《健康》エゴレジと好奇心の効用(1)

ストレスフルな社会生活に果敢に立ち向かっている現代人は誰もがメゲたり、凹んだりするものです。その理由もメカニズムもさまざまです。でも、誰もが持っている力「エゴレジ力」を高めることで、それぞれの状況に応じて自我のバランスをとる力を強化し、メゲたり凹んだりしても、すぐに立ち直る力を養うことが可能なのです。
エゴレジ研究所の小野寺と畑が、お手伝いします。

エゴレジのチェックリストに「私は人よりも好奇心が強いと思う」という項目があります。なかなか自分の好奇心の程度は測り難いものです。

🔴好奇心をチェック!

あなたの好奇心の診断をしてみませんか?
好奇心診断サイト https://www.direct-commu.com/chie/mental/koukisin7/ を参考に作成してみました。

点数が高いほど好奇心が強いことを示しています。以下の基準を参照ください。


・33~40点 好奇心かなり強い
・26~32点 好奇心やや強い
・19~25点 好奇心やや少ない
・  8~18点  好奇心かなり少ない

研究によると、好奇心を高めるだけで、パフォーマンスの向上や職場での人間関係を良くするなど、自分のキャリアに大きな影響を与えることがわかっています。好奇心をもって仕事を行えば、仕事を楽しむことができるでしょう。多くの方が一日の大半を仕事に費やしています。仕事を楽しむことができれば、人生を楽しめるようになる可能性が高くなるのではないでしょうか。

今回は、2017年にDropboxに公開された「好奇心が仕事を楽しむためカギである4つの理由」をご紹介してみたいと思います。

🔴好奇心は業務のパフォーマンスを高め、楽しさを増加する

知性」と「努力」。これらはどちらも成功に欠かせない要素です。しかし、2011 年に実施された心理学の研究により、見落とされがちな 3 番目の要素が見つかりました。それが「知的好奇心」です。研究者らは、「知性」と「努力」、そして「好奇心」がすべて合わさることで、より優れたパフォーマンスが期待できるとし、たとえ知性に恵まれなかったとしても、好奇心と努力があれば十分に補うことができると結論付けています。

では、高いパフォーマンスのために好奇心が重要なのはなぜでしょうか?ある説によると、好奇心旺盛なビジネスパーソンの方が微妙なニュアンスに気付きやすく、複雑な事態にもうまく対処できると言われています(Curiosity Is as Important as Intelligence,2014)。好奇心旺盛な人々は、先行きが不透明な場面でイラだったり、難しい状況で立ちすくむようなことは少なく、問題にじっくりと取り組んだり発想を切り替えようとします。進むべき道がはっきりしない場合でも、そこに可能性を見出そうとするのです。何かおかしなことがあれば、正しい答えを探すことに喜びを感じます。

🔴好奇心は他者とのつながりを生む

好奇心あるビジネスパーソンの方が、同僚とより早く、より良い関係を築く(Why Curious People Have Better Relationships,2017)ことは当然かもしれません。彼らは気軽に質問をし、多くの時間をともに過ごし、チームメンバーの強みと弱みをすぐに把握します。結果として、好奇心旺盛なビジネス パーソンは、プロジェクトの共同作業、タスクの委任、特定の同僚のモチベーションを上げる最も良い方法を理解するのです。

しかし、好奇心を持つことのメリットは共同作業だけではありません。最近の研究により、好奇心旺盛な人々は社会的拒絶への対応力が優れている(Curious people are less affected by social rejection,2017)ことがわかっています。これは新しい仕事環境や予測不可能な仕事環境では特に重要な能力です。その根底にある理由を特定するにはさらなる研究が待たれますが、好奇心旺盛な人々は、直接的な結果(自分は拒絶されるのではないか)よりも発想自体(ここから何を学ぶことができるか)を重視すると言えるでしょう。

🔴好奇心を持つと学びがスムーズになる

2014 年に実施された脳の活動に関する研究(Curiosity: It Helps Us Learn, But Why? 2014)では、被験者にクイズを出したところ、与えられたクイズに対して好奇心を持っているほど、回答を知ったときに被験者の脳から放出されるドーパミンの量が増加しました。後日、被験者がその情報をどの程度記憶にとどめているかテストしたところ、当然ながら、好奇心を持っていた情報の方がはるかに記憶に残っていました。ドーパミンは細胞レベルで脳神経のつながりを強化すると考えられます。

しかし、それよりも驚くべきことがありました。好奇心旺盛な被験者は、興味のない情報が興味のある質問の間にちりばめられている場合に、興味のない情報の方もよく覚えていたのです。ここから、一度好奇心が刺激されると、短時間であれば同じ心理状態が続くことが考えられます。職場に置き換えてみれば、興味を持てるタスクに最も時間をかけるようにし、雑務はいくつかに分けて、興味のある業務の合間に行うと効果的ということになります。

🔴好奇心を持つと学びがスムーズになる

グラフィックデザイナーであろうとソフトウェア開発者であろうと、最高の仕事が生まれるのはクリエイティブなブレイクスルーが起きた後であることが多いものです。ひらめきの瞬間を捉えることで、最終的に困難な問題を突破したり、課題に新しい視点にもたらすことができます。

しかし、その瞬間を逃さないためには、強い好奇心が必要(How Curiosity Cultivates Creativity,2014)です。誰でも、自分がその瞬間に没頭して、目の前の仕事に情熱を注ぎ続けられる仕事がしたいと考えています。そのためには仕事のやり方を変えて、頭を使わない仕事を減らすのもよいでしょう。あるいは、もっと好奇心を刺激する新しい仕事を探すという方法もあります。自分が好奇心を持てる仕事をすることが、最終的には自分の創造力を維持することになり、次回のクリエイティブなブレイクスルーも早くやってきます。

何事も、何度も繰り返していると、だんだん新鮮味が失われてしまうものです。同じ会議に出席し、同じ数字を見て、同じ相手にメールを送る。仕事も慣れたもので、特に考えずともこなしていける。特に問題がないようにも見えますが、ひらめきは消え去り、創造力はしぼみ、気がつくと好奇心と楽しさを失っている。この「好奇心」は実はとても大切な要素なのです。

自分の好奇心に正直になるほど、仕事も学びもうまくいき、自分自身の成長にもつながるのです。

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次回はまたエゴレジ関連の話題をご紹介します。

小野寺敦子

エゴレジ研究所代表。心理学博士。目白大学人間学部心理カウンセリング学科教授。同校心理学研究科大学院修士課程教授。同校心理学研究科博士後期課程教授。臨床発達心理士・三越伊勢丹アポセカリー顧問。
NPO法人こどものくに代表理事。

畑 潮

エゴレジ研究所GM。GCDFキャリアカウンセラー

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