第5回 人生100年時代における自分らしい働き方とは

佐藤健陽
佐藤たけはるカウンセリングオフィス代表福島大学経済学部卒業後、パチプロ、麻雀店勤務を経て、30代後半に東京福祉専門学校入学。卒業後は障害者の就労支援に携わる。2017年カウンセリングオフィス開業。精神疾患から高齢者まで、全てのジャンルの人を対象にカウンセリングを提供している。対人援助職向け研修、講演等も行っている。YouTubeチャンネル2つ。
社会福祉士、精神保健福祉士、シニア・アドラー・カウンセラー。産業カウンセラー北関東支部講師、東京社会福祉士会高齢者夜間安心電話委員長。主な著書に『あがり症は治さなくていい』(旬報社)、『人前で話すのに自信が付くアドラー心理学』(アルテ)、『ソーシャルワーカーのためのアドラー心理学』(アルテ)等。メンタルヘルス全般に渡って、知って役に立つ知識や、コミュニケーション法、感情との付き合い方などをお伝えしていきます。

20世紀型と21世紀型の働き方の違い

人生100年時代と言われるこの時代の働き方の展望について、今回はキャリアカウンセリング的な視点から述べていきます。

2017年、リンダ・グラットンらによって「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略」が出版され、その年の流行語大賞にノミネートされました。

以後、盛んにこの言葉が使われるようになりました。

リンダ・グラットンは、平均寿命が延びた人生100年時代の働き方は、かつてのそれとは異なると言っています。
それは欧米に限らず日本にしても同様です。

20世紀にあっては、終身雇用・年功序列、いわゆるいい大学に入っていい会社に入り、そしてそこでいかに昇進していくか、これが多くの人にとってキャリアのテーマでした。

いわば、昇進すればお赤飯の時代です。

かつてドラマで見たような、家に帰るとお嫁さんに「昇進したぞ」と伝え、「あなたおめでとう」といったワンシーンが思い浮かびます。

当時は男性が一家の大黒柱として働き、女性は専業主婦としてそれを支える、古くは昭和の高度成長期を象徴するような典型的な例だったのかもしれません。

そうしてより良い暮らしをしていくために、同じ会社で働き続け、役職を上げていくことで給料は必然的に上がっていきます。

それを保証したのが、終身雇用・年功序列制でした。

しかし、21世紀のこの時代にあっては、これらは一部の大企業や公務員等にのみ残り、多くの一般企業ではもはや過去の遺物です。

同じ会社で最後まで働くことは極めて稀ですし、長くいればどんどん給料がアップしていくわけでもありません。それは能力や実績次第です。

そもそも男女平等の状況は当時と今とでは全く異なります。

かつては女性のキャリアも結婚退職が典型だったのかもしれませんが、今や女性の社会進出が当然のものとなり、結婚しても、子どもが生まれても、いかに、どのようにキャリアを維持させるか、あるいはキャリアを復活させるか、そこに視点が注がれます。

副業への見方も、10年20年前とは大きく変わってきています。

2018年に厚労省の就業規則モデルが修正されました。

それまでは「許可なく他の会社で働かないこと」といったようなくだりがあったのですが、それが削除されました。

就業規則モデルを参照にして、それぞれの会社は自社の就業規則を作成するのですから、影響を受けないわけにはいきません。

つまり、原則不可だった副業が原則許可という方針に国の施策が舵を切りつつあります。コロナ禍はそれにさらに拍車を掛けました。

実際、Yahoo、佐川急便、三菱UFJフィナンシャルグループ、DENAといった大企業はもちろん、数多くの企業で副業は既に解禁されています。

地方自治体でも、つまり公務員でも副業を許可する自治体が出始めています。

神戸市は2017年に、「地域貢献応援制度」というNPO法人などの非営利団体などでの報酬を伴う活動を、条件付きではありますが認めました。

奈良県の生駒市は、在職3年以上の職員を対象に、市との利害関係を発生しない限りにおいて副業可となりました。

65才の定年を取り払う企業も出てきています。

ファンケルやNKKなどがそうです。

少子高齢化、そして人生100年時代にあっては、年金の財源という意味でも個人の老後の生活という意味でも、生涯現役とは言わないまでも、70代、中には80代でも働く人が増えていくでしょう。

