おはようございます。
人生、丈夫に寝たもん勝ち!2分間コラム。今回は、「不眠症に対する認識」のお話です。
そもそも、不眠症ってどんな疾患かご存じですか?
眠れない=不眠症ではない!
たとえ短い時間しか眠れていなかったとしても、
貴女の起きている間が、そこそこ元気、そこそこハッピー、そこそこ満足であれば、問題ないのではないでしょうか?
「不眠症なんです。眠れないんです。辛いんです。」
講演終了後、参加者の方が駆け寄ってきてこう切り出されることが良くあります。
お辛い気持ちはわかります。でもね、これでは解決策も何もお答えできません。
特に、眠れない結果、何がどう辛いのか?昼間何が困っているのか?を答えられない方が多いのです。本当に困っているの??思い込み不眠では?
どういう眠れないという状態・現象が、
いつから、
どのくらい続いていて、
今どんな生活をしていて、
自分なりに思い当たる原因は何があって、
眠れないことで昼間どんな事で困っているのか?
眠れないといっても原因・状況は人それぞれです。解決方法もいくつもあります。
問題を整理して、ゴールを決めなければ解決のための行動はとれません。
そこで今回は、不眠症について、2018年から日本睡眠学会が推奨している診断基準ICDS-3に沿って簡単に分類&私の見解を交えてご説明してみたいと思います。
※私は医師ではありませんので診断はできませんし、診断基準の説明ではありません。
目次
1)睡眠障害の一つに不眠障害があります。
眠りの悩みは、眠れないだけではなくて、無呼吸や過眠症候群やリズム障害、随伴症状もあります。
2)ICDS-3では3つに分かれた・・・ICDS-2から外れました熟眠不全!
①入眠困難・・・寝つきが悪い
②中途覚醒・・・途中で何度起きてしまって中々再度眠れない
③早朝覚醒・・・まだ眠いのに早く目覚めてしまって再度眠れない
熟眠不全(熟眠した気がしない)は客観的でないことから診断基準からは外されました。
乱暴な言い方をすれば、寝足りないなら眠ればいいのです。
ただし、熟眠感がないことから、他の病気が見つかったり、睡眠の質の悪さが発見出来たりしますので、不眠障害とは別に観察は必要です。
3)では、不眠障害を分類すると・・・原因に関わらず
①短期不眠障害・・・3か月未満(旧定義では1カ月)
②慢性不眠障害・・・3カ月以上持続
に分かれます。当然ですが、短期を長引かせて慢性化する前に改善に取り組む!ことが重要です。
4)では、不眠症に関与する因子を分類すると・・・
①素因・・・性格、ストレス脆弱性、加齢、性別、などもともとの因子
②増悪因子・・・原因(※4)にあげる)
③永続化因子・・・体や脳が不眠状態を覚えてしまって習慣化する
もともと持っているものを変えるのは難しい。性格による思考やストレス耐性はある程度変えられますが、年齢は逆行しません。
改善で取り組むのは、主に②③です。
5)では、②原因を分類すると・・・これは旧ICDS-2から引用します。
①身体的な疾患や障害・・・例えば高血圧など循環器系の疾患、泌尿器系の疾患、生活習慣病全般、アレルギー性疾患など、病気や体の不具合によるもの。一般の方が思うより多く病気が不眠に関係していることがあります。
②日常の生活状況・スケジュールなどの変動・・・例えば変則的なシフト勤務などの方は、それが原因で不眠障害になることも少なくありません。
③心理的ストレスや不安・・・薬剤師として働く現場での実感としては、この心理的な問題って、かなり大きく&多くの方に関係しています。
「気持ち=思考」の問題って、一番難しくもあります。
でも、変えたら一番手っ取り早く効果的が出る!とも感じています。
④うつ病や不安障害、アルコール乱用、一部の認知症などの精神的障害・・・ここも現場で感じることですが、精神的疾患のある方は9割がた何らかの睡眠障害を併発しています。
その障害の種類によっては、不眠障害についてもその障害とともに長期的に取り組まなければならない場合もあります。
⑤薬物の影響・・・これは様々な薬品・物質の副反応・副作用で不眠障害が発生する場合があります。
もちろん、一過性のもので心配する必要のない反応もありますが、病気の治療が長期にわたる場合、同時に長期的に影響が出る場合もあります。
このように、不眠障害についていろんな角度から分類してみました。
☆そもそも、起きている間、どんな状態で困っているのか?
☆それがどのくらい続いているのか?3カ月未満か以上か?
☆自分としては、何が切っ掛けで、何が原因だと思われるか?
先ずはそれを落ち着いて振り返ってみてください。
そのうえで、やっぱり不眠障害になりかけorなってしまった方は、
3カ月未満の人は、今がチャンス!慢性化する前にすぐに改善に取り組みましょう。
3カ月以上続いてしまった人は、今日の明日で治るっと思わないでください。一つ一つ取り組むことが大事。まずは現状把握。睡眠日誌をつけてみる。そして最低3週間改善プログラムを続けてみる。
環境改善・行動改善、そこから始めてみましょう。
睡眠改善薬は確かに有効ですが、長期的に服用はお勧めしません。
あくまで補助的な対処療法だと思ってください。
言い方に語弊がありますが、無いと眠れないの!と精神的に依存している人がどれだけ多い事か!!薬より取り組むべきことがあるのです。
そしてさらに、これもちょっとトライしてみてください。
睡眠は、心理的影響(思考の影響)を受けやすい。
『眠れないことをあれこれ悩む』というストレスを手放してください!
悩むのや~めた!とりあえず少しでも眠れていれば死にはしないしね。
今は十分でないかもしれない。でも、そのうち眠れるようになるし大丈夫。
そのために今私、改善にチャレンジしているんじゃない!
気楽に構えることも必要です。
『寝なきゃいけない⇒×』 睡眠は修行や義務ではありません。
『寝たいから寝る!⇒〇』 睡眠は欲です。
不眠に悩む前に、先ずは落ち着いて頭の中と現状を整理すること。
そして眠れないことについて「マイナスの方向に悩む」時間を減らすこと。具体策を考えて行動するのことのほうが大切です。
不調や変化に早く気づいて、そこからスタートしてみてください。
それでは、今夜も良い眠りを・・・「人生、上手に寝たもん勝ち!」
プロフィール
Sleep Performance Company (スリープ パフォーマンス カンパニー)
代表:小林 瑞穂 (こばやし みずほ)
研修講師/薬剤師/睡眠改善シニアインストラクター(日本睡眠改善協議会)
埼玉県出身。薬科大学卒業後、営業職に従事。医療の現場で心を病む人が増加している現状を目の当たりにし、心理カウンセラー資格を取得。その後、睡眠問題を深く掘り下げるためメンタル専門の薬剤師となり、延べ5万人以上の「眠りの悩み」に関わる中で、睡眠は心と体を元気にし、目の前のあなたに笑顔をもたらす!と確信を得る。
日本にわずか10名ほどしか存在しない『睡眠改善シニア指導員資格』を取得(H29年3月現在)。睡眠活用の専門家として、社会人が今よりもっと輝くための『ハイパフォーマンス睡眠法』に関するセミナーや、講演活動、『生産性向上のためのセルフリーダーシップ睡眠研修』など、企業研修・安全大会講演を実施。体感型ワークを多く取り入れた講座は、「すぐに実践できる」「スッキリ起きられるようになった」「仕事の効率化が計れた」「働き方改革に繋がった」など、好評を博している。
新聞連載・各種メディアでのコラム執筆や、TV出演等も行っている。
*著書:『できる大人の9割がやっている 得する睡眠法』(宝島社)
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