ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。
エゴレジの力をつけるためのキーワードは、好奇心・柔軟性・立ち直り力の3つです。今回は、その「柔軟性」についてのお話をいたします。
簡単なクイズで、あなたの頭の柔らかさをチェックしてみましょう。
Q1/部屋の電気が付いています。この電気を消した後も、本を読むためにはどうすればいいでしょうか?
【答】昼間に読めば良い。夜に限定されているわけではないので。
Q2/常に氷点下の地域で、冷蔵庫を売るにはどうすれば良いでしょう?
【答】食べ物が凍結しない箱として売り出す。
Q3/深さ10メートルの穴に、ゴムボールが落ちてしまいました。ボールを取るためには、どうすれば良いでしょうか?
【答】穴に水を注げば、ボールが浮いてくる。
答えを知れば簡単ですが、自力で回答を出そうとすると難しいかもしれません。こういった問題がすぐに分かるようになれば、かなり頭が柔らかいといえるでしょう。
🔴「柔軟性」とは?
柔軟性とは、頭が柔らかくいろいろな場面に臨んでその変化に応じて適切な判断・行動が出来ることを言います。
柔軟性は「周りに合わせる」ことではありません。「変化に対する臨機応変な対応」です。この点をはき違えてはいけません。臨機応変な対応や「いつものやり方がダメならこっちを試してみよう」という発想の転換は、困難を切り抜けるために欠かせない能力です。
あなたの柔軟性はどうでしょう。以下の10の質問項目に、すべて「はい」か「いいえ」でお答えください。
1:なにごとにも興味・関心がある (はい/いいえ)
2:他人の意見を聞くほうだ (はい/いいえ)
3:トラブルが起きても落ち着いて対処できる (はい/いいえ)
4:交友関係は広いと思う (はい/いいえ)
5:趣味が多い (はい/いいえ)
6:自分と違う価値観も尊重できる (はい/いいえ)
7:失敗しても別の方法でやり直せば良いと思う (はい/いいえ)
8:相手の気持ちを考えて行動できる (はい/いいえ)
9:前向きな性格だと思う (はい/いいえ)
10:読書が好きだ (はい/いいえ)
質問の答えで「はい」が5つ以上なら、柔軟性があるほうです。
🔴柔軟性のある人の特徴
柔軟性のある人には、どんな特徴があるのでしょうか?いくつかまとめてご紹介します。
特徴1:臨機応変に対応できる
柔軟性がある人は、いつも余裕をもった行動をしています。状況に応じて普段とは違う行動を行ない、物事に対処できます。このような行動はある程度の余裕が必要です。変化にたじろがず、変化があって当たり前だという姿勢で、常に目の前のことに集中して取り組んでいます。
特徴2:素早く行動できる
柔軟性のある人は、めまぐるしく変わる世の中の変化にスピーディに対応できます。状況の変化、時代の変化などのあらゆる変化を敏感にキャッチしているので、その時その時に最善と思われる手を打つことが可能なのです。情報収集のアンテナを常日頃からうまく活用しています。
特徴3:視野が広い
柔軟性がある人は、なんでも受け入れようとする寛容さや勉強熱心な姿勢が常にあるので、いろいろな趣味を楽しんでいる人が多く、視野が広いのです。いろいろなことに興味があるので、趣味も多種多様です。さまざまなことに興味を持つと、人脈も視野も広がります。あまり人へのこだわりがないので、いろいろな人の視点を通じて物事を見る目を養うことができる人でもあります。
特徴4:経験が豊富
柔軟性がある人は過去において辛い経験をしている場合が多いといいます。どうしようもないほどの不幸に見舞われた経験を乗り越えたから、心に広さやしなやかさ生まれるのです。生きていくのは難しいほどの辛い経験を、ものの見方、考え方を変えることで乗り越えてきた人なのです。
特徴5:前向き
柔軟性のある人は、失敗を引きずらない前向きな人です。物事にこだわりがなく、何事も臨機応変に対処できるのは、常に前向きな思考をするからです。仕事や物事に失敗は付きものであり、それにどう対処するかが大事であると知っているのです。
🔴柔軟性は日常生活の中で!
既存の概念にとらわれない自由な発想、周囲の意見を積極的にとりいれる姿勢、状況や時代の変化をキャッチして対応していく能力である柔軟性は、日常生活の中でトレーニングできます。
・いつもとは違う場所に行ったり、違うアクションをしたりしてみる ・新しい趣味や関心事を見つけ、躊躇せずチャレンジする ・いろいろな種類の本を読んで、様々な意見、考え方を知る ・人の意見に耳を傾ける ・新しい体験をすすんでやってみる ・失敗も経験の一つとして学ぶべきことをみつける |
柔軟性を高めるためには、いつもの行動からちょっと逸脱せねばなりません。いつもと同じ場所、いつもと同じ行動、いつもと同じ服、いつもと同じ髪型、などでは何も変わりません。
今までに経験がないことをやってみると、新しい気付きがあると思います。こういった経験をたくさん積んでいけば、自分の価値観も広がっていくでしょう。同じような生活を毎日続けていると、自分の世界観が狭くなってしまいます。なので、積極的に外へ出て、新しい経験を重ねるようにしてください。習い事を始めたり、新しい人と出会ったり、旅行へ行ってみたり、ジャンルを問わずに何でも挑戦することが大切です。
そして自分とは全く異なる経歴を持った人や世代が異なる人など、普通に生活をしていれば出会わない人と接することで、いろいろな知識や情報が得られ、これまでの凝り固まった考え方を少し緩めることができます。
柔軟に対応できる人ほど、うまく人間関係をつくることができます。意見が対立していても積極的に話し合い、片方が妥協するのではなく双方が歩み寄れるような関係は、心地よく生産的で、柔軟な思考に役立つはずです。
何か答えを出すときには、必ず複数の答えを用意しましょう。1つの答えしか出さなければ、それが固定観念となってしまいます。自分の発想が縛られてしまうので、いろいろな選択肢を考慮に入れてみてください。全く違う方向性の答えを導き出すことができれば、それだけ可能性が増えることになります。出せる答えが多いほど、頭が柔らかくなっている証拠です。
柔軟な考え方ができると、ストレス要因を違った角度から見つめることができるようになります。たとえば、仕事での失敗をした時にも、「良い勉強になった」と考えられればストレスを減らすことができます。
柔軟な考え、対応をすることで自分の可能性は大いに広がります。けれど、キャリアを積めば積むほど頭が凝り固まってしまうこともあり、常に柔軟さを持ち続けるのは難しいことかもしれません。エゴレジの力をつける意味でもトレーニングしてみませんか?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。
小野寺敦子
エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。
畑 潮
エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー
この記事へのコメントはありません。