポジションによって必要な能力が異なるため、選手ごとに調整が必要です。
1日1試合が多いため、持久系同様に競技開始3時間前までに食事を済ませるように食事時間・睡眠時間を調整するのが一般的。だたし、終盤まで持たせるためには、途中で電解質と糖質を摂取します。
例えばメジャーリーグの様に今日は東明日は西と移動が多い競技の場合は時差対策にも重点が置かれます。睡眠トレーナーをつけて睡眠管理することも時には必要になります。

まとめ

「アスリートとは違うから私は関係ないわ。」ではなく、私たちだってそれぞれ、肉体的・能力的・精神的に、最高のパフォーマンスを発揮したい時があります。ここまで綿密でなくて良いのですが、能力を発揮するためには、睡眠管理はカグジョ世代にとっても重要なのです。最後まで楽しく元気に輝きたいカグジョ世代を睡眠でサポートします!

それでは、今夜も良い眠りを・・・☆

プロフィール

Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
薬剤師/睡眠改善インストラクター(H29年現在)薬科大学卒業後、営業職に従事。その後メンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる。2011年独立。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』や『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、セミナーや講演、企業研修を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
スリープ・パフォーマンス カンパニー https://sleep-perform.com/
快眠サロン水月~mizuki~   https://mizuki-kaimin.com/
新聞コラム連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)

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