第3回「読者からの質問~自分らしく生きていくためには?」

佐藤健陽
佐藤たけはるカウンセリングオフィス代表福島大学経済学部卒業後、パチプロ、麻雀店勤務を経て、30代後半に東京福祉専門学校入学。卒業後は障害者の就労支援に携わる。2017年カウンセリングオフィス開業。精神疾患から高齢者まで、全てのジャンルの人を対象にカウンセリングを提供している。対人援助職向け研修、講演等も行っている。YouTubeチャンネル2つ。
社会福祉士、精神保健福祉士、シニア・アドラー・カウンセラー。産業カウンセラー北関東支部講師、東京社会福祉士会高齢者夜間安心電話委員長。主な著書に『あがり症は治さなくていい』(旬報社)、『人前で話すのに自信が付くアドラー心理学』(アルテ)、『ソーシャルワーカーのためのアドラー心理学』(アルテ)等。メンタルヘルス全般に渡って、知って役に立つ知識や、コミュニケーション法、感情との付き合い方などをお伝えしていきます。

読者からの質問がありました。「これからどう生きていけば良いのか分かりません。自分らしく生きていくためにはどうすれば良いのでしょう?」

何とも壮大な質問ですが、意外にこういったご質問や相談を受けることは多くあります。

それは、私が人生カウンセリングというか、人の生きる意味を探るカウンセリングをしていることの影響もあるかと思います。

多くは、40~50代の方です。

定年が見えてきた中で今の仕事を続けた方がいいのか、それとも辞めて自分で何か始めた方がいいのかと悩まれる方、あるいは子育てに一段落ついて何かしたいと思ってもそれがなかなか見つからない方など、背景は様々です。

そうして自分なりに模索して、様々な学びの場に出てみたり、あるいは資格を取ってはみたものの、自分が結局は何をしたいのか、そもそも自分が何者なのか分からないと言います。

いわば、自分の生きる意味を求めて探す、青い鳥症候群とでも言いましょうか。

この質問への私の回答は以下になります。

真実は外の世界にはない

ご質問ありがとうございます。

どう生きていけば良いか、自分らしく生きていくためにはとのご質問ですが、まず結論から申し上げるのなら、その答えは自分の中にしかないと思います。

今がどんな状況で、何をされているのかは分かりませんが、おそらくは自分なりに自分のやりたいことを模索してきたのではないでしょうか。

それは人によって様々です。

資格を取ってみたり、自己啓発や心理学のセミナーを受けたり、様々なサークルに参加してみたりといろいろあるでしょう。

そうしていく中で、人に勧められたことを試してみたり、あの人がやっているから自分もやってみようかしらと思ったり、SNSの誰かの投稿を見て今度はこっちをやって見ようかと思ったり・・・

しかし、それらは自分の外の世界のことです。

不安や迷いの中にある時は、外の世界の言葉や価値観が自分に侵入してきます。

「これをやったらうまくいったよ」
「これで私は人生が変わりました」
「あなたには向いてないと思う」

それらの言葉はあなたの心を揺さぶります。

そうして揺さぶられた感情に、促されるかのように行動します。

人は理性で動くよりも、感情で動く動物なのです。

そして、誤った判断をしたように思えたとしても、思考はそれをフォローするかのように嘘を付きます。

「何かしんどいけれど、もうちょっと我慢すればきっといいことが起こるはず」
「うまくいかないのは、私の努力が足りないせいだ」
「あの人が悪いからだ」

こういった辻褄を合わせる思考法を合理化と言います。

イソップの童話にあるように、高い所にあるブドウが取れない時は、あれは酸っぱいブドウだと自分に言い聞かせるのです。

では、真実はどこにあるのでしょうか?

それは身体にあります。

身体は嘘を付きません。

表情で、姿勢で、呼吸で真実を語ります。

そして、言葉にできないような感覚こそが、より雄弁に自分の真実を語っているものです。

それは、大雑把に言うと何か違うような感じ、しっくりくる感じなど、言葉にできないような言葉とも言っていいのかもしれません。

つまりは答えは自分の中にあるのです。

そして、もう少し大きな視点で言うと、人生を掘り起こせば、その人の真実が見えてきます。

真実は自分自身の中にある

では、自分の中にあることとは、どんなことなのでしょうか。

一つは心が動くことです。

人が話している時に、しばしばテンションが高くなったり、言葉が力強くなったり、あるいは身体が躍動的になることがあります。

それは、ネガティブなことでもポジティブなことでもありますが、ポジティブなことはやはりその人が好きなこと、夢中になれることを話している時にそういった傾向があります。

そんなものはないと言う人でも、過去を探れば誰でも出てきます。

それは、たとえば、小さい頃にピンクレディーをみんなの前で歌って踊った時、楽しかったという人もいます。

あるいは、学園祭でみんなで徹夜で準備した時のことが忘れられないと言う人もいます。

あるいは、カブト虫を採るために、様々な場所を調べて朝早くに行って見つけた時の興奮が忘れられないという人もいます。

何に心躍って、何に夢中になるかは人それぞれでしょう。

しかし、それらはやるべきだからやるのではなく、やりたいからやっています。

報酬も、人の目も、労力も関係ありません。

ただ、やらずにはいられないのです。

エベレストに登り続けた三浦雄一郎さんのように、魚好きのギョギョギョのさかなクンのように、どろんこ遊びをする子どものように。

そして大切なことは、そこにある意味です。

ピンクレディを歌って踊った人は、歌うことより踊ることより、みんなの注目をあつめて賞賛されたことがとても嬉しかったようでした。

そして今、自分が講師として人前に立つことに、自分なんかがとてもそんなこととためらっていました。

しかし、この人の生きる意味からしたら、いつかあの日のように人前に立ってみんなの注目を浴びることこそが、隠された生きる喜びなのかもしれません。

そして、学園祭でみんなで準備したことが忘れられないという人は、おそらくは一人で何かをやることは向いていないでしょう。

そして、単調な仕事よりも、むしろもっと刺激的な目標に向かって、みんなであれやこれやと一体になっている時こそが胸ワクワクするかもしれません。

カブト虫を採った人は、何か一つの発見や最高の物を手に入れるために活動している時、あの日と同じような興奮が味わえるかもしれません。

つまりは、人それぞれ、自分の心のスイッチが入るツボが異なるのです。

そしてそれは、外の世界にはなく自分の中にあるのです。

人は自分自身になるために生きている

ところが、人は長年生きていると、様々な体験や情報の渦に巻き込まれて自分が何が好きで何に心踊るのかが見えなくなってきます。

更には、そこにやれ収入はどれくらいか、リスクはどうだ、旦那が反対するからといった外部要因によって、身体の感覚をないがしろにして思考で物事を決めがちです。

しかし、繰り返しますが、思考は嘘を付きます。

何に対してか?

それは自分自身に対して。

身体や感覚、あるいは直感といったものは、いともあっさり思考とマイナス感情によって覆されてしまうのです。

だから、外の情報ももちろんそれはそれで大事なことですが、それよりもまず優先すべきことは、一旦それらの情報や価値観、他者の意見などは一切合切置いておいて、自分の内に還ること。

そして身体と心に聞いてみること。

それでいいの?と。

人は、あんな風になれたらと他の誰かをうらやみ、この世界のどこかに青い鳥を求めて彷徨いますが、実は、青い鳥は常に自分の中にいたのです。

それらは心の奥底に、幼少期にあった純粋な心と共に、今もなおあなたの中にいて呼ばれることを待っています。

これが私だよ、私はこれが好きなんだよ、私はこれでいいんだよと。

結局はあの人のようになりたいというのは実現不可能なことです。

人は自分自身になるしかないのです。

人は自分自身になるために生きているのです。

佐藤たけはるカウンセリングオフィス
https://takeharukokoro.jp/

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


PAGE TOP