逆に若い子にしても、小中学生のなりたい職業の上位にユーチューバーが占めるようになりましたが、SNSに強いのはある意味若い世代です。

私自身、SNS等に絡むような仕事はほとんど20代30代の方に相談しています。

変な話、副業がありの会社であれば、社長より稼ぐ平社員というのは夢でも何でもなくなっていくのではないでしょうか。

私がかつてカウンセリングした人の中には、ひきこもりなのに月100万円以上稼ぐユーチューバーの方がいました。人が苦手なのであえてその生き方を選んだようです。

むしろ正社員でい続けることのメリットよりも、多数の仕事を掛け持つ個人事業主的な働き方の方がプライベートにも融通が利くため、働く場所も、やり方も、時間も、所属する組織も、自由に柔軟にやっていけます。

これからの時代は、VUCAと言われるような、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)が特徴的になることは間違いないでしょう。

VUCAの時代に問われる「私の働き方」

こういった働き方の多様性が高い時代にあって問われているのは、各個人のあり方です。
言うならば、あなたはどんな価値観で、何を選択し、どう生きていくのかということです。

そしてその結末もうまくいこうがいくまいが、自分が引き受けます。

江戸時代のお家のためにでも、会社へのロイヤリティ(忠誠心)でもなく、自分の人生への自己責任の時代です。

寄らば大樹の陰の「安定」を求める生き方ももちろん大きな選択肢の一つでしょう。

しかし、公務員や大企業等、それを提供する母体が減っていきパイの争奪戦の様相を呈しており、いい会社に就職すればなんとかなるというのはもはや幻想です。

一方、フリーランスや組織に束縛されない「自由」な働き方を選ぶのなら、不安定へのリスクもまた引き受けなければなりません。

いずれにせよ、必要なことは自分が何者なのかという視点でしょう。

答えは外の世界にはありません。

「安定」を選ぶのか「自由」を選ぶのか、その答えは常に自分の内側にあります。

そして、自分が何のために、何に向かって生き、どのような人生を送っていきたいのかという確固たる自分軸のようなものがなければ、表層的なものですぐに揺れてしまいます。

いわば、大海に向かって漕ぎ出した一艘の船です。

かつては、皆が同じような方向に向かって一緒に船団を組んで航海していました。
しかし、このVUCAの時代にあっては、船団を組んでも目指すべき港が違うため、すぐに離れます。

そして、一艘の船の旅は、大波に揺れ、嵐に遭えばとても心もとないものです。

難破したら再び航路に出ることを諦めてしまうかもしれません。

しかし、自分の目指すべき北極星さえあれば、たとえ雨が降ろうが、暗雲に覆われようが、嵐に遭おうが、必ずや航路に戻ってこれます。

難破しても、あの北極星に向かって再び旅立つことができます。

北極星は不変です。

いついかなる時も同じ場所にあり続けます。

自分の北極星~すなわち自分の働く意味、生きる意味を明確にとまではいかないまでにしても、知っておくことはとても大切なことです。

キャリアカウンセリングもこれまでの適性検査やストレングスを見つけるようなアプローチから、そういったキャリアテーマを探るような手法が徐々に増えてきています。

というより、その視点はもはや欠かせないでしょう。

全ては自分の人生に隠されている

難しい言葉ばかリを並べてしまいましたが、実は全て自分の人生の中に隠されています。
それらは宝石の原石のように人生の出来事のカケラとして散らばっています。

あなたは、どんな時に心が喜び、満たされ、どんな時に心打ちひしがれ、どんな出来事が心の琴線を揺らしたのか。

どんな映画が好きで、そのストーリー展開はどんなものか、なぜそこに心動かされるのか。

そして、何気なくなく覚えている小さい頃の出来事の数々。

それらカケラ一つ一つに意味を見つけていく、私の働く物語を見い出していくのが21世紀型のキャリアカウンセリングです。

分かっていることは、思考には答えはありません。

思考は嘘を付きます。

もっと身体的かつ情動的な感覚として感じられるものこそに真実性があります。

あなたが、幼少期を含めこれまでの人生で、身体や情動で感じられたような体験や出来事はどんなことがあったでしょう。

その原石に隠された意味を見つけることが、あなたの働く意味~宝石を手に入れるカギになるでしょう。

佐藤たけはるカウンセリングオフィス
https://takeharukokoro.jp/

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP