スレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりします。その理由もメカニズムもさまざまです。 「エゴ・レジリエンス」とは、日々のストレスをうまく調整して元気な自分を維持する力、誰もが持っているパーソナリティの弾力的な力です。「エゴ・レジリエンス」を高めることで自我のバランスをとる力が強化され、メゲても凹んでも、すぐに立ち直ることができるのです。 エゴレジ研究所の小野寺と畑が、「エゴ・レジリエンス」関連のお役立ち情報を提供し、あなたの元気をサポートします。 |
将来の不安や、日々の忙しさからくるストレスは、現代人が抱える大きな課題の一つです。特に仕事や人間関係において、将来が見えないことで不安を感じている方も多いのではないでしょうか。そんな時には「未来思考を取り入れる」という提言があります。そこで今回は、未来思考についてのお話です。
未来思考とは
社会のポジティブな未来を信じることが、現在の人々の行動や意思決定に影響を与えるという研究結果があります。ポジティブな未来を信じると、そのモデル化された未来が単に遠くにある理想ではなく、実現しそうな予測になるように行動が変わるのです。
未来思考は今をより前向きに生きるための思考法です。未来をポジティブに描くことで現在の自分に影響を与え、目標達成に向けた行動を促す考え方です。
また、ガブリエル・エッティンゲンとティムール・セヴィンサーの「未来思考の心理学」(北大路書房)によれば、未来思考の心理学は、予測・計画・達成する心のメカニズムに関する研究であり、教育、ビジネス、人生設計、メンタルヘルスなどの分野に応用することができます。
メンタルヘルスへの応用では、「未来思考の心理学は、ストレス管理や自己成長を促す手段としても活用できます。メンタルコントラスト法などの技術を用いて、現実的な目標設定や適切な対処法を見つけることで、自己認識や自己効力感を高め、メンタルヘルスを向上させることができます」とされ、
人生設計への応用では、「個人は未来思考の心理学を活用して、自分の人生目標やキャリアプランを明確に設定し、適切な行動計画を立てることができます。また、自己効力感や内発的動機づけを育てることで、目標達成に向けた行動を継続することができます」とされています。
未来思考がもたらす心理的なメリット
未来思考は、目標を達成するためのモチベーションを高めるだけでなく、ストレスや不安を軽減する効果もあります。たとえば、仕事で大きなプロジェクトを抱えている時、失敗を恐れるあまりプレッシャーを感じることがあります。しかし、未来思考を用いて、成功した自分の姿をイメージ(ビジュアライゼーション)し、そのために今何をすべきかを考えることで、焦らずに計画的に取り組むことができるのです。このポジティブな視点が、日々の不安を軽減し、ストレスの発散にもつながります。
未来をビジュアライゼーション(視覚化)することは、目標達成の瞬間や、その後の成功した自分の姿を具体的に思い描く方法で、多くの成功者が取り入れている手法です。スポーツ選手が試合前に自分の勝利シーンをイメージすることで、実際のパフォーマンスが向上するのと同様に、日常生活でもこの方法は有効です。未来の理想像を鮮明に思い描き、そのビジョンに向けて今何をすべきかを明確にすることで、目標達成に向けたモチベーションが大幅に向上します。
実践するためのステップ
未来思考を日常に取り入れるためには、具体的なステップが必要です。ここでは、誰でもすぐに実践できる方法を紹介します。
1. 未来の自分をイメージする
最初のステップは、未来の自分を具体的にイメージすることです。「●年後(◆か月後)にはこうなっていたい」という具体的な未来像を描くことで、その目標に向けた行動が自然と見えてきます。たとえば、3年後に理想のキャリアを築くためには、今どのスキルを磨くべきかを逆算して考えることで、毎日の努力が一層意味のあるものになります。未来をイメージすることで、長期的な目標に向かって計画的に行動できるようになるのです。
気をつけたいのが遠すぎる未来では意志力を強くできないということ。心理的な距離を近づけて、“ちょっと先の未来”を考えることが大事なのだそうです。
