こんにちは!
笛の福原百麗(ふくはら ひゃくれい・藤本博子)です。
黒御簾(くろみす)、御簾(みす)。
あまり耳にしない言葉ですよね。
簡単に一言で説明すると、ミュージシャンの隠れ小部屋です。
西洋音楽で例えるとオーケストラボックスでしょうか。
歌舞伎もオペラもどちらも音楽劇です。オペラではオーケストラはステージにいませんよね。
ステージと客席の間に、客席から目立たないように一段低くなったスペースがあって、そこがオーケストラがスタンバイして演奏するオーケストラボックスです。
指揮者は舞台の様子を見ながら指揮をしています。
同じように、歌舞伎や日本舞踊でも三味線、唄、鳴物(太鼓、小鼓、大鼓、笛など)といったミュージシャンが舞台下手(客席から見て左手)の隠れ小部屋から舞台を覗いて、様子を見ながら演奏しています。
厳密に言うと、長唄、常磐津、清元、竹本といった音楽の種類、曲目によって、黒御簾だけでなく、上手の袖や舞台裏、あるいは舞台上で演奏したりと、スタンバイする位置が変わってきます。
この写真では鼓を打つ女性一人しか写っておりませんが、通常は少なくとも鳴物数人、三味線や唄の方が加わると狭い小部屋でひしめき合って演奏しており、鳴物はゆったり座ることはできず、立って演奏します。
このように、隠れて楽器が演奏されるのを「陰囃子」(かげばやし)、一般的には「黒御簾音楽」「下座(げざ)音楽」と呼ばれています。
踊りのバックミュージックももちろん聴き応えがありますが、どこからともなく笛や太鼓の音が聞こえてきて、「いよいよ始まるんだな~」というワクワク感、柝(き、拍子木)の「チョン、チョン」という澄んだ緊張感ある響きや、鳥や虫笛、様々な効果音など、観客の気持ちを徐々に高めて、芝居の空間に引き込む・・・
そのような空気・雰囲気づくり、気分を江戸時代に一気に引き込むのが、陰囃子、黒御簾音楽の醍醐味ではないかと思います。
日本舞踊や歌舞伎をご覧になられる機会がありましたら、どこからともなく聴こえてくる音楽、効果音に、ぜひ耳を傾けてくださいね。
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藤本博子(福原百麗)
伊藤忠商事を皮切りに、転職8回、事務職から営業、大道芸人まで20の職種を経験。16年間、人材派遣・紹介会社にて営業、転職コンサルタントとして勤務後、独立。
これまでのべ1万人以上の就業・転職サポートを行い、2013年には人材大手転職サイト主催のスカウトコンテストにて1位(部門別)獲得。
現在、民間委託の求職者支援訓練指定校(セラピスト養成)にて就職支援講座(自己分析、就活実技、顧客サービス等)及びキャリアカウンセリングを担当。現在、京都造形芸術大学で芸術学を学びながら、アートを取り入れた「じぶん分解ワークショップ」を開発。訓練校やセミナー等で広く活用している。
一方、長唄囃子福原流笛方として演奏活動の他、洋楽(フルート)との比較やビジネスの視点から見た指導は非常にユニーク。
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