2. 遅延割引を克服する
人間はつい目の前の小さな利益に飛びついてしまいがちですが、これを避けるために「遅延割引」の概念を理解しましょう。遅延割引とは、目先の小さな報酬を得るために、長期的な利益を犠牲にしてしまう心理現象のことです。たとえば、今すぐに新しいガジェットを買う代わりに、そのお金を将来の旅行や貯金に回す方が、より大きな満足感を得られることがあります。この考え方を取り入れることで、目先の欲望に流されず、将来の自分に投資することができるようになります。
ほかにも、専門家のサポート(フューチャーセラピー)を受けながら、将来の目標に向けた具体的なプランを作成することで、計画的に進められるでしょう。カウンセリングを通じて過去や現在の問題に捉われず、未来に焦点を当てることで、より健康的で前向きなマインドセットを作り上げることができます。
日々のルーチンに未来思考を組み込む
未来思考を日常的に実践するためには、ルーチンとして取り入れることが重要です。毎日5〜10分、未来について考える時間を設けるだけで、長期的な目標に向けた意識が高まります。また、短期的な目標も合わせて設定することで、日々の達成感を得ることができ、モチベーションの維持にもつながります。
ビジュアライゼーションを習慣化する
毎朝、将来の自分をイメージし、そのために今日できる小さな行動をリストアップしましょう。例えば、キャリアアップを目指すなら、新しいスキルを習得するための時間を確保することが大切です。
短期と長期の目標を組み合わせる
大きな目標だけでなく、小さな目標も設定することで、達成感を味わいながら進むことができます。これにより、モチベーションを持続しやすくなります。
過去は変えられませんが、
未来思考になれば、過去の失敗の意味が変わり、肯定的に受取れるようになります。
ネガティブの感情で行動していけば、ネガティブな未来。 ポジティブの感情で行動していけば、ポジティブな未来。 |
が待っています。
ネガティブ感情でネガティブな未来が悪いということではなく、「夢・目標を達成する」「後悔しない人生」など「自己実現」を目指すのであれば、「未来思考/ポジティブマインド」を作る必要がある。ということです。
なぜなら、「自己実現」には自己成長を伴います。自己成長を伴うということは、ネガティブマインドでは越えられない壁が必ず出てきます。それを乗り越えるにはポジティブマインドが必要だ—ということです。
「未来思考/ポジティブマインド」は人生の土台にもなる思考です。
現状では、健康寿命に併せるように仕事を続ける期間も伸びているため、長期スパンのキャリアプランについて考える必要があります。40代50代はまだまだキャリアの途中ですので、今後数十年の人生を充実したものにするために、未来思考で自分なりのキャリアプランを立ててみることが望まれます。
以上、エゴレジ研究所から未来思考についてご紹介しました。40代以降は身体的な変化や社会的な役割の変化が生じるため、ネガティブな思考に陥りやすくなります。未来をポジティブに描き、今からその目標に向けた行動を始めることで、より豊かでストレスの少ない生活を手に入れることができるはずです。もしいい人生を、幸せだと感じられる生活を手に入れたいなら、未来思考を意識して生活してみませんか?
エゴレジ研究所は,生涯発達心理学,パーソナリティ心理学,ポジティブ心理学の領域からの調査研究の成果を活かし,「エゴ・レジリエンス」をキー・コンセプトとして,いきいきと人生を楽しむことができる社会の実現に貢献することを目指しています。
あなたの元気のアドバイザー「エゴレジ研究所」
https://egoresilabo.com/
<プロフィール>
代表 小野寺敦子/ 心理学博士
目白大学 人間学部心理カウンセリング学科教授 |
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GM 畑 潮/心理学博士 GCDFキャリアカウンセラー 健康リズムカウンセラー |
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